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高齢者

社会福祉法人淳風会 グリーンヒル淳風 エレベーター増築・改修

社会福祉法人淳風会 グリーンヒル淳風では築32年を経過し、大規模改修を行いました。

 居室内部は入退去のタイミングで内装改修をしてきましたが、共用部については、入居者が生活されているため、スタッフだけではなかなか進めることが難しい状況でした。前年度に同法人の「特別養護老人ホーム淳風とよなか」の改修を行い、ある程度時間をかけてでも今のタイミングで改修を進めたいとの要望で、改修計画を開始しました。

 ケアハウスは比較的自立度の高い高齢者の住まいでありながら年々、歩行器や車いすの利用者も増えており、共用部の改修を主に進めたいとの要望でした。

既設エレベーターが1台のため、耐用年数が経過しリニューアルしたくても利用者が生活される中、長期間止めることは難しく思案されていました。

【主な改修工事】

第一期工事

  • 浴室改修+個浴の新設
  • トイレ改修(利用の少ない男女トイレを福祉対応トイレに改修)
  • 食堂の内装改修
  • 玄関の改修(下足動線の改善)
  • 事務室の改修
  • 照明のLED化改修
  • 外壁改修(クラック補修・塗装)
  • 屋上の漏水が発生しているため防水及び屋根の改修
  • 地盤沈下による設備等の配管破損対策及び玄関まわりの段差改善

エレベーターの増築にあたり申請敷地の整理と確認申請が必要でした。そのため申請を必要としない改修工事を先行させ、工事と並行して増築工事に関する既設調査を進めました。

 

第二期工事

  • エレベーター増設及び既設エレベーター現行法規対応工事
外壁・屋根改修

外壁については、経年劣化によるひび割れから部分的に漏水している部分もあり、事前調査で補修箇所も見込んだうえで、足場施工後、再度調査を行いました。
コンクリート打ち放しの建物で、できるだけ建設当初の外観を生かしたいとの要望でした。
高圧洗浄により汚れを除去したのち、ひび割れ等の補修を行い、打ち放しコンクリートの風合いを残した改修方法を選択しました。鉄部には錆も見られたため、錆処理の上塗装を行いました。樋の劣化・破損もあったため取り換えを行っています。アルミサッシ周りのシールやり替え、網戸等の補修も行っています。

外部:改修前

外部:改修後

屋根:改修前

屋根:改修後

玄関・食堂改修

玄関、食堂は複合フローリングを使用されていたため、長年の劣化で表面が掛けたり、傷がついた状態でした。 玄関の下足入れも入居者の高齢化により使いづらく、歩行器や杖を使用される方が増え段差解消をしたいとの要望でした。
下足コーナー横に新たにスロープを設け、利用者に使いやすいよう中段を入居者用の下足入れにし、下段には引出し式の収納付きベンチを組み込みました。
食堂には電球式の装飾照明がありましたが、今回の改修で全館LED化を行いました。
感染対策として、手洗い周りの改修も行いました。
コロナの感染が発生した時期であったため、利用者だけでなく外部からの来客の方のうがい、手指消毒をおこなうことを想定し、周辺備品の取り付け場所等も配慮した仕様となっています。

玄関:改修前

玄関:改修前

玄関:改修後

食堂:改修前

食堂:改修後

食堂手洗い:改修前

食堂手洗い:改修後

浴室改修

床や壁のタイルが割れたり、部分的に水漏れが発生していたため浴室改修を行いました。
利用者の入浴を止めるわけにはいかないことや今後の利用者の高齢化に伴う介助対応も考慮して、大浴場の改修を行うために先行して介護用個浴を先行して工事しました。
入居者用の男子トイレ、女子トイレがありましたが、歩行器や車いすでの利用が困難なため入居者の利用を制限されていました。
浴室改修とあわせて福祉対応(車いす対応)トイレに改修を行いました。

浴室:改修前

浴室:改修後

エレベーター増築

二期工事としてエレベーターの増築を行いました。既設のエレベーターは油圧式の乗用タイプでストレッチャーが乗らないため、救急搬送等も難しい状況でした。
既存昇降路での入替にはメーカーの試算では約1ヶ月から1.5ヶ月必要となり、費用も新設する場合と同程度の費用がかかるとの提案でした。
高齢化も進み救急搬送の機会も増える可能性が高く、普段の利用も車いす利用者が増えると食事時間の上下移動が一台では厳しいため、エレベーター棟を増築することになりました。
設置できる場所が中庭部分しかなく、資材搬入や工事車両の進入計画を事前に行い、施工計画を立てたうえで増築計画を進めました。

エレベーター増築前(外部)

エレベーター増築後(外部)

エレベーター増築前(内部)

エレベーター増築後(内部)

外部エントランス段差改修

エントランスの車路部分は、地盤の沈下により段差が生じている状況でした。設備架台や建物周辺にも段差が発生していたため、段差の解消を行うとともに地盤改良を行いました。専門業者による事前調査を行い改善手法を検討し改修予算を試算しました。

エントランス前車路:改修前

エントランス前車路:改修後

建築主
社会福祉法人淳風会
所在地
大阪府寝屋川市太秦高塚町
用途
ケアハウス(軽費老人ホーム)50名
構造
鉄筋コンクリート造
階数
5階
敷地面積
1,980.41㎡
建築面積
641.36㎡(エレベーター増築部分:8.69㎡)
延床面積
2,028.35㎡(エレベーター増築部分:61.70㎡)
竣工年月
建設時期:1991年3月(築32年)
改修工期:2022年5月~12月末(約8ヶ月)
担当者
相本正浩 , 今津恵美