作品紹介Works

高齢者

社会福祉法人聖徳園 にしのみや聖徳園 大規模改修

改修計画概要

社会福祉法人聖徳園 にしのみや聖徳園は、平成8年10月に開設、築30年を経過し入居者の身体状況の変化に伴い、入浴やトイレ介助が難しくなり大規模改修を行うことになりました。利用者の変化とともに介護方法も改善したいということで、約1年をかけて改修計画を検討してきました。改修に合わせて「地域介護拠点整備費補助金」を活用して「多床室のプライバシー保護のための改修」と「看取り環境の整備」も行います。入居者が生活されながら順次改修を行うことになるため、施工手順についても運営に支障がないように事前に工事工程等の検討も行い、約1年をかけて改修工事を行います。

現状の問題点と主な改修要望

【現状の問題点】
① 1階の大浴場をデイと特養で利用しているが、利用者の介護度が高くなっており、現在の浴槽構成では運用が難しくなってきた。 
② 寝台用エレベーターが1台のため、2.3階の特養入居者の入浴移動時、スタッフの介助負担も大きく、時間がかかる。
③ 2.3階の特養の食堂が端にあり1カ所のため、車いす利用者も増え食事移動が大変になっている。
④ 居室にトイレはあるが、車椅子利用者や介 助が必要な方が増え、狭いため使えていない。
⑤居室のトイレに扉がなく(カーテン設置)、匂いの問題がある。
⑥ 居室の扉が木製戸車式のため経年劣化もあり重くて利用者が使いにくい。

【主な改修要望】
① 2.3階の入居者の入浴介助の負担軽減のために各階に浴室を設けたい。
② 食堂を分散させ、食事介助(移動)の負担軽減とともに小グループでの介護を行いたい
③ 入居者の環境改善のためにプライバシー改修(間仕切り設置)を行いたい。
④ デイサービスの部屋の拡充をしたい。
⑤ 居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、相談室等の諸室を整備したい。
⑥ スタッフの働く環境を整備充実させたい。
⑦ 厨房機器の更新とともに内装の改修を行いたい。

1階 改修前平面図

建設当時(1996年頃)、デイサービスは利用者の状態や規模に合わせて5種類(A型~E型)に分類されていたため、日常動作訓練室が分散され区切られていましたが、制度の変遷とともに施設形態も変わってきました。今回の改修では一カ所にまとめ食事やレクリエーションに必要な広さを確保します。リハビリ用のマシンも導入はされているものの移動等が必要なため活用がされていませんでした。マシンスペースも確保し、介護予防も積極的に行えるようになります。 浴室が1階にしかなく、デイの利用者と特養の入居者が時間帯を調整し運用されていました。自立歩行で入浴する浴槽とリフト浴、仰臥位浴等が設置されていましたが、利用者の介護度も上がり運用的に見直しが必要でした。特に特養の入居者の上下移動が必要なためスタッフの移動介助の負担が大きく時間も取られていました。また、在宅高齢者へのサービス提供を行うために「居宅介護支援事業所」「地域包括支援センター」「ヘルパーステーション」も併設されているため、そのためスペースが十分確保できていませんでした。

1階 改修前平面図

1階 改修計画概要


【1階改修項目】
①分散されていた日常動作訓練室を1カ所に集約させ、余剰スペースを在宅系の事務所と職員の働く環境整備に改修
②浴室を利用者の身体状況の変化に合わせ、介護用リフト付き個浴(メトス:個粋プラス)、仰臥位浴(メトス:コンチェルト)等に更新
③脱衣室に設置されていた天井走行リフトをスタッフの腰痛対策等に考慮し、整備・調整を行う
④デイの利用者用トイレを車椅子利用可能なブースと杖や歩行補助車等の利用でも使いやすいブースに改修
⑤職員数の増加等に伴い、更衣室・休憩スペース、職員トイレの増設
⑥厨房の機器更新と仕上げ等の改修

1階 改修計画平面図

2階 改修前平面図

2階には特養居室とショートステイ居室が配置されています。食堂が下図左の端に配置されているため移動距離が長く、特養入居者が介護度3以上になり車いす利用者が増えたこともあり、スタッフの移動介助に時間がとられ食事介助に十分な時間をとることが難しくなってきました。食堂が1カ所のためフロアでの介護サービス提供となってしまい小単位での提供がなかなかうまく運用できていませんでした。

2階 改修前平面図

2階 改修計画概要


【改修項目】
①フロアの中央付近に浴室を新設(介護用リフト付き個浴:メトス 個粋プラス・仰臥位浴:メトス コンチェルト)脱衣室に天井走行リフトを新設し入浴介助時の移乗負担を権限
②特養食堂を2カ所に分散、ショート用食堂スペースを設置
③ショートステイ、特養個室のトイレに扉を設置(トイレ介助を考慮し広さを確保)
④2床室、4床室はプライバシー保護のための間仕切り設置
⑤多床室内のトイレは数を減らし、扉を設けトイレ介助ができる広さを確保
⑥4床室は天井走行リフトを再活用できるように調整・整備
⑦職員用のトイレを増設

2階 改修計画平面図

3階 改修前平面図

3階にはケアハウス居室15室と特養2床室があります。2階と同じように特養の食堂が下図左端に灰とされておるので、食事の移動距離が長くなっていました。ケアハウス、特養の居室にはトイレがありますが、身体状況の変化に伴い利用しづらい状況でした。2階同様にトイレの扉がなく特にケアハウス利用者からは匂いの問題もあり改善を要望されていました。ケアハウスの利用者用の浴室は3階にあるものの特養入居者は入浴のために1階への移動が必要でした。

3階 改修前平面図

3階 改修計画概要


【改修項目】
①特養入居者用の浴室を増設(介護用リフト付き個浴:メトス 個粋プラス・仰臥位浴:メトス コンチェルト)脱衣室に天井走行リフトを新設し入浴介助時の移乗負担を権限
②ケアハウスのデイルームにキッチンを新設し十分な広さに拡張
③特養の食堂を居室の中央付近に移動し食事時の移動権限を行うとともに居室への移動も少なくなります。
④職員用のトイレの増設と休憩スペースを新設し働く環境改善も行います。
⑤特養2床室は、プライバシー改修を行い、居室内のトイレには扉を設け、介助がしやすい広さを確保します。
⑥ケアハウスの居室内トイレにも扉を設け、匂い問題を解決します。

3階 改修計画平面図

改修前の居室のトイレ・洗面

改修前のトイレは、写真のようなカーテンで仕切られていたため匂いの問題がありました。洗面も当時はカウンター式ではあるものの車椅子のひじ掛けがあたり奥までいけない状態でした。

1人用居室改修イメージ

ショートと特養の1人用居室は、扉を設けたトイレに改修を行います。洗面も車椅子利用に適した薄型の洗面台に更新します。居室の扉とトイレの扉は木製の吊り戸とし開閉しやすい仕様に改修します。

特養食堂改修イメージ

特養の食堂は、スタッフが作業しながら入居者の見守りがしやすいように対面式キッチンを設け、横にはスタッフの作業用デスクを設けます。キッチン、作業スペースには入居者が不用意に進入できないように管理用の扉を設けます。食堂の近くには車椅子で利用でき排泄介助が行えるよう広めのトイレを設けています。

建築主
社会福祉法人 聖徳園
所在地
兵庫県西宮市段上町
用途
特別養護老人ホーム:58床
短期入所生活介護:12床
ケアハウス敬愛(軽費老人ホーム):12床
にしのみや聖徳園甲武デイサービス:定員40人
地域交流スペース
居宅介護事業所
地域包括支援センター
ホームヘルプセンター
構造
鉄筋コンクリート造
階数
地上3階建
敷地面積
3771.35㎡
建築面積
1507.89㎡
延床面積
4363.20㎡
竣工年月
1996(平成8)年10月
改修年度2027年3月末改修完了(予定)
担当者
相本正浩