設計コンセプトConcept

透析

透析室の空調と換気

■ゆう設計空調システム

夏場の透析室では、空調による「局所的な気流(ドラフト)」が、患者に直接当たることで不快感を与え、時には体調そのものに影響を及ぼします。
ゆう設計では、長時間の透析治療においても、患者の身体にやさしく快適な「ゆう設計空調システム」を10年程前に考案し、その後も研鑽を重ねることで、新築案件のほぼ全てでご採用いただいています。

1. 超低風速空調

一般的な天井埋込カセット形の空調が、速い速度で風を遠くまで到達させるのに対し、ゆう設計空調システムでは、吹出口から出る風の速度を抑え、かつ、風が水平方向に吹き出す方式を採用しています。
水平に出た風は天井に沿って広がり、部屋全体に拡散されて下降します。
下降した風は、ベッド到達時には人が風を感じない程度の風速(0.1 ~ 0.2m/s)にまで落とすことが可能です。
患者の不快感の元となる「局所的な気流(ドラフト)」を抑えることで、快適な空調環境を実現しています。

2. 循環式空調

室内の空気を循環させることで、透析室全体に空調を行き渡らせ、室内環境を均一化します。
特に暖房時は、暖かい空気は天井にたまり、冷たい空気は床にたまります。足元付近に循環用吸込口を設け暖かい空気を誘引することで温度ムラを軽減し、均質な温度分布を実現しています。
循環用吸込口付近は風の通り道になるため、患者が「局所的な気流(ドラフト)」を感じないように、ベッド配置を考慮して設置位置や吸込風量(=風速)を決定します。

3. ローコスト

空調のドラフト対策技術は様々な形で商品化されていますが、ゆう設計では、水平気流用吹出口をはじめ、市場に流通している既製品の資材を組み合わせることで、ローコストなシステムを実現しています。
水平気流用吹出口(既製品)
既製品のため、導入コストを抑えることが可能です。

 

4 調節可能なシステム

大多数の患者にとって快適な空調であっても、場所によっては暑さ・寒さを感じる場合があります。

ゆう設計では、空調の各吹出口・吸込口のダクトに「風量調節装置(ボリュームダンパー)」を設置し、竣工時に各ベッドの環境が均一化するよう風量調節しています。

運営開始後、患者個人の感覚の差で、暑さ・寒さに問題が生じた場合でも、ベッドごとに風量調節することが可能です。

 

風量調節用吸込口(ボリュームダンパー付)
場所によって偏りのあった吸込口の風速を均一化するために新たに導入しました。

 

■換気回数

新型コロナ感染症発生以降の問い合わせで多いのは、透析室の換気回数と、窓を開けて換気をしたいという二点です。
換気回数に関しては、コロナ発生当初は1時間当たりの換気回数の指針が示されましたが、その換気回数と効果の検証ができないため、現在は可能な限りこまめに換気を行うとなっています。
コロナ対策として有効な換気量の基準はありませんが、機械換気設備を設ける場合の換気量の基準は幾つかあります。

 

ⅰ)建築基準法 

ⅱ)ビル管理法 ⅲ)病院設備設計ガイドライン
  (一般病室、透析室)

在室者一人当たり20㎥/h以上

在室者一人当たり30㎥/h以上 外気による換気回数2回以上と一人当たりの外気取り入れ量30㎥ /hのうち大きい数値を採用

 

これらの換気量を換気回数に換算して比較します。換気回数は、換気量(㎥)を室容積(㎥)で除した値で、1時間あたりの回数(回/h)で示します。
大部屋透析室の一人当たりの容積を25㎥(床面積10㎡ /人×天井高2.5m)と仮定した場合。

 

ⅰ)建築基準法 ⅱ)ビル管理法 ⅲ)病院設備設計ガイドライン
換気量:在室者一人あたり 20㎥/h
→ 換気回数:0.8回
 (=20㎥/h÷25㎥/h)
換気量:在室者一人あたり 30㎥/h
→ 換気回数:1.2回
 (=30㎥/h÷25㎥/h)

換気量:2回/h(=50㎥/h)
→一人あたりの外気取り入れ量 30㎥/h

 

よって、ⅲ)病院設備設計ガイドラインが推奨する換気量2回/h以上が最も厳しい値となります。

 

ここで気を付けていただきたいのは、換気量とは1時間に何立米の空気を取り入れるか、換気回数とは1時間にその部屋の容積の何倍の空気を取り入れるかという指標である点です。
空調機により室内を循環する風量は、空気浄化性能の高いフィルタを組み込んでいない場合、換気量に含めません。

ゆう設計では天井から低速で風を吹き出す空調システムを考案し、多くの透析施設に採用されています。
この空調システムでは、外気取り入れと室内の空調を一体で行っていて、外気取り入れの回数は3回から4回で設計してきています。

コロナ対応で、換気回数を増やすことも可能ですが、外気取り入れ回数を増やせば、空調負荷も増えますので、空調機の能力が大きくなり、コストアップの要因となります。外気取り入れをどの程度とするかは、コロナ以降は比較検討の上決めることとしています。