作品紹介Works

病院

島の病院おおたに

敷地南より見る 正面中央が主出入口

概要

計画地は広島県江田島市になります。江田島は人口約25000人の瀬戸内海に浮かぶ島です。同法人は約70年の長きにわたり島の医療を支えてきましたが、既存の建物は、老朽化や増築を繰り返した結果の使い勝手の悪さもあり、同じ島内の近隣地区にて移転新築工事を行うこととなりました。
新病院建設にあたっては「島の総合病院としての役割を果たすため、外来診療・検査機能のさらなる充実」「島における地域包括ケアシステムの医療拠点としての役割を果たすため、リハビリ環境の充実」「地域医療の大きな課題のひとつである、医療従事者の定着をもたらすためのスタッフスペースの充実」これらのことを大きな目的として計画を進めていきました

田島は瀬戸内海に浮かぶ島、広島港からは高速船、呉市からは陸路でつながっている

病棟計画はこちら:http://www.eusekkei.co.jp/service/03_rehabili/rehabili201704.html

南側外観

北側外観

外部デザイン

全体のデザインコンセプトとして「病院らしくない病院」を大きなテーマとして各種デザインに取り組みました。
外部デザインは「病院らしくない病院」がテーマではあるものの、異質な建物ではなく、島の病院として親しんでいただけるようなデザインを心掛けました。敷地の形状から横に長い建物となっていますが、外壁面の凹凸をデザインとしてそのまま生かすことで、長大な壁面を分節し、建物のボリューム感を抑えることを意図した形状としています。また直線的な形状から受ける堅い印象を和らげるため、車寄せ庇や屋上ルーバーにはR形状を採用しています。
壁面には島の自然の中に存在する砂・石木の素材感を持つ材料を採用し、色彩計画もベージュ系を中心に周辺環境に合った色合いを選択して配置しました。病院名のサインにはアクセントとしてインディゴブルーを採用し、しっかりと施設としての存在感もアピールしています。

結果として周辺の恵まれたロケーションとも相まって、一見病院とは思えないホテルのような建物でありながら、利用者の方に親しんでいただけるような、やさしい印象も兼ね備えた建物となっています。

落ちついた雰囲気の1階エレベーターホール

瀬戸内の情景をイメージした待合

内部デザイン

外来の方も多く来られる1・4階はホテルのようなイメージでデザインを行いました。エレベーターホールは石・タイル・木の素材感を持つ内装材を使用しホテルのロビーのような雰囲気を作り出しています。

待合はオリジナルの波のモチーフをデザインしそのモチーフを床・天井・家具に採用し海を表現。点在する円形の椅子や円形の折上げ天井は島を表現しており、また壁面には砂の素材感を持つ材料を採用、待合全体が瀬戸内の情景を表現しています。自由診療部門にも木や石積み調の材料を採用し、特別な空間を演出しています。同じ考え方のデザインが外来診療・検査部門にもつながっており、全体的に落ち着いた病院らしくないホテルのような空間が広がっています。

健診控室

4階食堂

4階エレベーターホールも同じイメージを踏襲し、タイル調の床材・木目調の壁材を採用した落ち着いた雰囲気。健診控室はホテルの客室をイメージした内装としています。

食堂は病院に来られた様々な方に明るい雰囲気のもと、ゆったりと過ごしていただきたいとの考えから、石や木の素材感のある材料を用い、明るい色彩計画でデザインされており、波のモチーフを用いた照明器具、同じモチーフを用いたパーティションを設置し高級感も演出。前面に広がるオーシャンビューと相まってリゾートホテルのレストランのような雰囲気を作り出しています。

病院特有の設備の無い病棟廊下

病室(個室)

2・3階のイメージは1・4階と異なり在宅復帰を目指す入院患者がいる病棟という性質から、住宅の雰囲気を内装に取り入れるコンセプトとしました。全体的に落ち着いた色合いの木目調の床材、壁にはやさしい色合いの織物調クロスを採用しています。病室には1面にアクセントとなるクロスを張り、このクロスを各病棟個別の色としてスタッフステーション周りにも採用しています。

また病院という施設感を感じさせる各種設備にも配慮しました。一般的に採用されることの多いメディカルコンソール、廊下のナースコール表示灯、アームタイプの照明などは採用せず、ベッド頭には木目調の板材に必要設備を取り付ける方法を採用。照明器具も施設感の極力無い製品を採用しましたまたサインも過度製品を採用しました。またサインも過度な案内表示は控え、ホテルを意識したデザインとしており、結果として病院という施設感を感じさせない雰囲気づくりに成功しています。

スタッフ休憩室

またスタッフスペースも充実したものとなっています。4階に配置されたスタッフ休憩室はその代表的な部屋です。食堂と同じく病院内で最も景色がよい位置に配置されており、カフェをイメージした高級感のある落ち着いた雰囲気の内装となっています。スタッフ専用のスペースとしてはこのほかに研修生室、当直室、仮眠室等が設けられていますが、いずれの部屋もホテルのような落ち着いた豊かな空間となっており、スタッフの方達の労働環境を大事に考えられている病院の方針が感じられる空間となっています。

建築主
医療法人社団 大谷会
所在地
広島県江田島市
用途
病院、住宅
構造
鉄筋コンクリート造
階数
地上6階
敷地面積
6,029.16㎡
建築面積
3,048.71
延床面積
9,198.40㎡
竣工年月
平成29年1月
担当者
相本正浩 , 玉井英登