設計コンセプトConcept

障害者

知的障害者の特性に合わせたすまいのディテール 3
   <安全への工夫>

ゆう建築設計では、知的障害者の特性に合わせてさまざまなディテールを考えています。

既製品があれば様々なメーカーの商品を比較し、知的障害者の特性に合わせて使えるディテールか使えないディテールかを考えます。使えるディテールの既製品がなかれば一から仕組みを考え、実験を重ねながら知的障害者の特性に合わせたディテールを作ります。

ここでは、ゆう建築設計で考えた様々なディテールをシリーズでご紹介します。
第3回は、安全への工夫です。

(1)転倒対策 (2)窓から出ることへの対策 (3)水へのこだわり
(4)お風呂のやけど対策 (5)バルコニーからの落下防止

 

(1)転倒対策

1. 転倒対策
 運動発達が遅れている利用者や、てんかん・身体障害を伴う利用者は転倒しやすい。

■二重床
• 二重床は転倒対策には有効であるが、コストがかかる。

 

二重床 表:床材の衝撃吸収性とコスト

 

(2)窓から出る事への対策

1.サッシと格子
• 外に一人で出ると危ない利用者がおられる場合の窓から外へ出ることへの対応。
• サッシオプションと格子による対応がある。

 

①左
 脱着
 クレセント

②右
 鍵付
 クレセント

③開放制限
 ストッパー
格子

 

2.サッシと通報装置
• 利用者が脱着クレセントや鍵付きクレセントを破壊し窓から外に出た事例への対応。

■①サッシ
鍵付きクレセントの柄を切りドライバーなどがクレセント部分に差し込まれないようにした。

■②通報装置
• 柄を切った鍵付きクレセントでも利用者が出る可能性があると判断し、仮に利用者が窓から出られてもスタッフが気付くようにマグネットセンサーを設置。
• 通報は宿直室に行く。

 

(3)水へのこだわり

1.水栓
• 入居者の水遊びやいたずら、水中毒の利用者への対応

■①電動式ボールバルブ
• 水栓用リモコンを使い、離れた場所からスタッフが水の出をコントロールできる

■②鍵スイッチ水栓
• 自動水栓の電源を鍵スイッチにて管理して水の出をコントロールする

 

①水洗用リモコン
①強度行動障害ユニット洗面 ①電動式ボールバルブ
②自動水栓 ②鍵スイッチ

 

(4)やけど対策

1.やけど対策
• 知的障害施設では浴室の水栓にやけど対策が必要。
• 利用者が誤って高温の湯がでないようにする。

■大型サーモスタット
• 浴室内の水栓をまとめて安全な温度まで下げる。

■高温出湯規制サーモスタット混合水栓
• 水栓の出湯温度を約45度に規制する。
 ※水栓で温度を規制する場合、壁から水栓までの配管に断熱脚カバーが必要。

 

TOTO 大型サーモスタットの設置例

 

TOTO 高温温出湯規制サーモスタット水栓
定価64,100円
TOTO 
断熱脚カバー
TOTO 大型サーモスタット 定価167,000円

 

(5)バルコニーからの転落防止

1.パラペットと縦樋
• 屋上における落下防止のための安全対策が必要

■アゴ無しパラペット
• アスファルト防水をコンクリートのアゴで押さえず金物で押さえることで足がかりをなくす

■縦樋カバー
• 足がかりとなる掴み金物にカバーをすることで足がかりをなくす

 

アゴ無しパラペット アゴ有りパラペット(病院) 縦樋掴み金物(参考)

 

2.屋上フェンス
• 屋上における落下防止のための安全対策が必要

■高尺フェンス
• 高尺のフェンスにより利用者がいたずらでフェンスに登れないよう配慮する

■隙間カバー
• パラペットとフェンスの間の隙間を足掛かりとならないようカバーし配慮する

 

パラペット上のフェンス 高尺フェンス