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高齢者

社会福祉法人淳風会 特別養護老人ホーム淳風とよなか 改修

社会福祉法人淳風会 特別養護老人ホーム淳風とよなかでは、築20年が経過し入居者の身体状況の変化により入浴介助が難しくなり、大浴場の改修を行うとともに外壁や防水等の大規模改修を行いました。

居室等は、利用者が入退去されるタイミングでクロスや床材の貼替をその都度、地元の工務店に依頼され、自分たちで維持管理をされていましたが、防水や浴室の改修は、どのように段取りしたらよいのか分からず、なかなか工事に取り掛かれず困られていました。

 今回の改修工事では、入居者が生活されながらの改修工事になるため、施工手順について運営に支障がないように事前に工事工程の検討を行い、あわせて工事予算の調整を行いました。

主な改修工事は次の4項目です。

【主要改修工事】

① 4階大浴室、機械浴室、脱衣室改修(浴室改修に伴い3階居室内装改修)

② 屋上防水改修(改修に伴い屋上緑化の撤去)

③ 外壁改修

④ 電気錠増設等

 特養入居者の要介護度が上がるとともに入居の条件が介護度3以上になったため、建設当時と入浴の介助や利用方法が大きく変わり、既設の浴室では十分な対応が難しくなったため、今回の改修の一番の目的は、利用者にも介助者にも使いやすい浴室に改修することでした。

浴室が4階にあるため、施工方法や手順についても事前に打ち合わせを行い資材搬入や工事車両等についてもシミュレーションを行い、計画案を作成しました。

 

大浴場改修

大浴場と機械浴の中央に脱衣室のある一般的な浴室ですが、浴槽が大きいため利用者は一部に固まって入浴するので広さの割に利用される方にも介助するスタッフにも不便な状況でした。
【スタッフの要望】
・大浴場に個浴を設置し、介助者の負担を軽減したい。
・リフトは脱衣でも活用し、機械浴の利用者にも対応したい。
・大浴場は湯量を減らし、ひとりひとりが入浴し易い形状にしたい。
・タイル張りのお風呂はカビが発生しやすく、冷たいため、暖かい感じの浴室にしたい。
【改修内容】
・大浴槽を小さくし、正面から3名が同時に入浴できるように形状を変更
・個浴を3台設置(写真奥側)
・個浴へは、天井走行リフトを利用して対応可能とした。
・浴室を完全にスケルトン状態にするために、資材等は中庭からの搬出、搬入で対応。
注記:浴室の改修を行うためには、3階天井内の排水管の変更を行う必要があるため、浴槽下階の天井内工事が発生するため居室の利用をストップし配管工事を行いました。

4階大浴場:改修前

4階大浴場:改修後

脱衣室

脱衣室は、大浴場と機械浴で共用した利用をされています。
【改修内容】 ・車いすからシャワーキャリーや入浴用ストレッチャーへの移乗の負担を軽減するために全面走行の天井リフトを設置。
・脱衣室内にあったトイレの使用がなくなったため、撤去してスペースを有効に活用。
・移動できないPS部分を活用して物品棚を設置。
・壁の仕上げを湿気に強く、清掃しやすい材料に改修。
照明器具や空調機等の設備については、すでに改修されている機器もあったので、再利用可能なものはできるだけ移設再利用することで予算を削減しています。

脱衣室:改修前

脱衣室:改修後

機械浴室

機械浴室には、仰臥位浴1台と個浴2台が設置されていました。
大浴室の浴槽に入れない方へ対応するために機械浴室内に個浴を後から設置されている状況でした。
利用者の介護度が高くなり、仰臥位浴の使用頻度が多くなってきたので、今回の改修では仰臥位浴2台を設置に対応し今後仰臥位浴の利用者が増加することに対応しました。

機械浴室:改修前

機械浴室:改修後

外壁改修

外壁については、汚れだけでなく窓枠等のシール等も劣化していたため、経年劣化によるひび割れ等の調査も行い、部分補修等も行った。
手摺やスチール製の建具の錆も発生していたので、下地処理を行ったうえで塗装を行った。

外壁:改修前

外壁:改修後

屋上防水改修

屋上については、建設当時は入居者が花壇等の手入れをすることもあったようですが、介護度が高くなり屋上利用の頻度がなくなったため、屋上に設置された花壇を撤去し全面的に防水改修を行いました。
押さえコンクリートの撤去はせず、軽歩行の露出防水の仕様としています。

屋上:改修前

屋上:改修後

建築主
社会福祉法人淳風会
所在地
大阪府豊中市二葉町
用途
特別養護老人ホーム・デイサービス
構造
鉄筋コンクリート
階数
4階
敷地面積
2,907.54㎡
建築面積
946.25㎡
延床面積
3,320.81㎡
竣工年月
建設時期:2000年3月
改修工期:2021年6月~9月末(約4ヶ月)
担当者
相本正浩 , 今津恵美