作品紹介Works

子ども

平安徳議会乳児院

乳児院 メインエントランス

設計コンセプト

 社会福祉法人平安徳義会乳児院は1933年に開設され、1966年に京都市大原野の地にその事業を移されました。今回の計画は、2016年で築50年を迎える乳児院棟の建替計画です。 乳児院においては、平成17年3月に厚生労働省から「児童養護施設等のケア形態の小規模化の推進について」が通知され、児童福祉法の設備規準も改正されました。
この建替計画にあたっては、これらの行政指導を考慮し、以下のコンセプトをもとに計画を行いました。

① できるだけ家庭的なスケール感・間取りを実現する。
② 防犯上も含めて安全性・安心につながるプランづくりを行う。
③ 敷地内のほかの既存建物(法人管理棟・児童養護生活棟)との関係に配慮し、既存乳児院とほぼ同規模の計画とすることにより、児童とは異なる乳幼児の外部空間における遊び場の確保を行う。

これらのコンセプトを実現すべく、建替計画を進めました。

「こどもの庭」からの外観

プランについて

平安徳義会乳児院における乳幼児数は20名でした。建替計画の趣旨である小規模グループ化にあたり、20名の乳幼児4~6名を1グループとし、4グループで構成することとしました。 また2グループごとに幼児ユニット・乳児ユニットにわけ、乳幼児の成長段階・活動域にあわせた生活が行えるよう、おのおの独立した平面プランとしました。 この2つのユニットの中間には、スタッフルームを配置し、夜間2名のスタッフが行き来することができるようにしています。 また、各グループの南面には外部テラスをもうけ、屋外空間を身近に感じられるようにするとともに、生活エリアの水廻りについて、外気がとりこめ自然換気がおこなえるようなプランとなっています。 乳幼児のための部屋は、4つの空間がつながる田の字プランとなっており、乳幼児の食事・授乳・睡眠など流動的な生活に対応できるようにしています。

サービス動線・スタッフ廊下は居住エリア外に設けるものとし、よりユニットごとにスペース内での落ち着き・家庭らしさを保てるようにしました。

乳児ユニットと幼児ユニットがそれぞれ田の字の寝室・ほふく室を持つ

乳幼児のエリア

幼児ユニットと乳児ユニットには、それぞれに内部玄関があります。 ユニットの内部玄関前の共用部には、「デン」という小さな遊び場をつくり、外部のこどもの広場へとつながる玄関があります。ここから様々な遊びが生まれていきます。

ほふく室と寝室 2つの間を5人で1グループの乳幼児が生活する。

ほふく室・寝室の前面に設けられたテラス

ユニットの内部には家庭と同じく、専用のキッチンや洗面・浴室があります。 ユニットの居住エリアは、こどもたちの途切れのない動きを受け止められるよう、連続した田の字プランで構成されており、スタッフの視線が通るように建具の配置に工夫をしています。

子どもたちが過ごす寝室・ほふく室は、連続したウッドデッキテラスでつながります。 ここは、各ユニットの物干しであり、ビニールプールなどをする遊び場でもあります。 デザインとしてコンクリート庇がデッキに面して連続しています。ユニット間にガラス庇を差し込むことで明るさとリズムをつくっています。

こどもたちや家族の方への支援スペース

エントランスホール

建替えにおいて、隣接する児童擁護施設の児童や、地域の方がこられる共用空間も十分に確保しています。共用部は、乳幼児の生活ゾーンとは分けられ、相互の生活や活動が独立するように計画しています。またセキュリティ管理もこの度の建替で計画されています。 この共用部は、家庭支援相談や心理療法を行えるスペースも確保しています。ここでは来館された利用者が楽しい気持ちになるような内装デザインとしました。 エントランスホールには陶額堂によるステンドグラスが設置されています。京都市大原野に歴史を刻む、平安徳議会の法人本部、児童養護施設、そして今回建替えられた新しい乳児院を空からみた風景として表現されています。    

多目的ホールは平安徳議会の創設時から守り育てられた桜をできるだけ残すように、配置を決定しています。天井の高い空間を有しており、ホールの四隅に設けられた縦長の開口部から、その桜を眺められるようにしています。 このホールは「さくらホール」と呼ばれ、乳幼児の遊戯スペースとしての活用以外に、児童養護施設の行事・日々の学習活動にも利用されます。 ホール正面の上部には、外観の特徴ともなっている丸窓があり、そこにも平安徳議会のシンボルである風見鶏のステンドグラスがはめられ、多目的ホールに光を注いでいます。

多目的ホール ステンドグラスは平安徳議会のマークである風見鶏と大原野の風景がモチーフとなっている

建築主
社会福祉法人平安徳義会
所在地
京都市西京区大原野灰方町
用途
乳児院
構造
鉄筋コンクリート造 
階数
2階建
敷地面積
5832.52㎡
延床面積
855.93㎡(258.9坪)
竣工年月
2017年10月
担当者
岩﨑直子 , 玉井英登