作品紹介Works

診療所

横濱髙島診療所

快適に暮らすために -痛みの緩和-

痛みは私たちにとって最大のストレスである。
しかし、痛みは体の異常を真っ先に知らせてくれる大切な信号でもある。この信号が無ければ私たちは病気に気づかず、病状はどんどん進行してしまう。一方、神経痛や癌治療に伴う痛みは不要な痛みと考える。つまり、痛みには必要な痛みと不要な痛みがあり、この不要な痛みを緩和する事がペインクリニックに求められている。
長引く痛みは生活、仕事に悪影響を及ぼし、気力、体力をそぐ原因になる。また、痛みがなければ治療に対して希望を持たせることができる。 今回の計画は、痛みによって低下している生活の質を改善させ、神経ブロック、投薬治療、訪問診療、心のケアという総合的な医療行為を通して痛みを緩和する場所を作ることが求められた。

診察室

検査室

処置室

しなやかなクリニック -計画案について-

痛みに耐えて来院する患者の心を少しでも穏やかにするため、安心感を与えることができる雰囲気を創ることが必要だと考えた。その中でも待合スペースは、患者ひとりひとりが他者を気にせず自分の痛みと向き合いながら過ごすことが出来る場所でありたいとの願いから、意図的に照度を低めに設定し、色温度が低い照明を採用した。また、全体を濃い木目の仕上げとし、落ち着きを表現する。濃い木目は、やわらかな照明の色と混ざり合い、適度な陰影によってしなやかに心に働きかける。
痛みによって心身ともに疲弊したとき、限りない安心感と命の救いを欲する気持ちによって、このような施設環境が導き出された。

建築主
個人
所在地
神奈川県横浜市西区
用途
診療所:がん疼痛治療、在宅ホスピスの支援等
担当者
田淵幸嗣