作品紹介Works

診療所 / 透析

優人クリニック 改修

改修の目的

東京都練馬区にある透析クリニックの改修工事。増床し、オーバーナイトの透析治療を患者様に提供するための改修工事です。
オーバーナイト透析とは、夜間の睡眠時間を利用し長時間透析を行うことです。今回の改修工事の目的は、オーバーナイト透析を行うことで、仕事と透析治療の両立に悩んでいる患者様に対し、最善の医療環境を提供したいという法人様の考えを実現することです。
オーバーナイト透析をするための透析環境について、どのような計画が可能かということを、既存クリニックの設備状況とともに議論を進めました。

「個室風」透析室を目指す

クリニックの構成はビルの多層階にわたっており、計画を依頼された階は、透析機械室と管理部門が整備されていました。定期的に通院される患者様のため、一時的にでも透析治療を止めて休院することはできませんので、現存する透析機械室をそのまま利用し、残ったスペースで何床のベッドを確保できるかということとともに、オーバーナイト透析を行う透析室の運用について検討を進めました。
透析室の運用についてのご要望としては、日中は大部屋透析室として使用し、夜間はオーバーナイト透析を行うための工夫を提示して欲しいという内容です。
日中は外光が差し込む明るい雰囲気となり、夜間はプライバシーに配慮した工夫を求められました。ここで重要となることは、ベッドレイアウトとベッド周りの工夫についてです。
オーバーナイト透析を行う透析室で、私達が最も多くの時間を費やし、検討を重ねた項目は、他の患者様を気にすることなく、いかにゆったりと就寝できるかという点です。患者様の視点でこれを突き詰めていくと、最終的には個室透析へ導かれると思うのですが、ここには運用面が大きく関係しており、現段階では個室にすべきだとは一概には言えないとの結論となりました。
そこで、日中と夜間の使い方が違う透析室に対して、どのように個室化を図るかという問いに対し、私達は下記に示すいくつかの案を提示し、予算やスタッフからの見通し等の運用面、患者様ひとりひとりの夜間の状況等を考慮し、計画案の可否判断をしていきました。

議論を重ね、様々な検討を進めていく中で、「個室風」透析室よりも「個室」透析室として透析室を整備し、落ち着いた透析環境の中で治療を継続して欲しいという法人様の強いご要望がありました。

「個室風」から「個室」へ

ここで、個室透析室のプランを検討していく中で問題となるのが、既存の透析機械室です。
休診することなく透析機械の移設が可能であれば、プラン上、個室透析室の計画は可能となります。そのため、透析機器メーカーと打合せを重ね、工事手順を検討し、透析機械の移設に要する時間及び事前準備が必要な設備類を整理したところ、休診日のみで透析機械及び透析配管等の附帯設備の移設が可能との結論に至りました。それと同時にビル全体の排水経路等の設備も確認し、設計を進めることにしました。
計画は、スタッフからの見通しや部屋の大きさ、患者動線の検討をふまえ、最終的には階の中央にスタッフステーションを配置し、それを取り巻くように個室を計画することで、個室10床を確保しています。全体の仕上げを濃い木目調で統一し、照明は電球色を使用し、落ち着きのある透析室としました。

「個室」透析室への対応

スタッフが個室内の患者様の様子を確認しやすくするため、入口扉には大きめのガラスを設けています。オーバーナイト透析時には、就寝される患者様への配慮として、中央部分の照明を遮ることができるよう扉にロールスクリーンを設置しました。また、中央部は調光対応の照明設備とし、照度コントロールを容易に出来るよう整えました。

透析室 昼

透析室 夜

個室内の照明は処置時の照度確保のため、全般照明として電球色の蛍光灯を設置し、穿刺のしやすさや患者様の状況が分かるよう配慮し、透析治療時は直接光源が見えないように間接照明により照度を確保できる器具を設置しています。
また、個室にすることで日中、夜間共にスタッフの目が届きにくいという運用上の問題点を補填するため、監視カメラを設置しています。この監視カメラは通常はスタッフステーション内に12分割された小画面で表示されていますが、カメラに設定した動作検知領域から患者様が出た場合に、アラームとともに画面がポップアップ表示され、いち早くスタッフに知らせる機能を有しています。

個室 全般照明

個室 間接照明

限られたスペースの有効活用

入口付近の通路は、透析治療中患者様の移動が無いため、収納式の記帳台を設置しました。それぞれの台にはコンセントと院内LANの受け口を準備し、作業が容易にできる環境を整えました。

記帳台 閉

記帳台 開

オーバーナイト透析時、スタッフの仮眠室とは別に、少し横になることが出来る場所をスタッフステーション内(カウンター下部)に設けました。カウンター下はパソコン本体が数台並ぶ光景をよく目にしますが、ここではカウンター前面に専用の棚を設け、足元周りをすっきりさせました。棚には扉を設置し、スタッフ以外は触ることができないようになっています。

SSカウンター 閉

SSカウンター 開

建築主
医療法人社団 優人会
所在地
東京都練馬区
用途
診療所(無床)
担当者
田淵幸嗣