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医療

フランス視察報告2 パリの透析施設について

 フランスのパリで、日本とフランスの透析施設についてディスカッションしてきました。お相手の建築家 Mr. Pasca Beauはフランスで多くの医療施設を設計しており、ご自身が設計された透析センター(L’AURA Paris Plaisance)について、図面を見せてもらいながら、それぞれの国の透析施設の違いについて議論しました。

 このL’AURA Paris Plaisanceはパリの14区の住宅街に位置したHôpital Paris Saint-Josephtという病院の一角にあります。この病院は25科目の外来があり、病床数は680以上の大規模病院です。この病院の敷地内には、透析センター以外にも別の法人が運営するEHPAD(特養)などが併設されています。

Paris Saint-Josepht病院の正面エントランス

パリと日本の透析施設の違い

 現地に行く前に、昼食を取りながら設計された透析センターの計画内容について教えてもらうと同時に、日本との違いについて議論しました。
 まず日本とパリの透析施設の違いとして、日本では病院や診療所での血液透析(以下、施設透析)を受けるのがほとんどですが、パリは日本に比べて在宅透析の割合が多くなっています。
 また施設透析や在宅透析の中間に位置するUADやUDMの施設の割合が多く存在しています。一般的に在宅透析やUAD、UDMの割合が多いのは治療費が施設透析に比べて安く、患者の自立性や自由度が高いことが好まれていると言われています。

※UADやUDMはマンションの一室のような施設に患者が集まって、自分で穿刺や透析機器の操作をすることが前提になっている施設です。
 UAD:Unité d’Autodialyse
 UDM:Unité de Dialyse Médicalisée

 それぞれUADは在宅透析寄り、UDMは施設透析寄りの中間施設で、自立の程度や看護師の有無、医療管理の有無によってさらに分類されます。
このような在宅透析と施設透析の中間のあたる施設が多く整備されているのもフランスの透析治療の特徴です。

透析センターの平面図を見ながら議論

 Mr. Pasca Beauが設計した透析施設はL’AURA Paris Plaisanceという施設で、日本にも多くある施設透析のタイプです。この施設は入院24床と通院透析60床が配置されており、通院透析は月曜から土曜日の7時から24時まで治療が提供されています。運営団体はL’AURA Parisという非営利団体で、パリ首都圏で11施設運営している法人です。

右側:透析センター(L’AURA Paris Plaisance)

透析センター入口

パリの透析室の形状について

 日本では、透析施設で60床を配置する場合、患者の見守りやスタッフの配置効率などに考慮して、60床を1部屋に配置した大部屋の透析室がメインになっています。 最近ではベッド配置の一部を感染対策の個室やプライバシー対策の個室・準個室にすることは増えましたが、大部分は大部屋の透析室です。
 しかしこの施設では60床を1部屋にまとめないで、小部屋の透析室で構成されています。透析室の種類は4床タイプ×2部屋、8床タイプ×5部屋、12床タイプ×1部屋という構成になっています。

スタッフ配置に基づいたベッド配分

 これらの透析室のベッド配分は4床の倍数で計画されており、それぞれ透析患者4名に対して、スタッフ1名の割合でスタッフ配置が決まっており、それぞれの透析室にはガラス張りのスタッフステーションが併設されています。各スタッフの担当区分が明確になっているプランです。
 日本ではスタッフ配置の効率などで大部屋にまとめていることが多いですが、働き方やスタッフの責任範囲の明確化など、日本とは違う考え方の違いが顕著に表れている部分だと思います。

3タイプの透析室(上から4床、8床、12床の透析室)

 これらの透析室のベッド配分は4床の倍数で計画されており、それぞれ透析患者4名に対して、スタッフ1名の割合でスタッフ配置が決まっており、それぞれの透析室にはガラス張りのスタッフステーションが併設されています。各スタッフの担当区分が明確になっているプランです。
 日本ではスタッフ配置の効率などで大部屋にまとめていることが多いですが、働き方やスタッフの責任範囲の明確化など、日本とは違う考え方の違いが顕著に表れている部分だと思います。

透析室の内観(右奥のガラス張りの部分がスタッフステーション)

透析室の内観(12床のタイプで左側のガラス張りの部分は4床が個室になっています)

 実際の透析室は治療中だったので、写真を撮影できませんでしたが、治療中の透析室は患者エリアの照明はすべて消した状態になっており、かなり暗い中で透析治療を受けられていました。

病院全体の配置計画

 透析センターの見学後、病院も見学に行きました。病院全体の配置計画は、教会などがある中庭を囲むように外来や病棟などの建物が配置されています。 患者や面会する家族のメインの動線は中庭を回廊状に囲っている外廊下に各病棟や外来などの入口が配置されており、青色と緑色に分けられたサイン計画で分かりやすく誘導されています。 スタッフや物品動線はこの患者動線と完全に分離した地下や外側に計画されています。

病院全体の配置図

病院のエントランスホール(青と緑とサイン計画で病棟や外来などの動線を誘導)

中庭や教会に面した回廊状の外部通路(フランス語のPORTEは出入口を意味しています)