作品紹介Works

高齢者

社会福祉法人北星会 天橋園群施設整備工事

敷地鳥瞰

計画の背景

昭和52年に開設された特別養護老人ホーム天橋園を解体し、その跡地にデイサービス棟・グループホーム棟を建替する計画です。現在敷地の東側に既存の『天橋園通所介護事業所(通所介護)』(以下一般デイ)、『ハウゼ天橋通所介護事業所(認知症対応型通所介護)』(以下ハウゼ)、『グループホーム天橋の家(認知症対応型共同生活介護)』(以下グループホーム)があり、それらの事業所を運営しながらの建替工事となります。
建物の配置計画としては、一時的にしか滞在しないデイサービス棟と、住まいの場となるグループホームではそれぞれ性格が異なるため、別棟で配置し独立性を持たせた計画としました。外観は、宮村の地域に馴染むよう建物のボリュームを分割し複数の勾配屋根をかけ、小さな建物が集まったような形状にしています。旧天橋園では明るいオレンジ色の瓦屋根が使用されていましたので、今度の計画ではそのイメージを継承しつつ、町にあたらしい風景をつくります。
今回の計画では、一般デイはより要介護度の高い利用者の受け入れを想定しています。機械浴の導入など介護の内容にあった水回りの整備を検討するだけでなく、ハウゼとの連携も計画に入れ込んでいます。また、グループホームは既存建物では2階に設置されていますが、建替えを機に増床した上で介護連携や避難の容易さを優先して平屋の計画としています。  

デイサービス棟

デイサービス棟は、これまでより要介護度の高い利用者にも対応できるように設備を整える計画としています。一般デイは1日25人の利用を想定しています。デイサービスに送迎は欠かせませんが、利用者の多い一般デイの玄関まわりの空間には十分に余裕をもたせ、ゆとりをもって送迎業務に取り組めるように配慮しました。一般デイの内部はアイランドキッチンを中心としてデイルーム・静養スペース・畳コーナーがそれを囲むように構成しています。利用者は自分の体の調子にあわせた活動場所や休息場所を選ぶことができます。そして職員はキッチンから室内全体の状況が把握しやすいようにしています。
ハウゼは、一般デイとは別に独立した玄関を設けています。内部は1日12人の利用者に合わせ、少人数での活動に合わせたコンパクトな空間構成としています。内部構成は、一般デイと同じようにキッチンを中心とした構成です。一部にカウンター席を設けていますが、利用者にいろんな居場所を提供するという目的と、ほかの利用者が気になる認知症の方が落ち着けるようにと考え、こうしたスペースを設けています。
また、一般デイとハウゼは内部で連続しています。職員同士で連携を取りやすい環境にするとともに、個別浴室・機械浴室・一般浴室、汚物処理・洗濯室等の水回りを共有できるようにすることで、コストを抑えながら、利用者らに対して要介護度に合わせた適切なサービスを提供することができます。

天橋園通所介護事業所内観

ハウゼ天橋通所介護事業所内観

地域交流ホール

デイサービス棟の内部には地域交流ホールを計画し、地域に開放された利用を想定しています。多世代が街の「公民館」のように利用できるスペースを設けることで、介護サービスを受ける前から施設を認知してもらい、高齢者施設の利用に対する抵抗感を緩和し、地域との敷居を低くすることを期待しています。地域交流ホールは分割して使うこともできる連続した空間となっており、小さなグループ活動や季節の行事にも柔軟に対応できるようにしています。

地域交流ホール内観

グループホーム棟

グループホーム棟は2ユニットを平屋建で構成することで、ユニット相互の連携のしやすさ、避難の容易さを重視しました。各ユニットには入居者の個室と、共用の食堂・和室が配置されています。個室は食堂と少し距離をおいて配置し、回廊型の廊下で行き来ができ、個室内には見守りをサポートする「眠りスキャン」システムの導入が可能な設備を設置しています。  食堂に近接するキッチンには2つのシステムキッチンを配置することで、食事の片付け時などには入居者が同時に参加できます。キッチンと連続してスタッフコーナーを設け、居室エリアにも目を配れるようなつくりにしました。  また、この地域では歩行車の利用者が多いことから、トイレのつくりを3種類とし、要介護度に応じて使い分けができるようにしました。歩行車ごとトイレに入れるようにしたり、自立で利用できる方用に家庭サイズのトイレを設けています。浴室は2ユニットで2種類の個浴を共用できるように配置し、自立度が高い方からリフトの利用者まで柔軟に対応できる計画としました。各ユニットには予備室を1室ずつ設けていますが、ここは急な泊まりや研修生宿泊室として利用します。

グループホーム棟食堂内観

グループホーム棟居室内観

デイサービス棟とグループホーム棟の間には屋根のかかった車寄せがあります。主に一般デイの車寄せ兼メイン玄関として使われることになりますが、グループホームの入居者が敷地内を散策する時の休憩場所や地域へ買い物に出かけたりする時の待合い場所としても使われることを想定しています。

建築主
社会福祉法人北星会
所在地
京都府宮津市
用途
認知症対応型共同生活介護
通所介護
認知症対応型通所介護
構造
木造
階数
地上2階
敷地面積
4131.08㎡
建築面積
1592.43㎡
延床面積
1590.39㎡
竣工年月
2020年10月竣工予定
担当者
岩﨑直子 , 山本晋輔