作品紹介Works

障害者

ルキーナ・うだつ 改装

自立支援棟 リビング「みらいひろば」/
横になるひと、くるまいすのひと それぞれに対応できるように小上がりを設けた。テレビは家具に収納されている

概要

築20年経て内装の傷みが目立ってきた障害者入所施設の改装工事を行いました。
今回の改装工事の大きな目的は以下の4つです。
 1.内装の傷みが具合が激しい「自立支援棟」のリニューアル
 2.スヌーズレン室の充実
 3.廊下の床材をノンワックスタイプに変更
 4.冷媒規格が変わり修理の難しくなった空調機を更新
特に「自立支援棟」では壁の陥没や建具の破損など全体的に損傷部分が目立ち、職員による応急処置が施されていました。
ほぼすべて剥がされていたビニルクロスの壁は合板張に、染みやカビのあった寄木材の床は、耐衝撃性のある塩ビ製のシートへ貼替をおこないました。

自立支援棟廊下/建具枠は再利用し、ほか内装を全面的にリニューアルした

自立支援棟/新たに車いすトイレを設け、狭かった洗面所は廊下の一角に
利用者のコップなどを収納する家具を製作した

自立支援棟/タンクふた固定式の便器に変更
水を流してもにおいの染みついていた床は、目地の少ない大判タイルへ

2人部屋/合板の腰壁に防汚目的の艶あり塗装
照明は1人ずつに設けた

自閉症の方の多いこの施設では壁の石膏ボードに穴をあけたり、クロスを剥がしてしまう方もいらっしゃいます。「破壊されず剥がされない壁」とする方法はいくつかありますが、このたびはコストが抑えられて柔らかい雰囲気となる合板を採用しました。腰部分は強度のあるラワン材ですが、全体が暗くなりすぎないように腰上は明るいシナ材を使用しています。
2人部屋はカーテンで区切り、中央に1灯しかなかった照明をそれぞれのエリアで制御できるようにしけました。

本館のスヌーズレン室はもともと2人部屋であったところにバブルタワーなどの器具が置かれているだけでしたが、遮光とプロジェクタの投影を兼ねた建具で窓を覆い壁にはミラーフィルムを貼ることで、映像が連続し、幻想的な雰囲気をいっそう増すことができました。

スヌーズレン/壁の1面にミラーフィルムを貼る

スヌーズレン/星空が連続して、より幻想的な雰囲気に

ワックスメンテナンスのたびに多くの人出と時間を要していたため、ノンワックス機能のある床材への貼替をご提案しました。建物を使いながらの工事のため工事区域を細かく分けて行う必要があります。時間帯による動線制限や、時には施設側の協力を得て部屋を移動していただいたりしながら、想像以上の難工事となりました。
サークル模様をランダムに配置して、長く単調に感じがちな廊下にアクセントを加えています。

本館廊下/お風呂場前の廊下は利用者のたまり場にもなっている
アイキャッチとしてのサークル模様をランダムに配置した

建築主
徳島県手をつなぐ育成会
所在地
徳島県美馬市
用途
障害者入所施設
竣工年月
令和3年4月
担当者
河井美希