設計コンセプトConcept

障害者

[グループホーム]重度・高齢化に対応したグループホーム 竹之内啓孝 

利用者の「高齢化」「重度化」は、入所施設に限られたものではありません。
「公団を借りているがEVがないため高齢化した入居者が階段を上げれなくなってきた。」
「古い一軒家で生活しているが、入居者の重度化によりトイレや入浴介助や見守りが出来なくなってきた。」

竹之内啓孝 

グループホームにおいても、このような話題をよく耳にします。
ここでは、グループホームで生活を続けるために「高齢化」「重度化」に対しどのように計画したか、2つの事例を紹介します。また、地域と積極的に関わりを持つように計画された2つのグループホームの事例を紹介します。

■事例1 重度対応型グループホーム 響・奏

響・奏は京都府北部初の重度対応型グループホームとして計画されました。
入居者は次のような心身の状況で、同じ程度の方が入居されることを前提として計画しています。


・重度知的障害者もしくは重度身体障害者との重複障害の方
・障害程度区分5、6の方
・行動障害(多動・他傷・粗暴・破壊・奇声・飛出し)のない方
・常時、専門的な医療ケアを必要としない方
・移動に関して一部介助(見守りを含む)・全介助を必要とする方


入居者は365日・24時間の支援を受けて生活します。車椅子の方が多く、移動に介助が必要な方です。元々在宅や入所施設に入所されていた方が、家庭的な居住空間でゆったり過ごせるように計画しています。

見守り・車椅子利用がしやすいゆとりのある広さの食堂

 入居者は日中、近くのデイサービスへ通いますが、朝、夕はリビング、居室で過ごします。平面プランは見守りや介助をしやすいように、中央に食堂機能を持つ広い空間を作り、それを取り巻くように居室を配置しています。車椅子使用の方が多いので、全体的にゆとりのある広さとしています。

食堂機能を持つ広い空間を囲むように居室を配置

見守り・車椅子利用がしやすいゆとりのある広さの食堂

グループホームが共有する中庭

 入居者が建物の外へ出る場合、必ずスタッフの付き添いが必要となります。そこで気兼ねなく入居者が自由に外の空気を感じてもらう場所として、2棟で囲まれた中庭を作りました。この中庭が、2つのグループホームの入居者の交流の場として、また洗濯や布団干しなどの生活の場として、グループホームの核となります。

二つのグループホームに挟まれた中庭

■事例2 個人に合わせた街中の重度対応型のグループホーム

重度の方が2 名、軽度の方が5 名入居される女性のためのグループホームです。
入居者は現在古い一軒家に住んでいますが、重度化及び高齢化により、適切な支援が難しくなったため建替えの計画を進めることになりました。
2 名の重度の入居者は次のような心身の状況です。
【Aさん】
てんかんを持つ重症心身の入居者。てんかん発作がいつ起こるか分からないため、常時見守りが必要。
【Bさん】
ほとんど車椅子での生活。つかまり立ちが出来るものの入浴や排泄介助が必要。胴回りが非常に大きいため、世話人の介助への負担が大きい。

個人に合わせた計画
 このグループホームは、この2 名の重度の方に合わせて計画されています。
個人に合わせて計画すると、その人は使い易くなりますが、人が変わると使いにくくなるというデメリットがあります。それでもこの2名の重度の方がグループホームで生活してもらうため個人に合わせて建てるという事業者の強い思いで実現しました。

見守りがしやすい居室プラン
 Aさんのお部屋は、てんかん発作の予兆を早期に発見するため、日中キッチンや食堂から居室の中を見守れるようにしています。居室の壁を開放できる間仕切りにすることで、キッチンや食堂から居室を見守れるように工夫しています。居室の隣に宿直室を配置することで、夜間もてんかん発作の予兆を早期に発見できるように工夫しています。

床走行リフトが使えるトイレスペースの検証
 AさんとBさんのため床走行リフトが利用できるようにトイレスペースを確保しました。
Bさんのお部屋は介助がしやすいようにトイレの近くに配置しています。床走行リフトの導入にあたっては取り回しに必要なスペースを検証しながらトイレの大きさを決定しています。Bさんには実際に床走行リフトに試乗してもらい、胴回りの大きな方でも利用できる床走行リフトをメーカーと一緒に考えています。

地域と積極的に繋がるグループホーム

■地域とゆるやかにつながる「なかみち」を持つグループホーム 菜の花
 菜の花ホームは、障害を持った方が地域の中で安心して暮らせるように考えられたグループホームです。街の人が自由に通ることが出来る敷地内に設けられた柵のない通路である「なかみち」では、行き交う人々が、部屋から漏れてくる明かりや人の動きからホームの日常を感じることが出来る仕掛けとなっています。グループホームと同時に計画されたカフェ・ショップ花鈴は、障害のある方の働く場であり、地域との交流の場としての役割を担っています。

■地域の方が農作業の合間に休憩できる地域交流スペースを持つグループホーム リアン
 リアンは、既存のグループホームや入所施設で高齢になった方が静かに落ち着いた環境で暮らすことが出来るように計画されたグループホームです。田んぼの中に建つ古民家を思わせる建物には地域交流スペースがあり、農作業の合間に気軽に休憩できるように計画されています。つたえ歩きや車椅子を利用する方が入居されるため、建物はゆとりのある計画になっています。