最新情報Information

その他 / DM

社会福祉充実残額の使途に関する検討はお済みですか?

「社会福祉充実計画」の策定は、社会福祉充実残額(再投下対象財産)の計画的な活用を検討することから始まります。 既存事業の充実や新規事業に活用することが可能ですが、改修計画や新規事業に必要な事業費を算出することは 簡単にはできません。

ゆう設計では、社会福祉施設の新築や改修の豊富な経験をもとに 「社会福祉充実残額」を活用した建築に関する事業費算定や工事計画策定のアドバイスを行います。 

 

(ポイント1) 
→ 「社会福祉充実残額」有効活用の検討:使途の洗い出し
→ 「やりたいこと」「やるべきこと」の費用を算出し優先順位と手順を検証  

 建築的な有効活用項目

  • ・老朽化した建物の改修・機能維持、施設機能・美観の維持
  • ・利用者・入居者の介護度変化に伴う便所・浴室等の改修
  • 団塊世代に対応するための個室化
  • 設備機器の更新・入れ替え
  • 職員の職場環境改善(介護機器の導入に伴う改修)
  • ランニングコストの削減対策
  • 新規事業立ち上げ(サ高住・有料老人ホームなど)
  • 建替計画(ユニット型特養への建替など)
  • 耐震・防災計画

 

  (ポイント2)
→ 「社会福祉充実残額」の活用スケジュール作成
施設を運営継続しながらの改修手順(年次計画)のシミュレーション

特に入居施設では、一度に改修を行うことが難しいため、工事エリアを限定しながら順次工事を進めていくことなります。 一般的な工事費以外に、利用しながら工事を行うための仮設費や工事期間の設定についての検討は、専門的なノウハウが必要です。  

 

 

【建築設計者からみた社会福祉事業計画策定のポイント】  砂山憲一

社会福祉充実計画の策定が平成29年4月から実施となりますが、その計画策定の再投下対象財産の検討において、 既存建物の改修や建て替えなど建築の計画、工事費算定、工事方法、工事期間など建物に係る検討依頼が増えています。 建築設計者からみた社会福祉事業計画策定のポイントを整理します。

① 工事内容を決めてから工事費を算出するのではなく、
  行いたいことすべての工事費を算出し、それから計画内容を決める。

福祉施設において新規事業を計画する場合は、多くは目的とする計画があり、そのために事業費はどの程度か算出するのですが、 社会福祉充実計画策定の場合は、社会福祉充実残額(再投下対象財産)が計算で算出され、その財産がまずあってどの事業に投資しようかと考えるケースが出てきます。 このケースの場合、やりたいこと、やらなければならない事業の費用をすべて算出し、事業の優先順位を事業費用を考慮しつつ決めていくことになります。 ところが、この事業費用の算出はなかなか簡単にはできないものであり、事業計画策定で最も難しい項目の一つとなります。 特に既存建物の改善や改修を行う場合、建築設計や施工者に現場調査と見積もりを依頼しなければ正確な費用を算出するのは難しいものです。

<実例>
開設後25年が経過した従来型の特養で、改修したい項目を内容別に分け工事費を算出した例です。

※老朽化した建物や設備の更新
建築工事

設備工事

※支援方法の変化やより良い環境を得るための改修

事業者から提示された改修希望リストの工事項目と工事費を算出し、その金額を基に改修工事の優先順位をつけていきます。 予算の中ですべての工事ができればよいのですが、社会福祉充実残額の金額を超える場合は、予算範囲内に収まるよう工事範囲を選択し縮小するか、別途予算を計上してすべてを行うか決めなければいけません。

建築後25年程度経過した建物の大よその補修費
上記の例では、外装内装の更新、古くなった家具や機器の更新、設備の更新を行い、さらに大部屋の準個室化も検討しています。 これらの工事の総額は試算では約3億4千万円となりました。 既存特養の延べ床面積は約800坪ですから、すべての改修を行った場合の工事費は43万円/坪となります。 私は建築後20年から30年経過した特養が、大幅なプラン変更がなければ、坪当り40万円前後で可能だと思っています。 すべての工事を行わなくても、上記の表があればどの項目を優先して行おうか、またかかる費用と効果を検証しその項目の改修を実行しようかどうかの決断を下すことが容易になります。

② 五年間で事業を進めるわけですから、工事を行う手順を十分に検討する。   
  一気に行うか、順次行うか。

新築工事の場合は工期の設定は比較的単純ですが、改修の場合は決定する要因が多くなり、判断に困る場合が多く出てきます。 単体の既存施設の改修の場合は、住んでいる方利用されている方、また職員方に通常の状態よりもかなりの負担を強いることになります。 この場合、我慢する期間を短期間にし一気に工事を行うか、もしくは工事期間を長期にして影響する範囲を少なくするかの検討が重要になります。当然この両者で工事費も違ってきます。

③ 居ながら改修の検討が必要

既存施設の大規模な改修で問題となるのは、使いながらの改修となることです。 居室改修を行う場合は、その居室を使用している方に一時的に別の場所に移ってもらうことになります。 住み慣れた環境から一時的に異なる環境へ移動することは大きなストレスをもたらす場合があり、特に知的障害の方の住まいの改修ではこの点が大事な検討項目となります。 この一時的な移動場所の設置も方法によって工事費に大きく影響してきます。計画を策定する場合、この新築工事では出てこない項目の計上が重要です。

もう一つ居ながら建て替えで検討しておかなければいけないことは、工事で出る騒音、誇りなどの影響をどの程度防止するかです。 知的障がい施設の場合、工事関係者が出入りすることが安定した住まい環境を壊すことがあり、その対策を前提として工事費を算出しなければいけません。

以上からわかりますように、社会福祉充実計画の策定には建築計画の専門家の参加が望ましいと私は考えています。