作品紹介Works

高齢者

複合施設きょうらく

敷地南より:施設正面左側が主出入口

概要

この計画は有料老人ホームを主用途とした複合施設の新築計画です。同地域に同法人の老人保健施設があり、そちらの老人保健施設から退所された方の在宅復帰の場とすることを主目的として計画されました。老人保健施設からの退所先という性格から、老人保健施設で月々支払われていた入所費用に、有料老人ホームの月々の支払額を極力近づけられるよう家賃設定を低くする必要があり、結果計画敷地内で居室数を確保しながら、極力建設費を抑えることを目標に計画を進めることとなりました。

夜景

風除室:左側が訪問系事業所出入口

地域交流スペース:右側奥にキッチンスペース

平面計画

建物は総3階建てで、平面形状は敷地形状に合わせたほぼ長方形となっており、建物中央部に光が届きやすいよう、小規模な中庭を設けた形状となっています。比較的単純な平面形状はコストコントロールの要素の一部でもあります。1階は道路面に主出入口・風除室があり、風除室から訪問系事業所(居宅介護支援事業所、訪問介護・看護ステーション、定期巡回随時対応型訪問介護看護)と地域交流スペースにそれぞれ直接入れるように部屋が配置されています。これにより有料老人ホーム入居者と訪問介護系事業所の来客との動線が混在することはありません。地域交流スペースはイベントスペースとして十分な広さを確保しており、また飲み物や軽食の提供、またはレクリエーションの一環としての調理にも利用できるようオープンキッチンが設置されています。その他には有料老人ホームの事務室等スタッフスペースが配置されています。

一般居室:壁面一面の色を変えアクセントとしている

食堂談話室:右側がキッチン、左側奥が物干し場

2・3階は有料老人ホームの居住スペースとなっています。居室は1フロアに8室。他に共用のトイレ、3方介助が可能なユニットバス、キッチンを完備した食堂談話室、入居者が利用できる洗濯室、及び共用部から隠して部屋干しができる物干し場を設けています。居室内の設備は車椅子でも利用できる洗面化粧台のみで、トイレや浴室は同フロアに設置されている物を共用で利用していただくプランとなっていますが、十分な数量が配置されており不便はありません。また居室内の設備を限定的なものとすることは、コストコントロールの大きな要因となっています。3階には夫婦部屋としても利用できるよう居室間に扉を設けた部屋が1組設置されています。

外観

近隣に山のある静かな住宅地に計画することを意識し、景観になじむブラウン・ベージュ系の色彩計画としました。また壁面に色によるリズムを持たせることにより、形状が比較的単純なため、単調な印象となりがちな壁面に、軽快で柔らかな印象を与えるとともに、施設の存在感も主張しています。また通学路にもなっている広い歩道に面していることもあり、敷地周辺には植栽を行い、地域住民の方に親しんでいただける施設づくりを目指しました。

夫婦部屋:左側の扉を開けると2室が1室となる

ユニットバス:3方介助が可能

建築主
社会医療法人社団 正峰会
所在地
京都府舞鶴市
用途
有料老人ホーム、居宅介護支援事業所、訪問介護・看護ステーション、定期巡回随時対応型訪問介護看護
構造
鉄骨造
階数
地上3階
敷地面積
372.92㎡
建築面積
295.58㎡
延床面積
870.96㎡
竣工年月
平成28年11月
担当者
相本正浩