作品紹介Works
障害者
社会福祉法人京都総合福祉協会 洛西ふれあいの里福祉施設再生事業(2023-2026)

京都総合福祉協会(以下、協会)は京都YMCAの肢体不自由児キャンプの取組みから始まり、児童、障害者、及び高齢者分野の福祉サービス全般に事業を拡げ、現在京都市内で23の事業所を運営されている京都市を代表する法人の一つです。京都市の北部地域と西部地域を中心に事業所を展開されており、洛西ふれあいの里は西部地域の中核になります。
30年間委託管理した土地・建物を取得し、今後20年程度使い続けるための増改築を実施
洛西ふれあいの里は京都市制100周年記念の一環で整備された福祉施設群として発足し、協会は開設当初から業務委託や指定管理受託者として30年以上に亘り運営に携わってこられました。この間、建物にあっては老朽化が顕著となったこともあり、京都市では民間移管を検討され、方針として「障害者の入所施設や生活介護事業所のニーズは高く、施設機能の継続は必要。一方で施設を保有し続ける場合、老朽化に伴う多額の改修経費が必要。このため、サービス継続を前提として民間移管を進める」として売却が公表されました。協会は老朽化する施設を放置できないことから利用者に関する最適化計画を京都市に提案、利用者支援に関してもその長年の取組みが評価され、民間移管の流れで土地・建物を協会が購入、所有者となったことを機に、老朽化対応と使い勝手を踏まえた最適化に係る改善に取り組んだのが今回の計画になります。
3期に亘る工事概要は下記の通りです。
1期工事:建物の外周り(屋根、防水、外壁)全面更新により躯体寿命を延ばしイメージを刷新
2期工事:増築により通所事業所を利用者の状況変化に合わせて機能拡充(授産園、デイサービスセンター)
3期工事:施設内を機能整理することにより増築をせずに空間を捻出し、居住環境整備を実現(更生園、療護園)
2期工事では更生園のエレベーター更新に係る技術的な意見提案及びデイサービスセンターにおけるリフトの導入を、3期工事では更生園の個室ユニットに見守り機器の導入を新たに進めました。3期は利用者の居ながら施工であり、安全性確保を合わせて検討しました。

再生事業計画前配置図

再生事業計画後配置図 老朽化対応と使い勝手を踏まえた最適化に係る改善の視点で優先順位をつけて増改築を実施
1期工事: 建物外周り(屋根、防水、外壁)全面更新により躯体寿命を延ばしイメージを刷新
今後20年を目途に既存建物を使い続けるための最優先事項として、建物の一部で既に発生している雨漏りの修繕がありました。応急的な対策ではなく、敷地建物全体の屋根、屋上、外壁の防水機能の更新を実施しました。もう一つの重要な意図としては、防水機能の更新に合わせて外観のイメージを刷新することで、これからもここで住み、暮らし続けていくことを内外共に示し、西部地域の中心施設として支援スタッフの帰属意識の醸成、またここで働きたいという人たちへの新たなメッセージとして協会が発信されたものでもあります。既存の外壁はクリーム色単色でしたが、外壁の更新に合わせて生活をする場として彩りを加えたいと考えて既存のクリーム色単色に対してエリアを分けて3色に塗分けること、新たに整備する駐車場についてはカラーアスファルトとすること、閉鎖的な鉄製のメッシュフェンスを杉板の大和塀に切り替えて生活のスケール感、雰囲気を濃くしていくことを考えて提案しました。

1期工事 全体鳥瞰パース 計画地である桂坂地域で取り組まれている景観づくりに配慮し、外壁は階層や機能 により外壁を3色で塗分け屋根は瓦色の金属を採用

外周り更新後 駐車場沿いに大和塀を新設

外周り更新前 建物周囲を高いフェンスが囲んでいる
2期工事:増築により通所事業所を利用者の状況変化に合わせて機能拡充(授産園・デイサービスセンター)
就労的活動を残しつつ、個別活動スペースを新たに整備(授産園新館)
授産園は、開設当初は授産施設として就労を目的に活動を開始されましたが、総合支援法へ移行される際に当時の利用者の状況を踏まえて生活介護事業所として登録、運営されてきたため、集団作業よりも個別の創作、日中活動が適した利用者が増加していました。既存建物ではそれらの活動に対応する空間が充分に準備できない状態が続いていたので、新たに既存とは空間を分けて別棟で活動室を整備しました。建物は2階建てとし、1階の活動室は壁を無節の杉板貼とし、個別活動をするエリアは視線が気にならないよう高窓に、グループ活動をするエリアは公園側に広く開口を計画しました。天井には手が届きにくい高さに半埋込みでプロジェクターを設置しました。2階には長い間要望のあった洛西ふれあいの里4施設をはじめとして協会全体で会議や催しを行える多目的スペースの整備を行いました。

公園に面した授産園新館 色は1期に合わせて選定

1階:授産園活動室

2階:多目的ルーム 4施設共同利用の他地域にも貸出

壁沿いは授産園の作品展示スペースとして活用
利用者の需要に応え事業所としての独立性を確保(デイサービス浴室棟増築)
デイサービスは重症心身障害のある方など特注のリクライニング車いすを利用される方も多く、日中活動の他に、以前から入浴サービスの需要がありました。入所施設である療護園とは屋内でつながっているため、従来は時間を分けて療護園の設備を使うということで対応されていましたが、新型コロナへの感染対策をきっかけに動線を明確に分けることの重要性を再確認するに至り、デイサービス専用の機械浴室を整備し事業所としての独立性を明確にする整備を行いました。この整備によって長い廊下を車いすで移動する負担が大幅に軽減され、これまで人力で対応されていた移乗作業も天井走行リフトに移行しました。

デイサービス浴室棟 既存とは前室を介して連結

入浴しながら風景が見れる機械浴
- 建築主
- 社会福祉法人京都総合福祉協会
- 所在地
- 京都府京都市
- 用途
- 児童福祉施設等(障害者入所支援、障害者通所施設)
- 構造
- 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
- 階数
- 地上2階建て
- 敷地面積
- 12,162.35㎡(4施設合計)
- 建築面積
- 5,403.35㎡(4施設合計)
- 延床面積
- 1期工事 屋根、外壁更新各5,000㎡、防水更新約1,500㎡、駐車場整備約650㎡
2期工事 授産、デイサービス増築約250㎡、療護園、更生園増改築約250㎡
3期工事 改修約1,200㎡(4施設の合計/空調更新のみの面積を含む)
- 竣工年月
- 2026年2月
- 担当者
- 清水大輔 , 山本朋子


