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医療

【医療 建築セミナー2026/東京・大阪】

開催日:2026/04/25(土)

 

病院事業計画の決定に向けて、ゆう建築設計が行っていること

−事業計画の初期段階から設計者が関わることが、建築費高騰への対策の重要な視点となる−

建築費の上昇、既存建物の老朽化、病院機能の見直し、工事中の運営継続など、病院建築を取り巻く条件は複雑になっています。その中で、事業者が計画を前に進めるためには、事業計画の前提となる事業方針を整理することが重要です。
今回のセミナーでは、ゆう建築設計が1 回目の提案書から事業計画決定までに、設計VEの思想に基づく視点でどのような情報を整理しているかを、3 部構成で紹介しました。

セミナー会場風景(東京)

 

第1 部
「事業計画の方向性を検討する」
−建築からの多様な可能性を示す1 回目の提案書−

第1 部では、病院の建替え・改修を検討する際に、1 回目の提案書でゆう建築設計が何を整理し、どのような資料を作成しているかを紹介しました。
建替えや改修の相談は、必ずしも具体的な要望から始まるものばかりではありません。
「建物が古くなってきた」「現在の運用とのずれが大きくなってきた」「将来を見据えて整備したい」「工事費の目安を知りたい」など、相談の入口はさまざまです。
そのため、病院計画において何を整理すべきかを明らかにし、建築の視点からどのような可能性を示せるかを整理することが重要になります。
セミナーでは、1 回目の提案書で整理する内容として、主に次の視点を紹介しました。
・現在の建物や運用の状況を読み取ること
・必要な建物規模を検討すること
・概算工事費と事業工程を整理すること
・工事中の病院運営をどのように継続するかを確認すること
・行政ヒアリングで確認すべき事項を事前に整理すること
これらを基に改善すべき方向性を検討し、複数案の選択肢を提示しています。
これらは、事業者が計画を進めるか、内容を調整するか、時期を見直すかを判断するための材料を整える作業です。
第1部では、病院事業に特化した設計者として、事業者の運営方針や将来構想を建築計画として検討できる状態に置き換えていくことの重要性をお伝えしました。

第一部資料(抜粋)

講師:河津 孝治

 

第2 部
「ゆう建築設計は、なぜ事業計画段階で適切な工事費で考えられるのか」
−「設計VE の思想」に基づいた、事業計画に沿ったコスト算出方法−

第2 部では設計VE について紹介しました。
ゆう建築設計が考える設計VE とは、病院の機能を維持しながら、コストを最適化する手法です。
建築費が上昇している現在、計画初期の段階で工事費をどのように捉えるかは、事業計画を進めるうえで大きな意味を持ちます。
セミナーでは、事業費を次の考え方で整理しました。
【事業費 = 必要となる建物規模 × 設定坪単価 + 案件固有費用】
ここで重要になるのは、建物規模の妥当性と、設定坪単価の考え方です。
建物規模は、病院に必要な機能、運用、人の動き、将来対応を踏まえて検討します。
規模が大きくなれば事業費も大きくなります。一方で、規模を絞り込みすぎると、必要な機能や将来の運用に支障が出ることがあります。計画初期の段階では、必要な機能を維持しながら、事業として成立する建物規模を見極めることが重要です。
設定坪単価については、ゆう建築設計の直近の類似案件をもとに導き出しています。
企画時点では、用途、規模、構造、工事時期、建物の性格が近い案件を参照し、計画の基準となる坪単価の価格帯を設定します。これにより、現在の建築費に即した現実的な水準を確認します。
また、どの計画にも案件固有費用があります。
既存建物の解体、仮設、インフラ整備、敷地条件への対応、行政協議、工事中の運営対応、設備更新、外構、将来工事を見据えた準備など、案件ごとに整理すべき費用です。
さらに、基本設計段階での概算見積についても紹介しました。
企画時点では坪単価を用いて事業費の大枠を整理し、基本設計段階では、建築、構造、設備、外構、解体、仮設などを中項目に分けて、より具体的な概算見積へ更新していきます。
このときも、ゆう建築設計の類似案件の見積内容を参照しながら、今回の計画内容に合わせて金額を組み立てていきます。
企画時点の大枠の工事費と、基本設計段階の中項目による概算見積を段階的に整理することで、事業者が判断しやすい工事費の見通しをつくっていきます。
設計VE の思想に基づき、建物規模、概算工事費、工程、運営条件を並べて検討し、事業計画の成立条件を確認していきます。

第二部資料

講師:近藤 吉広

 

 

第3 部
基本方針決定後、事業計画決定までに建築側で整理すること
−方針が決まった後、どのような判断材料をそろえているか−

第3部では、基本方針が定まった後、事業計画を決定するまでに建築側で整理する内容を紹介しました。
計画の方向性が定まった後、事業計画として確認すべき内容をもう一段具体的に整理する基本設計の段階があります。
この段階では、平面計画に加えて、立面、断面、外観、構造、設備、行政協議、工程、概算工事費を総合的に確認します。
平面計画では、病院に必要な機能が適切に配置されているかを確認します。
患者、職員、物品、検体、食事、廃棄物など、病院内には多くの動きがあります。日常の運用に沿った計画になっているかを確認することが、事業計画段階でも重要になります。
断面計画では、階構成、既存建物との接続、設備スペース、将来対応、避難計画などを確認します。平面上で成立している計画も、断面や設備計画と合わせて確認することで、より実現性のある計画として整理できます。
構造計画・設備計画も、この段階で方針を確認します。
病院建築では、空調、給排水、電気、医療ガス、非常用電源、通信、感染対策、維持管理などが建築計画に深く関わります。設備の考え方を早い段階で整理することで、工事費や工程の見通しも立てやすくなります。
行政協議についても、事業計画段階で必要な確認を行います。
用途地域、敷地条件、既存不適格、開発など、計画によって確認すべき内容は異なります。
設計を進める前に、行政上の条件を確認しておくことが、事業計画の精度を高めることにつながります。
また、工事中の病院運営をどのように継続するかについても取り上げました。
病院の建替え・改修では、工事中も診療や病棟運営を継続するケースが多くあります。仮設の必要性、工区分け、引越し、患者・職員の動線、救急・外来・検査・給食・リネン・廃棄物など、通常運営と工事をどのように両立させるかを具体的に検討します。
この段階で建築側が整理する内容は、事業計画決定へ進むための前提条件であると同時に、事業者が計画を決定するための判断材料でもあります。

第三部資料(抜粋)

講師:田淵 幸嗣 

 

 

当日の質疑について

当日の質疑では、工事中の病院運営への対応や、ゆう建築設計がどの段階から事業者と関わるのかについて質問をいただきました。
これらの質問からも、病院建築では計画初期の整理、工事中の運営、事業計画段階での判断材料が重要であることを改めて確認できました。
今後も、建替えや改修に関するテーマを取り上げながら、事業計画段階から建築がどのように関わるかを発信していきます。