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障害者

福知山学園 多機能型事業所 新「JUMP」計画 清水大輔

Ⅰ期計画 右手前:セントラルキッチン(竣工済)
Ⅱ期計画 左奥:多機能事業所新「JUMP」/左手前~中央:サポートセンター、カフェ
Ⅲ期計画 右奥:グループホーム 2棟

概要

福知山学園ではFUKUGAKUバリューアップ建築計画として施設の建て替えをⅢ期に分けて進行中です。2022年7月にⅠ期工事(入所施設みわ翠光園建替え、セントラルキッチン)が完了しました。工事中の様子は定点カメラを用いてSNSでも発信していますので是非ご覧ください。

https://www.facebook.com/eusekkei/videos/1001836900627008



Ⅱ期計画では入所施設の建替え移転跡地に法人本部であるサポートセンター、生活介護と就労支援が一体となった多機能事業所「JUMP」を、Ⅲ期計画では重介護型グループホーム2棟の整備を予定していましたが、地域の需要と法人内利用者の状況を見直す中でサポートセンター、カフェの計画は見送り、グループホーム新設2棟に加えて既存改修でも1棟を追加整備する方向で計画の見直しを進めています。見直し後の計画内容はまたお伝えしますが、Ⅱ期計画の多機能事業所についてこれまで考えた骨格は引き継ぎますので、計画の中で考えたことを書きます。

現在の「JUMP」では生活介護20名、就労継続支援B型10名の計30名の方が利用されています。Ⅱ期工事で整備する新「JUMP」では同時期に整備する重介護型グループホーム(7名×2棟)の利用車14名を加えた最大44名の方が利用する想定です。



既存入所施設の壁を耐震診断により撤去し増築棟と合わせて大空間を確保

新「JUMP」の計画予定地には2022年7月に建替えが完了した入所施設みわ翠光園があります。移転後に大半の建物は解体しますが、鳥瞰図左奥(緑色の屋根)のラーメン構造(柱・梁による架構形式)の棟を残し、耐震診断により内部の間仕切りの大半を撤去し、鉄骨造による増築部分と合わせて見通しの効く大空間を確保する計画です。



中央手前風除室より時計周りにリハビリスペース、食堂・デイルーム、軽作業スペースがつながる。中庭を挟んで奥の空間は既存入所施設を改修して活用。

重介護と軽作業 特性が異なる2つのグループを緩やかに全体で見守る

利用者は織物や手芸を中心とした軽作業を行うグループと車いすの方など入浴介助や創作・レクリエーションが中心の重介護のグループに分かれます。軽作業の方は活動と食事が分離、重介護の方は活動場所と食事エリアが一体ないし近接するため、軽作業エリアをやや奥まらせて空間をL型に配置し、ゆるやかにゾーニングしつつ、それぞれのゾーンのスタッフの見守り目線が広範囲に行き渡るようなレイアウトにしています。食事前後の手洗いやハミガキについても軽作業の方と重介護の方では動作やかける時間が違うため2箇所に分けて計画しました。

スタッフゾーンも薬を管理するエリア以外は原則区切らず、中央付近のカウンターからはガラス越しに玄関方向にも見通しが効くなど全体的にオープンな雰囲気で計画します。リハビリスペースと浴室は車いす等での移動が少なくて済むように重介護ゾーンの周りに配置しました。

食堂・デイルームスペースから風除室、リハビリスペースを見る。 スタッフカウンターから風除室が見えるほか、カウンター奥薬剤スペースもガラス貼りで見通しが効く。

軽作業スペース 右手奥のオープン棚に織機を保管。棚手前のテーブル付近がスタッフゾーン。

日中活動スペースの建築対応

日中活動の場では、入所施設と違い活動中は基本的にスタッフの見守りがあることからガラスや建具は特別に強度を上げるような対応はしていません。トイレの給気については音や臭いに配慮して建具にガラリ設けずに天井経由のパスダクトで計画しました。また失便があった時に備えて浴室ゾーンにシャワーと床埋込みの失便処理装置を設けます。

以上の内容をベースに14名のグループホームを新たに加え、既存改修+増築の計画から、解体範囲を減らして既存改修のみの計画に切り替えて計画中です。

第Ⅱ期工事は2023年1月に着工します。

計画見直し中の配置図
右上黄色着色部:生活介護事業所(60名)/左上緑色着色部:重介護型グループホーム(14名)
下部ピンク・水色着色部:新設重介護型グループホーム(7名)2棟

建築主
社会福祉法人福知山学園
所在地
京都府福知山市三和町
用途
児童福祉施設等(知的障害者通所事業所)
構造
鉄筋コンクリート造
階数
地下1階地上1階
敷地面積
約6,000㎡
延床面積
約1,650㎡(既存改修)
竣工年月
令和5年(2023年)9月
担当者
清水大輔 , 池野雄貴