作品紹介Works

診療所

高整形外科

京都市伏見区に建設中の整形外科医院です。高生会は、本院となる診療所とデイサービスセンターをすでに運営しています。
今回の計画は、1階を診療所、2階を通所リハビリテーションとしており、高齢者の方々に一体的な医療を提供していこうとする強い意志を先生から感じています。

リハビリテーションは病気の治療だけではない

リハビリテーションには生活を支えるという目的があり、スポーツ選手が競技復帰を目指すことや、疾病や外傷の後遺症を持つ人に対する機能回復訓練等が挙げられます。
高齢者に関しては、住み慣れた地域での健康的な生活を目指す手助けとなる行為と言えるでしょう。
しかし、このことは高齢者に限定した行為ではありません。
現在、確実に「リハビリテーション」の在り方は変わっています。

運動による健康維持の喜び

老化による身体機能の低下を、運動(リハビリテーション)に依って予防することは、投薬による治療とは別世界の予防方法です。
スポーツセンターやフィットネスクラブに行く高齢者の方が多いのも事実です。
運動(リハビリテーション)の内容を医療が管理することが安心感に繋がっていきます。

リハビリテーション・サロンという考え

最近、私がよく考えていることが「リハビリテーション・サロン」ということです。
医療施設を設計している以上、その施設を利用される患者さんの健康を願うのは言うまでもありません。
建築に何ができるのかと言うことを考えた場合、その地域特有の状況をよく見ることに依って、自ずと答えは導き出されます。
今回の計画地は京都市の都市部から少し離れた場所にあり、都市部に比べて地域のコミュニティが残っている場所です。
医院には、同じ目的を持った人が集まり、意識を共有します。このような場所に建つ医院に来れば顔見知りに出会います。
彼らは、医院という規定された枠組みの中で、自然発生的に集合と離散を繰り返しています。
そのため、空間に象徴性を与え、仕切ることと繋ぐことを巧みに組み合わせることにより、適度な緊張感を持つ、落ち着いた雰囲気を作り出します。
閉塞的な空間は患者に圧迫感を与え、その精神的圧迫感は治療に好影響を与えるとは思えません。
開放的な空間で心身ともにリラックスしながらリハビリテーションをすることは、多くの部分で患者の利益になると考えています。
また、日本建築の空間の光は、優しく、淡く、精神を包み込むような光です。柔らかな光は心を落ち着かせる役目を果たします。
この考え方は、コミュニティが成立している地域の特性を生かした施設の、ひとつの在り方であると考えています。

建築主
医療法人 高生会
所在地
京都市伏見区
用途
診療所:整形外科 リウマチ科 通所リハビリテーション
竣工年月
平成21年2月28日
担当者
田淵幸嗣