設計コンセプトConcept

病院

有料老人ホームを合築した病院

医療施設に有料老人ホームを合築


神戸大山病院では、病院の2階部分に住宅型有料老人ホーム10室を合築しました。

病院機能の明確化が進むなか、病棟種別により在院日数の制限や入院可能な疾患が厳格化され、患者の継続的な療養環境や治療を提供するために介護施設を運営する医療法人が増えています。

医療施設に併設または近接した「住まい」は、治療期間を経過したものの継続的な看護や介護が必要で、ご自宅へ戻るには不安がある患者にとって安心した日常生活を送るために重要な役割を果たします。

神戸大山病院の2階部分には、同法人が提供する看護や介護サービスを受けることが可能な18㎡~19㎡の全室個室の住宅型有料老人ホームが合築されています。

神戸大山病院 外観

病院の厨房を活用した食事提供

有料老人ホームは、医療法人が運営することができますが、介護保険施設であるため、原則、独立した施設とする必要があります。

今回の計画では、有料老人ホーム専用のエントランス、エレベーター、階段を設けており、ほかに事務室や入居者用の食堂や浴室も整備しています。

本来は、厨房についても専用で設ける必要がありますが、行政機関(医療課・介護保健課・保健所等)との協議の結果、病院の厨房からの食事提供(配膳)が可能となりました。

地下にある厨房から業務用EVを利用し、2階の病棟廊下を利用して提供をしています。

避難計画

有料老人ホームの居室は、直接バルコニーに出ることができますが、非常時には有料老人ホームの専用階段だけでなく、バルコニーから屋外階段へのルートと病院の屋内避難階段を利用することができるよう複数の避難経路を確保しています。

配膳ルートと避難経路

有料老人ホーム入居者用 食堂・談話室


有料老人ホームの食堂は、入居者も利用できる流し台を設けてあり、食事時間以外でも自由に利用することができます。

食堂・談話室は、事務室の向かいにあり、エレベーターの近くに配置することで、家族の方との面会・談話等でも利用しやすい計画としました。

有料老人ホーム 食堂

将来の病床転換へも対応


地域医療計画の見直しにより、将来増床が可能となった場合に、個室、2床室、4床室への転換ができるよう、部屋の間仕切り位置や廊下幅等は、病院の施設基準に合致できるように計画をしています。

設備配管等も少ない工事で改修が可能なように準備をしています。

有料老人ホーム 個室