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第11回高齢者住まい講座  トイレに可変は必要か

第11回高齢者住まい講座    砂山憲一

高齢者のトイレは「可変」になるか

高齢者の住まい、有料老人ホーム、高齢者専用賃貸、老人用マンションなどの共同住宅において、そこに住まわれるかたは、体の状態が不自由な型が多いし、また其の不自由さが徐々に変化していくことは、この講座でも何度も説明をしています。
高齢者の方にとって、トイレと浴室は動作にもっとも気をつけなければいけない場所です。
今回はトイレに「可変」が可能か検討します。

水周りのバリアフリーについて、よく研究され商品に生かしているメーカーにTOTOがあります。特にトイレ周りの研究は参考になることが多くあります。その内容は「バリアフリーブック」としてまとめられ、ネット上でも見ることができます。
http://www.com-et.com/webcatalog/goods.htm

「バリアフリーブック」は3種類にわかれます。
・住まいの水まわり編
・高齢者施設の水まわり編
・パブリックトイレ編

カタログよりどこまでコピーしてよいのかわかりませんので、カタログをひろげてこの文章を読んでください。

この講座で扱っている高齢者の住まいは、厳密に言いますとこの3種類のカタログの対象外となります。そもそも、日本で現在盛んに計画され、建てられている高齢者のすまいは、このカタログで言う「住まい」や「施設」ではなく、この中間に属する「新しい住まい」なのです。この考え方は、2003年に発表された「2015年の高齢者介護-高齢者の尊厳を支えるケアの確立-」で提言されました。そこでは「施設+自宅」から「施設+新しい住まい+自宅」を実現しようとしています。住み慣れた地域にできるだけ暮らし続けること、それを支える仕組みづくりが重要です。詳しくは私が昨年書いた本「高齢者の住まい事業  企画の手引き」を読んでください。
「新しい住まい」を作る時、これまでの施設や自宅ではなく、またマンションでもない、高齢者の住まいの内容を検討しているのがこの講座です。
さてトイレです。
この3冊のカタログを見ながら、今日本で認識されている高齢者のトイレについて再検証します。

1 トイレに「可変」は必要か。
まず高齢者の住まいの問題点をセミナーの資料に基づき説明します。

ファイル 37-1.jpg

ファイル 37-2.jpg

これまでは高齢者は、家族の介護を受けて自宅でくらし、どうしても介護が不可能になった方が、施設に移るというパターンでしたが、高齢者の住まいでは、介護度が高くなっても其の住まいに住み続けることを基本とします。したがって、介護度の高い方への対応を真剣に考えると同時に、介護度の変化に対応することも重要です。

ファイル 37-3.jpg

そのために、建築・設備・介護が一体となった「可変性」「汎用性」「安定性」のあるシステムの構築が必要です。

2 高齢者のトイレ  TOTOのカタログを読み込む。

トイレは介護度の変化にどのように対応するのでしょうか。

TOTOの考え方 カタログより
TOTOでは身体能力を5項目に分けます。
5項目マーク
・自立歩行
・手すり・杖で歩行
・車椅子使用者(一部介助)
・車椅子使用者(全介助)
・車椅子使用者(自立)

車椅子全介助が要介護度3といわれていますから、TOTOの製品は3程度までを対象としているといえます。
この5段階に対応してトイレ、浴室、洗面、キッチンにおいてそれぞれ製品が開発されているわけではありません。
トイレでは、便器そのものが5項目マークがつけられるのではありません。
「住宅のトイレ」 住まいの水まわり編
便器や手すりに5項目マークがつくのではなく、モデルプランに5項目マークがつけられています。
・歩ける方のプラン          自立歩行、手すり・杖歩行
・車椅子で一部介助の方のプラン    自立歩行、手すり・杖歩行、車椅子一部介助
・車椅子で全介助の方のプラン     自立歩行、手すり・杖歩行、車椅子一部介助、車椅子全介助
・車椅子自走の方           自立歩行、手すり・杖歩行、車椅子一部介助、車椅子全介助、車椅子自走

「施設のトイレ」  高齢者施設の水まわり編
このカタログでは、トイレには5項目マークは使われていません。プラン例は5種類掲載されていますが、其の切り口は体の状態とは違うものです。
・プラン1「一般家庭で使い慣れたタンク式便器を採用したプラン」
・プラン2「便器に異物が詰まった場合にも、比較的簡単に取り除ける便器を採用したプラン」
・プラン3「便器に異物が詰まった場合にも、比較的簡単に取り除ける便器を採用したプラン」
・プラン4「男性利用者にも配慮した小便器付プラン。小便器での排尿を好む方もいる」
・プラン5「排泄しやすい前傾姿勢をとりやすくしたプラン」
便器や手すりなどトイレ関連商品には、別の提案(キーワード)が提案されています。高齢者の行動・身体機能特性を介護度よりより細かく分析し、対応商品を提案しています。
・身体機能
・生理機能
・感覚機能
・精神機能
身体機能は商品選びのキーワードとして、5種類提示されます。
・視覚配慮
・移動
・操作性
・立ち座り
・安全性
ただしこれもプランに5項目をつけたのと同じ発想で、便器だけの写真には「操作性」だけのマークですが、便器と手すりがパックとなった商品に「操作性」「立ち座り」のマークがつきます。多分これは手すりがあるので、「立ち座り」が楽という意味だと思います。

今回私のテーマ、「介護度の変化」に対応するトイレに直接参考になる記述はありませんが、もう少し詳細にカタログを読み取っていきます。

3 トイレ可変への可能性

「バリアフリーブック 住まいの水まわり編」より
このカタログのモデルプランでは、5項目マークすべての方に対応できるようにトイレを作るには、車椅子自走用トイレを作ることになります。
ここで示された4種類のプランの違いは下記のとおりです。
トイレ室の大きさ・便器の種類・金額の順です。

歩ける方  800×1400   CS60B 541,050円
一部介助  1100×1400   CS260B 593,400円
全介助   1350×1400   CS60B  492,400円
自走    1650×1650   CS30B  781,700円

・トイレの部屋の大きさは、当然車椅子自走が大きくなります。高齢者の住まいにどの大きさのトイレを作るのか大きな問題です。一部介助と自走では部屋の面積は1.18㎡違います。100室の高齢者住宅では118㎡違うことになります。25㎡の居室では3室取れる大きさです。工事費とすれば2800万円も違ってきます。介助の度合いによって、部屋の大きさを変えることは不可能です。やはり大きなトイレを作っておくしかないのでしょうか。
・便器の種類の違い。「CS60」と「「CS260」の違いは大きなものではないと思いますが、「CS30」は車椅子対応便器で高さがちがいます。これは其のつど取替えが必要となるのでしょうか。使う人の体の大きさもそれぞれ違うのですから、この便器の高さの問題も、再度検討してほしい項目です。
・便器の取替えに関しては、このカタログを見ているうちに良いものを発見しました。リモデル対応ということで、排水心可変対応便器が発売されています。これを使えば、便器の可変対応が必要であれば、可能となります。

4 まとめ
半日、カタログを眺めていました。トイレには浴室で考えたような可変は必要か、結論は出ませんでした。でもローコストで高齢者の住宅を提供するためには、どこか発想を変えないといけないのかも知れません。

8月6日に、TOTO UD研究所のプロの方の意見を聞けることになりました。
「可変」をキーワードにいろいろ聞いてきます。

 

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