作品紹介Works

診療所

KKCウエルネス ひこね健診クリニック

「社会的調和を図るために」
-健康の確認-

社会が私たちに与える影響に対して、心身ともに疲弊することが多くなってきている。そのために食生活は乱れ、体を適度に動かすことがなくなり、生活習慣が悪化することによる病の発生等、社会的調和を図ることが難しくなる要因が体に蓄積する。
社会的調和を図るためには肉体的に、そして精神的に平穏な状態でなければならない。言い換えれば、自己の心身の状態に対して将来への漠然とした不安を払拭することが、社会的調和を図るひとつの手段となる。つまり、「健康」という指標を基に、将来への担保を図るベクトルの変換点を「健康診断」と捉え、そこから安心感や希望へと転化する。
この計画で求めたものは、「健康状態を知ること」を通じて、自己の状態を受け入れるきっかけとなる場所を創ること。受診を機会に自分の健康状態を知り、人生を見つめなおすことができる場所が必要だと考えた。それは、ゆったりとした空間で、自己の健康状態について認識してもらう健診クリニックの施設である。

「健康を確認するということ」 
-今後の人生を見つめなおす-

健康診断の目的は、自分の健康状態を知り、また病気を早期に発見して治療することにある。労働者が、少なくとも年に1回義務付けられている、自分の状態を確認する日をゆったりとした気持ちで過ごす方がリフレッシュできると考える。ここで大切なのは、訪れる人は病気ではなく、普段健全に生活しているということ。そして、幅広い年代の人が訪れるということ。そのため、健診クリニック全体に穏やかな、ゆったりとした空気感が漂う雰囲気を創ることが必要だと考えた。

肉体的精神的に潜んだ闇と向き合う医療の必要性という現代のテーマに対し、建築的なひとつの解法は、複雑に絡み合う社会生活の中、個人が社会と向き合う準備ができ、医療行為を通して健康を見つめ直し、リフレッシュできる健診クリニックの雰囲気創りである。急かされた雰囲気の中で健診を受けるより、訪問者ひとりひとりが他者を気にせずゆったりと過ごすことが出来る場所を確保したいと考えた。サロン的な雰囲気の中、検査と検査の間の時間を有意義に過ごすこと、つまり「待つ」ということを主軸に全体計画をまとめた。

受付・通路

婦人科待合

穏やかな健診センター

財団法人近畿健康管理センターの理念である「診る健康から創る健康へ」の中にある、「創る健康」とは、まず自分自身健康状態を認識し、見つめ直すことから始まると考えられる。このことは、私たちが提案する健診クリニックのコンセプトに相通じるものがあると考える。受診者のために私たちは施設環境の何を提供することができるのか、あらためてその部分の考えを深めるために思考を重ねた。 具体的には、以下の5つを挙げることができる。

1 木目調の仕上げ材を使った落ち着きある雰囲気創り
2 「待つ」時間を有意義に過ごすため、
   待合スペースを家具も含めて寛ぎのある空間とすること
3 電球色の照明によるリラックス効果
4 内装の一部に「朱」を使い、強い生命力を喚起させること
5 医療施設(健診クリニック)として、機能的に満足させること

人が今後の健康を願いたいと思うとき、安心して自分と向き合える場所を得て、自己を確認する場所を欲する気持ちによって、このような施設環境が導き出された。

X線待合

一般健診室

中待合

更衣室

建築主
財団法人 近畿健康管理センター
担当者
田淵幸嗣