作品紹介Works

病院

医療法人社団太公会 我孫子東邦病院 移転新築工事

外壁デザイン:外壁:濃灰色を基調とし、小庇の水平ラインによって、 モダンなホテル調の病院外観計画。

■老朽化による移転建替え計画

長年、我孫子市の二次救急病院として地域医療に貢献してきた我孫子東邦病院ですが、
この度、旧病院の建築・設備の老朽化のため、千葉県の医療施設耐震化促進事業により、
旧病院から2km圏内の我孫子市でも地盤が良い高台敷地を移転先として、地域医療を新しく継続するための移転建替え計画です。

■腎・泌尿器科医療の専門病院

千葉県の東葛北部だけではなく、茨城や東京都内からも患者がくる泌尿器科の中枢病院として知られている医療施設として、腎臓から尿管、膀胱、前立腺など泌尿器系の専門医療を提供されます。
その内容として、
・手術支援ロボットシステム採用:手術支援ロボット:ダヴィンチ導入し、県下でも有数の症例数を誇る前立腺がん手術件数多い病院です。
・人工透析センターの設置(入院・外来) :昨今の透析患者の高齢化により、通院透析患者から、寝たきりの重度の透析患者まで、安心して透析治療を受け、通院や入院生活をおくれるために快適な治療環境をつくりました。
・性別適合手術:世界的に上昇傾向にあり、特にトランスジェンダーや性別違和を持つ人々の認識や受容が高まるにつれて、その需要も増加傾向になっています。
・ダヴィンチによるロボット手術だけでなく、こちらでの破砕術や、内視鏡によるレーザー治療など、さまざまな低侵襲治療もおこないます。

■手術部門、透析部門、リハビリ部門、健診部門の強化

・手術件数の増加
既存の手術室2室から、手術室を3室(整形外科、泌尿器等)に増やし、現在の年間1000件を超える手術件数以上の手術件数に対応される予定です。
泌尿器線オペの他、透析のシャントトラブルがあれば、早急にPTA(経皮的血管形成術)が行える環境を整えている病院です。
・リハビリ強化
リハビリ室面積(内法面積):200㎡を確保し、既存病院からの運動器Ⅰ、脳血管Ⅲ以上の加算がとれるスペースを確保しました。
ゴルフ外来:我孫子市は、世界的に有名なゴルフの名手を輩出したゴルフクラブがありゴルフ人口がとても多い地域特性に応じたユニークなゴルフ外来の設置。
泌尿器、人工透析に力を入れていることもあり、透析患者様、糖尿病患者様に対する運動療法や、尿失禁に対する骨盤底筋群トレーニングを中心とした排便、排尿コントロール訓練なども積極的行われます。
・健康診断
地域密着型の健診センターとして、早期発見・予防を目的とした健康診断、人間ドック、脳ドックの予約受診者が、1階外来の検査、放射線科等に行く際に、院内で迷うことない受診者動線を外来動線と分離した動線計画としました。今後、更に企業健診などの受診が期待されます。

■建築的工夫

・ロの字型回遊型の病棟プラン
病棟内のスタッフステーションから病室までのスタッフ看護動線の短縮と各所の見通しを確保した病棟計画として、看守り重視のスタッフステーションを中央に配置し、建物外周部に病室を配置した病棟は、ロの字型回遊型平面計画を採用。
・入院透析患者の移乗、移動時間の短縮
本計画では、入院透析が必要な場合、透析病棟と同一フロアに透析室を配置することにより,入院透析患者の病室~透析室間の治療前後の患者のベッド移動による負担だけでなく、スタッフ負担の軽減を考慮した計画です。
これまで、様々な入院透析をもつ病院計画の設計事例では、敷地条件・建築条件により、やむなく、透析病棟と透析室が別フロアにならざるを得ない場合がありました。
その際、病室内の移乗に3名(病棟スタッフ1名+透析スタッフ・助手2名)、移動(病室~エレベーター~別フロア透析室)に2名(透析スタッフ・助手2名)、透析室内の移乗に3名(透析スタッフ・助手3名)を要し、入院透析患者1名の病室~透析室間移動に15~20分かかります。(1時間に4名しか移動できない)
これは、透析病棟と透析室の各々のスタッフが上手く連携しても合計4名が1名の患者移動に要するだけでなく、今後、入院透析患者を強化して受け皿となる病院であれば、その移動時間の短縮には、非常に大事な計画ポイントとなります。

■透析患者の入院と通院患者の感染対策の徹底

・旧病院時代のコロナ禍に患者の個室化需要が非常に多かったことより、当初計画は全室個室の病院も希望されましたが、民間病院での差額が取れる個室化割合50%を想定した計画から、差額ベッド、工事コストを意識した面積縮小、既存病院の患者の利用状況よる多床室の必要性により、最終的には、3F:58床(4床×8,個室×24、特別個室×2)、4F:42床(4床×9、個室×6)の病棟病室構成となりました。
・4F:透析病棟フロアでは、外部から通院する透析患者と入院透析患者がいるフロアのため、下記のように感染対策をしました。
① 病棟を閉鎖病棟として透析室・その廊下とエリア分けした計画。入院透析患者は、通院透析患者動線と重複しない動線計画。
② 発熱透析患者は事前に発熱を病院に連絡し、スタッフ用EVで4Fまであがり、感染対策用隔離個室で透析治療を可能とした計画。

■総合受付・待合ロビー
1階の外来検査、健診エリア等の各ブロックゾーン分けによる 患者にもわかりやすいサイン計画を採用

■外来検査・待合
患者様への情報をサイネージにまとめた待合表示
モニタの設置ですっきりしたデザイン

■1F 健康診断
ラグジュアリーな健康診断受付・待合

■1F 健診待合

■3F 病棟
ロの字型プランの病棟:中庭による明るく開放的な病棟ラウンジ

■3F 特別個室
ラグジュアリーデザインを採用、打合せも可能な特別個室

■4F 病棟
木目調と落ち着いたブラウン色を採用した病棟

■4F 4床室

■4F 個室
ベッドバックにワンポイントでデザインクロスを採用した落ち着いた色調デザイン

■日常の医療業務からホッと一息つけるカフェ風のスタッフ休憩室

■4F 透析室
             

柔らかな明るい木目調を基調とした透析室
■見守りしやすい透析室
中央のスタッフステーションで通院患者、入院患者の両方を看守れる。
死角のない無柱空間の見通しの良い透析室:40床(通院35床、入院15床)計画。
■長時間の透析治療時
・快適な透析空調の採用
 
・快適な照明計画の採用
透析治療中の患者の眩しさを軽減する間接照明、穿刺時の処置灯は、各ベッド頭でのオンオフ制御いより、透析患者にとって快適で安全な治療空間としました。

建築主
医療法人社団太公会
所在地
千葉県我孫子市
構造
鉄筋コンクリート造
階数
4階
敷地面積
8316.51㎡
建築面積
2308.70㎡
延床面積
8180.94㎡
担当者
河津孝治 , 川﨑優里 , 西村寿々美