設計コンセプトConcept

透析

透析室の感染予防対策

新型コロナ感染症への対応は3密を避けるのが基本的な考え方です

1 密閉空間(換気の悪い密閉空間)
2 密集場所(多くの人が密集している)
3 密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)
この3つの密を避けることが重要となっていますが、透析治療空間もこの3密を避けることがこれからの計画に必要となります。

密集・密閉対策としても有効な建築的対応をご紹介します。

1. ベッド間の間仕切り

ベッド間の距離は0.7m から1m が一般的です。
多くの透析施設は限られたスペースでベッド数を確保する検討を行いますが、ベッドの間隔は重要な問題となります。
ベッド間に設置する仕切り板や間仕切りは患者のプライバシーを確保するだけではなく、ベッドの間隔を広くできない時に患者同士の密接を防ぐ手段にもなります。

1-1 仕切り板

隣の患者の顔が見えない長さ0.8m の仕切り板を設置しています。
患者の胸位まで隠れてお互いの顔が見えないので、安心感があります。
監視装置が隠れる程度の幅なので、患者のベッドへのアクセスやスタッフの作業の邪魔になりにくい形状です。
仕切り板の上部を半透明なアクリルなどで作り、明るさを確保したり、圧迫感を軽減しています。

1-2 仕切り板(移動式)

移動式の仕切り板を設置しています。
移動式の為、ベッドの間隔が狭くても体調が急変した緊急時などは仕切り板を移動する事で、ベッド廻りのスペースを確保する事が可能になります。
またベッド数の増減にも対応しやすい間仕切り板の形状です。

1-3 プライバシーを重視した間仕切り壁

長さ1.7mの間仕切りを設置しています。
膝まで隠れる間仕切りは透析中の患者から隣の患者の姿が見えない為、隣の患者が気になりません。
間仕切りの上部にアクリルを設置する事でさらに密接を防ぐこともできます。
間仕切り壁によって患者の顔が見えにくくならないように、スタッフステーションの配置が重要になります。

1-4 ベッドでの間仕切り壁

長さ2.3m以上の間仕切りを設置しています。
間仕切りでベッドが完全に隠れるので、最も密接を防ぐことができます。
患者のプライバシーも最も確保できるので、周囲の患者が気になりません。
ベッド横のスペースが間仕切りの間隔で固定されてしまう為、ベッドへのアクセスや緊急時の搬送方法などの検討が重要になります。

2. 頭部側のスクリーン

これまでプライバシー対策はベッド間の距離や間仕切りで行ってきましたが、コロナ発生後、患者から患者同士の頭部にも間仕切りを設置してほしいという要望が出てきました。
インフルエンザなどの感染症対応で頭部側にスクリーンを設置した例です。
この頭部の透明スクリーン設置の要望が増えると思います。

3. 準個室透析の実例

準個室透析では、別の患者との治療中の密接や密集はありません。
又、扉付タイプでは、更衣を準個室内で行いますので更衣室内の密を避けることができます。
この様に準個室透析は、コロナ感染対応でも注目を集めています。
大部屋透析がメインの透析施設でも、一部に準個室を設けたいというご相談を受けています。

患者のプライバシーを守りつつ治療する場として、準個室透析が増えてきています。
ゆう建築設計は10 年前最初の準個室透析を作りました。実例のない時代でしたので、実物模型を作り、部屋の大きさ、壁の高さや形状を決めました。
これ以降、多くの透析施設で準個室透析を採用されています。
当初のものは扉を付けていなかったのですが、最近の例では多くは扉付となっています。


大雄山セントラルクリニック

「プライバシー確保と緊急時のストレッチャー横付けを両立させるパーティション計画」

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もはら堀江やまびこ診療所

「オーバーナイト透析に特化した透析診療所計画」

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