作品紹介Works

高齢者

高齢者福祉総合施設 健光園

管理棟 エントランス

社会福祉法人健光園は、京都市内で2番目に古い老人ホームとして風光明媚な嵯峨の地に戦後間もない1949(昭和24)年に壽樂園という名前で誕生しました。
以来、養護老人ホームと特別養護老人ホームの施設サービスと共に、短所入所サービスや訪問入浴サービス、デイサービス、ホームヘルプサービス、訪問看護サービス、配食サービスなどの在宅サービスも先駆的に且つ積極的に提供されています。また、今日では高齢者福祉のみならず京都市内で3館の児童館も運営され全ての世代の福祉課題に取り組んでおられます。

今回は、改築後40~50年経過した養護老人ホームの全面的なリニューアル計画を行いました。
養護老人ホームは、軽費老人ホーム等と共に今後のあり方について、今日尚多くの議論があります。そうした中で健光園の理念である「生涯地域居住」の実現に向けて「養護老人ホームの現代化=高齢者の社会的リハビリテーション施設として再生すること」を目指し、そこにおいて地域交流をどのように位置づけるかが重要です。こうした目的を実現するため、プロジェクト委員会、リニューアル委員会を開催しハードのみならず、ソフト面での改革を行ったリニューアル計画です。

道路からのアプローチ

居住棟

敷地は水路と道路を挟んで北敷地と南敷地があります。今回の改築は南敷地において行い、北敷地は進入路部分を除いて「車が入らない安全な自由広場」を設けます。広さは1,000㎡以上あり地域の人々に広く開放することができます。
南敷地に建築する養護老人ホームは、地域社会の場としての総合棟(地下1階、地上1階建て)と生活の場としての居住棟(地上2階建て)を渡り廊下で接続した計画としました。
総合棟は自由広場に面した部分に開放的な喫茶・売店を設け地域のみなさまが足を踏み入れやすい雰囲気としました。地域交流室、子育て支援活動いきいきセンター(つどいの広場)は、まちづくりに積極的に貢献できるよう十分なスペースを確保するためエントランスホールとサンクンガーデンとを一体化する可動間仕切壁とし、フレキシブルな利用を可能とする地域交流空間としました。
また、全ての職員がワンルームで業務が行える総合事務室を1階に設けソフト面での充実を図りました。地階には、四季の変化が感じられるサンクンガーデンに面してデイサービスを設けています。

1階廊下

1階地域交流室

吹き抜け階段

サンクンガーデン

喫茶・売店

子育て支援

また、全ての職員がワンルームで業務が行える総合事務室を1階に設けソフト面での充実を図りました。地階には、四季の変化が感じられるサンクンガーデンに面してデイサービスを設けています。
居住棟は、住宅化・自宅化への第一歩であると認識のもと個室化しました。各階のエレベーターホールは、地域社会と生活の場を認識できる内玄関を設けています。食堂・集会室、セミパブリックスペースは、個室に閉じこもりがちならないよう自然に集まる憩のスペースとしました。職員室、キッチンなどスタッフコーナーは、職員が程よい距離感をもって支援を行えるようリビングを中心に見守りやすい配置としました。
施設の中に交流拠点をつくるのではなく、交流拠点=まちづくり拠点の中に高齢者の「住まい」「居場所」をつくるという逆転の発想をし、ハード面の計画を行いました。

キッチン

食堂

建築主
社会福祉法人健光園
所在地
京都府京都市
用途
養護老人ホーム(40名) / デイサービス(10名) 等
構造
鉄骨造
階数
地上2階、地下1階
敷地面積
4,272.82㎡
建築面積
1,061.50㎡
延床面積
1,904.10㎡
竣工年月
平成27年12月
担当者
近藤吉広