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透析 / お知らせ

中国・上海「最新の日本の透析医療施設」講演

河津孝治

■中国・上海にて「最新の日本の透析施設」について講演

 これまで、日本の透析医療施設の設計を数多くさせて頂いてきた中で、 様々な透析施設での問題点や懸念事項、診療報酬改定による計画内容の変更、 他医療機関と差別化するための計画方法、透析患者にとって快適な透析施設 とは、どういったものか?を常に検討・提案してきました。

 この中国・上海の講演では、現在、日本の透析患者数約30万人。 その患者数が微増となってきている日本の透析患者数の変化を背景に、 他の医療機関との差別化によって、集患を意図した透析施設計画に対して、 我々、設計者側が検討、提案する内容の変化を中心に紹介しました。

 最近になって、公立病院が中心だった中国の国自体が、民営病院を発展・ 促進する政策を打ち出し、中国医療制度改革を促進する国で、 木目調デザインで間接照明など、病院らしくない病院、透析室らしくない 透析室としてホテルライクの最近の日本の透析施設計画事例の紹介から、 透析患者にとって快適性を追求した提案内容などを、前で写した施設映像にも大変興味を持って、 講演を聴いていただきました。 

講演後の質疑として 
・質疑①:日本の透析施設の感染対策への考え方 
⇒SOPとして感染対策を指導される中国の施設状況との比較 
・質疑②:個室透析の広さについて 
⇒入院・外来透析を兼用する中国の病院での透析のためか 
 大部屋透析室で比較的ゆとりのあるベッド配置との比較 
・質疑③:透析ベッドかチェアか? 
⇒主に透析治療は、ベッドが中心の中国。・透析空調・間接照 明の採用

 
※2015年現在、中国では、治療費を払って透析治療されている、透析患者数が、 39万人と、日本との患者数との差は、9万人程度であるが、 今後、透析予備軍(CKD患者)を含めると2020年には、13年度実績の 3倍以上:トータルで約150万人に拡大するとの予測がある状態。
※日経新聞2016.01.13掲載
人工腎臓の世界市場規模は、年5~6%成長といわれ、中国の透析市場規模は、 年率20%の成長が見込まれる予測がある。
 
■上海の透析施設見学 ~上海交通大学医学院付属新華病院~

 今回、上記講演と一緒に、中国・上海の透析施設を見学できる機会を得ることができ、 大変興味をもって参加させて頂きました。

モダンな外観 (左)遠景・(右)エントランスホール 外観:ガラス張のエントランス
ホール 玄関ホール: Toriageカウンター 薬局

 

○最近の中国医療事情

 中国の透析事情をお話しする前に、これまでの中国の医療状況を簡単な説明は、次のようになります。

 中国本土でのいわゆる公立病院は、その病床規模や、診察・検査内容によって、 甲3級病院、乙3級病院など三級から一級病院が甲・乙で分かれています。
 中国では、公立病院が9割の病床数を有し、大多数の医者は、公立病院の雇用者となっています。

 

 

2005年:中国の医療制度の非効率性を中国国務医院とWHOが指摘。 
2009年:中国医療改革により、医療行為に対する保険カバー率が上がる 一方、良質な医療提供できる資源、人材の不足が様々な社会問題を 起こしました。この状況に対応するために、資源・人材がいき詰まっ てくる公立病院にかかわらず、政府は民営病院の発展促進する政策 を次々打ち出しました。 
2010年:「民間資本の医療機構設立をさらに奨励および導くための通知」 
民間資本への医療サービス事業への参入を呼びかける 
2014年:⇒外国民間資本の病院への投資の「禁止」を「許可」に変更 
「民間資本病院設立を加速するための意見」 
⇒民間資本の医療産業への投資・買収の波を起こし、公立病院の私有化を 促進。

 

 

○上海交通大学医学院付属新華病院 血液浄化部

 透析室へ至るまでには、患者用、スタッフ用動線に加え、感染患者用動線を各々別々に設けることがSOPとして指導されています。 透析隔離個室もSOPにより準備しなければならない 新華医院では、2フロアの透析室となっており、上記動線の分離により、 3つの上下を結ぶ内部階段が用意されています。

 感染対策用の透析室は、B型肝炎、C型肝炎など感染内容ごとに動線分離が徹底されています。

準備器材室(清潔)を通って、透析室へ

 

個人透析機器 
教育医療施設のため、 各メーカーの透析機器が並んでいます。    
(日機装、ガンプロ、BLなど)

透析機械室(水処理室)

 

 

 中国での透析は、個人透析機器を大半が使用しており、これから、日本の多人数用機器が認可を経て普及していく様子。 ただ、個人透析機器の普及は、欧米メーカーからの流れもあったと思うが、透析機械室を見ると、 この国の水質の悪さがよくわかります。 
 日本では、公共給水は飲料水としても十分可能な水質を維持できているのが当たり前ですが、 中国では、その水質の悪さからか、日本の井戸浄化処理装置に使用する濾過機が透析機械室の半分のスペースを占め、 残り半分をRO精製装置を設置している状態で、RO水を作っています。

12階建の10階:血液浄化部

 

血液浄化部玄関 左側:透析患者待合  右側:スタッフソーン入口 1ヶ所の玄関で患者とスタッフ動線を分離 待合:日本と同じように、次の透析治療を待つ患者で一杯の待合

患者用、感染患者用、
スタッフ用の3つの内部階段

 

 透析室では、各ベッドに医療ガス(O・V) が設置され、停電時は、病院全体の発電機で、透析は継続治療可能となっていました。透析患者からの治療中のクレームについて伺うと、多いのは上海でもやはり夏の冷たいエアコン風という回答でした。

透析室(2F)

 

 個人透析機器
教育医療施設のため、各メーカーの透析機器が並んでいる。(日機装、ガンブロ、BLなど)
           

透析室(2F)
TVを通路に天吊していたが、音が大きいので撤去されていた。

スタッフステーション
透析室を見渡せる中央に位置する。

スタッフ通路から別の感染対策用透析室(1F)

透析室内に隔離個室がある。

スタッフステーション横の別の透析室

 

 水質が悪いためか、透析室に手洗いはほとんどなく、その代わり各ベッドにウェルパス設置 が絶対!足元は、個人透析機器の透析液タンク

玄関入口で記念撮影