設計コンセプトConcept
精神科
男女混合病棟の夜間対応
-廊下扉でエリアを切り替える-
田淵 幸嗣
男女混合病棟では、日中の生活や活動を成立させる動きと、夜間の静けさ・見守り・対応体制で求められる条件が変わります。とくに夜間は、職員配置が日中と異なることが多く、移動や対応の手順を増やさずに、患者の生活環境を落ち着いた状態に保つ工夫が必要になります。
その一つの整理として、夜間のみ廊下を区切り、男女のエリアを分けて運用する方法があります。ここでは、実際の計画で実装した考え方を例に、運用に合わせた計画の組み立て方を紹介します。
夜間に「区切る」目的を先に決める
この対応は、病棟を分断するためではなく、夜間の運用をしやすくするための区切りです。具体的には、以下の狙いを病院側の運用方針として先に決めておくことで、扉の位置や仕様の検討がしやすくなります。
• 夜間の見守り範囲を明確にする
• 不要な通過動線を抑える
• 病棟の静けさを保ちやすくする
扉の位置は「中央付近」+「状況が把握しやすい見え方」を条件にする
夜間区分を成立させるうえで重要なのは、扉の位置を「どこでもよい」とせず、職員の把握と対応が成立する条件で決めることです。
この計画では、各階の病棟廊下の中央付近に、夜間に男女を分けられる扉を設けています。中央付近に置くことで、どちらか一方に偏った手順になりにくく、夜間の見守り手順を組み立てやすくなります。
また扉は、区切りとして機能するだけでなく、閉鎖時でも職員が状況を把握しやすい見え方が重要です。ここでいう「見通し」は、廊下の視線が抜けること自体を目的とするのではなく、夜間の見守りと対応が無理なく成立するための条件として捉えています。
「時間帯で開閉する」前提で、日中の使い勝手を損なわない
この方法は、常時区切るのではなく、夜間など必要な時間帯に区切りを成立させる運用です。実際の運用でも、扉は時間帯によって開閉する運用とされています。
したがって扉は、日中の移動や病棟運用の手順を増やさないことが前提になります。開放時の通路としての自然さと、閉鎖時の区分としての成立を、同じ部材で両立させる考え方です。
夜間のみ男女エリアを分ける運用に合わせた扉
ここで示す構成は、当該病院の方針と運用条件に合わせて組み立てた一例です。同じ「男女混合」でも、夜間体制・見守り方法・病棟の性格によって適した整理は変わるため、計画では運用条件を先に決めたうえで、位置と仕様を詰めていきます。
この計画では、男女混合病棟の各階廊下の中央付近に夜間に男女を分けられる扉を設置し、閉鎖時でも見通しがよい仕様として、時間帯によって開閉する運用としています。

夜間区分の範囲示す。赤丸箇所に扉を設置している。
