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障害者
改修工事で利用者の生活はどう変わったのか?!
大阪府吹田市にある社会福祉法人英芳会千里みおつくしの杜かしのみ寮の改修工事です。
障害者支援施設で、知的障害と強度行動障害をもつ利用者がおられます。入居者定員は40名+ショート3名です。
施設を使用しながらの改修工事を行い、工事期間中は段階的に部分引き渡しをしてきましたが、5月16日に全面引き渡しが完了しました。
本稿では、全面引き渡し後すぐの時点で法人様からお聞きした、改修工事で実現した利用者の住まい環境の変化について報告します。
既存施設の問題点と改修計画への要望
改修工事を行う前の施設の問題点と改修計画についての要望は以下でした。
・エリアの住み分け
様々な利用者が混在して暮らしていることによる対人トラブルが多く起こっている。
・特に、集団生活によるストレスに弱い利用者にとっては問題行動のきっかけになるような刺激が多い。
支援員は見守りに時間を割かれている。
集団生活が難しい利用者と、それ以外の利用者を2つのエリアに住み分けたい。
・居室の個室化
多人数での生活が難しい利用者の居室は全て個室とする。
以下、集団生活が難しい利用者のエリアを「個室対応エリア」それ以外を「その他エリア」と言います。
・男女区画の整備
改修後の2つのエリアは男女を扉で区画できるようにする。
これらの要望に応え、改修工事の設計内容を計画しました。
改修後「個室居室」:多人数での生活が難しい利用者の居室は全て個室とした。
改修後「個室居室」テレビ置き場:コストを抑えながらもアクリルのテレビカバーにより、安全性を確保。
改修工事で実現した利用者の住まいの環境の変化
全面引き渡し後に法人様からお聞きした、改修工事で実現した利用者の住まい環境の変化は以下でした。
「エリアが2つに分かれたことで、トラブルのきっかけになるような刺激が少なくなり、共同生活室が落ち着いた雰囲気になり、静かになった。」
「女性の利用者同士の喧嘩のきっかけになっていた利用者が個室対応エリアに移ったことで、口喧嘩の回数が減った。」
「食事前に食事準備室の前に張り付いていた利用者が個室対応エリアに移ったことで、つられて張り付いていた利用者が食事の準備を椅子に座って落ち着いて待つことができるようになった。」
「個室対応エリアを検討していたが選考に漏れた利用者も、その他エリアが落ち着いた静かな環境になったことで状態が落ち着いた。」
「個室対応エリアの食堂に扉を付けて閉鎖型としたことで、食事の2部制が実現している。食事の喉詰めを見守る人数が減ることで職員の負担が軽減した。食べこぼしなどの清掃が部の切り替え時に行えるため、他人が落したご飯を食べるなどの不潔行為がなくなった。1人に対する食事スペースが広くなり落ち着いて食べることができている。などのメリットがでている。」
改修後「その他エリア食堂」:改修後は「集団生活が難しい利用者」と「それ以外の利用者」を2つのエリアで住み分けを行った。
落ち着いたら、こだわりが出ることも
「利用者の建物に対するこだわりは、今のところあまり出てきていないが、今後生活が落ち着いてきたら出てくる可能性がある。注意して見ていきたい。」
今後は、個室の支援スキルを磨きたい
「個室対応エリアには個室を整備したが、日中は共同生活室で過ごされている利用者が多く、個室で過ごされている利用者は少ない。日中は支援員がいる場所に集まる習慣がついている。」
「今まで多床室での支援を行ってきたので、個室を有効に活用した支援スキルが弱いと感じている。個室の環境を整えることで利用者の日中の過ごし方や場所も変わるのではないかと感じている。今後は試行錯誤を行い個室の支援スキルをつけていきたい。」
集団生活が難しい利用者の「個室対応エリア」:建具の破壊を防止するために手すりを掘り込みとした。スタッフのみが利用する収納の建具は壁と色味を合わせて目立たないように配慮。
「その他エリア食堂」テレビ置き場
※1)今後も継続して施設への訪問を行い、利用者様の生活の様子と法人様の支援内容の変化を見せて頂くこととなりました。
※2)改修計画の詳細は、弊社書籍「支援に役立つ!障害者施設の計画ガイドブック」及び、近日中にHP作品紹介に公開予定です。