作品紹介Works

障害者

Leaves 練馬高野台

計画建物について

当計画は東京都重症心身障害児(者)のための活動室をもつ生活介護事業所を新設する計画で、旧練馬高野台グランド跡地利用についての練馬区公募事業で採択された計画です。都重心の利用者と高野台地域の利用者の合計55名の方の通所施設で、住宅街の中に立地し環境への配慮を十分に検討しました。隣接地に新設されるリハビリテーション病院と合わせて医療・福祉拠点が創造されます。

練馬高野台福祉園は、高野台の住宅街に馴染むような新しい生活介護事業所として計画されました。落ち着いた色彩でありながら事業所としての個性を出せるような外観としています。前面の生活道路に面して、歩道状空地の整備や緑化を行い、閑静な住宅街にふさわしい街並み景観形成に配慮しています。 外周のバルコニーやルーバーの設置により隣接する建物との相互のプライバシー配慮も行なっています。重度の障害をもつ利用者の新しい感動拠点となるように、また様々な障害をもつ利用者が主体的に活動することができる環境設定をしています。

エントランス・車寄せの様子

建物配置計画

利用者の登園には、南側のメイン道路から行い、車椅子リフト付きの大型福祉バスを利用します。建物南面には車寄せ・エントランスを広く取り、敷地内でバスが転回でき、2箇所で乗降できるようにしています。いずれも雨がかからないよう屋根の下でゆっくり乗降できるようになっています。この車寄せからは、隣接する練馬区備蓄倉庫への敷地の出入口を確保しています。また敷地東側の道路に面して、サービス車両の出入りが行えるスペースとしています。

敷地東側では旧グランドにあった地域の防火水槽や桜の木を残す計画とし、造園計画を行なっています。この庭に面して1・2階とも食堂を配置し、利用者は庭を眺めながら食事を楽しむことができます。

東側前面道路から建物をみる

庭に面した「菜の花食堂」 厨房を併設している

1階 都重心対応エリア・重複障害の利用者のエリア

この生活介護事業所は、①東京都重症心身障害児(者)の利用者エリア、②身体・知的の重複障害の利用者エリア、そして③知的障害の利用者エリアと、大きく3つのエリアで構成されます。エントランスホールは、様々な利用者の動線がスムーズに流れるように家具の配置などを工夫しています。また1階には、在宅利用者のための入浴サービスを行う設備を併設しています。利用者のニーズや身体状況に応じて、身体機能の維持・向上や、作業・趣味・外出・地域交流など、様々な活動を展開します。 1階はエントランスホールを中心に左手に東京都重症心身障害者(以下、都重心)の利用者エリア、右手に身体・知的の重複障害の利用者エリアに分けています。都重心対応の活動室1は、一人当たりの面積を8㎡確保し、ゆったりとしたつくりとなっています。医務室を併設し、利用者の状況に応じて看護師のスタッフが対応できるようにしています。 活動室2・3は主に車いす利用をされている身体・知的の重複障害の利用者エリアです。可動間仕切り壁で2室の活動室を一体的に利用できるようにしています。

1階 エントランスホール

1階 活動室1(都重心対応)

活動室2・3 主に車いすを利用する重複障害の利用者対応

2階 知的障害の利用者エリア

2階は知的障害の利用者のエリアとなっており、ご自身で活動できる方を想定しています。階段も自由に行き来され、職員さんと一緒にすごす休憩スペースを設けています。また、強度行動障害をもつ利用者をうけいれる少人数の活動室も配置されています。2階にも利用者用の食堂が配置され、お昼ご飯は1階の厨房から運ばれます。

2階EVホールから活動室へ向かう

利用者と職員の休憩スペース

活動室5・6 可動間仕切りを格納した状態

2階 「こぶし食堂」

建築主
社会福祉法人 東京都手をつなぐ育成会
所在地
東京都練馬区高野台三丁目
用途
障害者生活介護事業所
構造
鉄骨造
階数
地上2階
敷地面積
2503.63㎡
建築面積
1144.20㎡
延床面積
1856.67㎡
担当者
岩﨑直子 , 矢木智之