作品紹介Works

病院 / 精神科

医療法人清流会 そよかぜ病院

お花見やお祭りにも使える庭は、患者の憩いの場となっている

精神科のイメージ刷新。 地域へ開放されたあかるい病院へ

そよかぜ病院は昭和38年の開設から50年にわたり徳島市における高齢化に伴う療養型の精神医療を担ってきました。繰り返しの増改築により動線が複雑になり、格子で覆われた建物は地域に精神科病院の閉鎖的なイメージを植えつけていました。 本計画では老朽化の進んだ病棟192名分のベッドと外来・栄養課をひとつの建物にまとめ、これまで病院が抱えていたハード面の問題を解決しています。 病院の名称も「緑ヶ丘病院」から「そよかぜ病院」に改称し名実ともに明るい病院として生まれ変わりました。 建物を解体したことにより道路から建物までの間に十分な広さの空間が生まれ、病院を利用される方々が気軽に散策のできる明るい庭を設けることができました。数種類の桜や楓の木々が季節ごとの装いを見せ、閉鎖病棟からも臨むことができます。

こじんまりと親しみのある受付

外来

エントランスを入るとまず受付職員の温かい笑顔で迎えられます。音が響かず光のちらつきを押えるカーペット敷きの待合は患者の緊張感を和らげます。精神科外来と新しく開設された「ものわすれ外来」の診療待合はそれぞれ別に設けて、お互いが気兼ねすることなく診察を待ってもらうようにしています。 また、精神科の2つある横並びの診察室は扉の位置を壁ごとずらして、出入のタイミングが重なった場合に配慮しました。

診療待合(精神科)

診療待合(認知症) 

患者のための空間-閉鎖病棟

増築された部分には4つの異なる性格の閉鎖病棟があります。高齢化・慢性化の進んだ方、合併症を患う方、お若く活動的な男性と女性など、それぞれの症状や特性にあった病棟に入院しています。長くなりがちな精神科病院での入院を「生活する場所」として捉えて、派手さを排除した温かみのある柔らかな内装とし、自由に外部へ出ることの叶わない患者のためにご近所に配慮をしながら、随所に大きな窓を設けています。 また、カラオケなどのレクリエーションも行う作業療法室を病棟内に計画したことで、移動手段や時間が合理化されただけでなく、病室と食堂だけであった患者の居場所をもうひとつ増やすことができました。 保護室は堅牢性と居住性を満たす天然木で仕上げ、大きな窓はポリカーボネート製でさりげなく頑丈に作られています。

生活をする場としての病棟(写真は合併症病棟)

作業療法室 パーティションで男女に分けることができる

天然木で仕上られた保護室 天井高さは2.9m

活動的な場 重度認知症デイケア

地域に根ざす

ものわすれ外来の開設のほか、専門的な認知症のケアを行う重度認知症デイケアが開始され、精神科病院がより身近なものとなりました。さまざまなプログラムに対応した広い空間は、病棟とは異なる活動的なインテリアとしました。

働きやすい環境

明るく活き活きとした職員食堂では、リラックスしながら会話も弾んで、他部署で働く職員同志の自然な交流が生まれます。 もともと外来があった場所は、病院で働く職員のための保育所に改修しました。既存の吹き抜けを生かしたのびのびとした空間に仕上がりました。

職員食堂

院内託児所

現地解説動画

設計者河井が現地を撮影し、計画時のエピソードや設計の工夫を交えて解説した動画です。ぜひご覧ください。

現地紹介動画 その1 外部~1階外来・管理部門(9分59秒)

現地紹介動画 その2 1階デイケア(2分51秒)

現地紹介動画 その3 3階病棟(5分55秒)

現地紹介動画 その4 2階病棟・作業療法室(4分38秒)

建築主
医療法人 清流会
所在地
徳島県 徳島市
用途
精神科病院
構造
鉄骨造
階数
地上4階
敷地面積
12,095.47㎡
建築面積
2,701.65㎡(増築部分)
延床面積
7,430.44㎡(増築部分)
竣工年月
2019年3月
担当者
河井美希