設計コンセプトConcept
精神科
ホールを核にした閉鎖病棟の合理的動線
-面会・観察・救急-
閉鎖病棟の動線計画では、面会・観察・救急対応といった外部対応を、病棟の安全管理と矛盾なく成立させる必要があります。とくに、病棟内部の廊下に外部対応の動きが重なると、誘導や見守りの手順が増え、病棟環境が落ち着きにくくなります。
そのため、病棟に入る前段に「ホール」を設け、面会・観察・救急の入口をホール側で受け止めることで、病棟内部の動線を複雑にしない整理が有効になる場合があります。
一方で、面会方法、観察の仕方、救急対応の頻度や導入経路は病院ごとに異なります。ここでは、病院の方針と運用条件に合わせて、ホールを核に閉鎖病棟の動線を整理した事例として、平面図を用いて紹介します。
病棟の前に「ホール」を置き、入口を一本化する
病棟階に、エレベーター・階段につながるホールを設け、各病棟へ入る人は必ずホールを通る構成とします。閉鎖病棟では、このホールは電気錠で病棟側と区切られ、病棟の内部に立ち入らずに用件を処理できる空間になります。結果として、病棟内の廊下を「面会・外部対応の通路」にせず、病棟運用を乱さない整理が可能になります。
面会は「病棟に入らず成立」するようホール側に設置する
面会の家族が病棟に入ることなく面会できるよう、ホールに面して面会室・多目的室を配置します。面会室は、閉鎖病棟で過ごす患者にとって外界と触れる重要な場所と捉え、光庭によって自然光が入る空間として整えています。面会動線をホール側で完結させることで、病棟内部での誘導や職員対応の手順を増やしにくくなります。
観察室もホール側から入れる配置で、対応を整理する
重篤な患者へのお見舞い等、病棟に入らずに患者のところへ行けるよう、観察室もホールに面して配置します。観察室をホール側に寄せることで、病棟内の動線を介さずに対応できる場面が増え、閉鎖病棟の内部を外部対応の通路にしない構成が取りやすくなります。
救急は「病棟を通過せず保護室へ」
保護室に前室を設けることで、救急患者が病棟を通過せず、ホールから直接保護室へ入れる計画とします。救急搬送の経路をホール側で完結させると、病棟内部の環境への影響を抑えつつ、対応手順も整理しやすくなります。
ホールを病棟の前段に置くことで、閉鎖病棟の安全管理を保ちながら、面会・観察・救急対応の動線を整理しやすくなります。

ホール
:エレベーター・階段から各病棟へ入る前段として設け、外部対応の起点をここに集約します。
病棟との区切り(電気錠)
:ホールと病棟を電気錠で区切り、病棟内部への立ち入りを制御します。
面会室・多目的室
:面会は病棟に入らず成立するよう、ホールに面して配置します。
観察室
:病棟に入らずに到達できる位置に置き、外部対応を病棟内部へ持ち込まない構成とします。
保護室前室
:保護室に前室を設け、救急患者が病棟を通過せずに入れる動線を確保します。
