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失便処理方法の改善

 

失便処理の改善

 

砂山憲一

 

障がい者施設の入居者で排泄の失敗をされた時のために、失便の処理をどうするか検討をし、トイレに失便処理装置を設置してきました。

  

福利山学園 第二翆光園での設置例 2009

 http://www.eusekkei.co.jp/service/mental_retardation/fukugaku/visual_support/index.html

2014年にトイレ改修を行うこととなり、新たな失便処理装置を設置することとなり、さらに改良を加えました。竹之内が担当しました。

   

  1. 失便処理装置の改良 

     今回のトイレ改修は2階部分の改修工事となるのですが、以前設置した失便処理装置そのままでは既存の2階の床の高さ等の制限により設置できないこともあり、いくつかの改良を加え設置することになりました

  2. 失便処理装置の改良点

 

    • 既存改修する面積を減らすため、出来るだけ装置の平らな面を減らした。

    • 汚物を確実に流すために、フラッシュバルブの水が効率よく流れるように失便処理装置面をおわん型に変更した。

    • 既存改修工事のため既存防水との取り合いを考慮し失便処理装置を2重構造にした。

       

             
        P1120037   P1120029

       

       

       3.失便処理装置の水流の実験による確認

      汚物を確実に流すために、フラッシュバルブの水が効率よく流れるように失便処理装置面をおわん型に変更しました。実際におわん型の形状で汚物(御みそで代用)が流れるかを実寸大の装置を作成し流水実験を行い確認しました。 

       

  1.            
      P1110742   P1110754   P1110755

     

     

     

     

     

     

     

     

     

 

 

 

強度行動障害 ワークスペースの設計

 

強度行動障害 ワークスペースの設計

 砂山憲一

 福知山学園 むとべ翠光園が竣工して1年が経過しました。

 

むとべ光園の設計にあたっては、福知山学園の方と膨大な量の打ち合わせを重ねました。

 設計において議論し試みたことを紹介します。

  むとべ光園は障がい児・者併設型支援施設です。あわせて、福知山市障がい児・者地域家庭相談支援センター「てくてく」、福知山市児童発達支援センター「すきっぷ」、障がい者デイサービス「むとべ」を併設しています。

  障がい者支援施設の中で強度行動障がいの方のために特別支援ユニット「あい」定員10名を持ちます。この特別支援ユニットは成人入所ユニットとは居住エリア、ワークエリアとも全く区別され独立しています。

 居住エリアとワークエリアは居住エリアの玄関からいったん外部のテラスに出て、ワークエリアに入ります。このワークエリアの構成はこれまで光園の職員さんたちが工夫してこられたことが基本となりました。

 

福知山学園の既存の施設のワークススペースは、職員さんの手作りです。利用者の方が落ち着く環境は個々によって違います。ベニヤ板でそれぞれの方が落ち着く空間を作っています。今回新たにワークスペースに作るに当たり、問題となったのは、利用する方が未定で特性がわからない段階で、落ち着く環境を作れるのだろうかということです。

ある程度囲うことが必要なことははっきりしていました。使用開始後の様々な変化に対応できるよう固定の壁はやめ、家具でつくることとしました。

 写真でわかるように、それぞれの色を変え、自分の場所が認識しやすくし、また休めるソファーも移動式として作りました。

 

 

 

 

 

 

 

福祉とコスト

 

福祉とコスト

 

砂山憲一

  

福祉施設を設計する設計者も事業者も、建設にかかわるコスト検討が甘いと私は思っています。それが許されていたのは、特養などは事業運営の競争にさらされておらず、イニシャルコストやランニングコストを下げなくても採算が取れたこと、その結果福祉施設という観点から、できるだけ手厚い設計内容がよいという考えで建物が計画されてきました。

 

ところが、建設工事費が上昇し、かつ建設の補助金が減る状況から新たな特養建設を断念するケースも増えてきました。

 

また有料老人ホームいやサ高住はもともと事業者通しの競争にさらされており、イニシャルコストを適正に決めることは建築設計の重要な要素となっています。

 

福祉施設のコストを考える場合、私は二つのポイントから検討してきました。

 

  1. 介護コストと建築コスト

  2. 福祉に必要な機能とコスト

 

  

  1. 介護コストと建築コスト

 

建築のコストにはイニシャルコストとランニングコストという考え方があります。イニシャルコストは最初の建設にかかる費用です。建物は建てて終わりではなく、設備を動かす電気代などが通常の運営でかかります。これをランニングコストと言って、コスト判断の重要な要素となります。また建物は年数がたつと補修を行わなければいけません。これの費用もランニングコストにいれて計算します。

 

 

福祉施設はこのランニングコストについて一般の建物と違う発想が必要です。建築の内容によって介護にかかる費用が違う場合が多くあります。

 

毎日の介護にかかる費用(介護の人件費など)が少なくなれば、建築にかかる費用が多くても、トータルで考えれば事業としては有利です。

 

介護にかかる費用と建物や備品にかかる費用を合わせて検討した例があります。5,6年前になりますが、特浴メーカーに販売している特浴の性能、コスト、一人の入浴時間、介助の人数などを表にするよう依頼しました。その結果わかりやすい比較表が示され、その後カタログとして公表されています。今でも事業者と特浴を選ぶ場合の資料となっています。特浴という製品の機能やコストだけではなく、それを使う場合の介助人数、一時間当たりの入浴可能人数を総合的に判断して選択します。このように製品価格が高くても、介助人数が少なくて済めばランニングコストが安くなります。製品や建築は介護コストの合算で決めなければいけません。

 

 

  

  1. 機能とコスト

 

建物に必要とされる機能を満たさなければいけません。ただ目的とする機能を満たすにも、どの程度満たすかで方法とコストも変わってきます。

 

福祉施設では体の不自由な方を対象としますので、この機能の満足度をどの程度にするか検討と判断が必要となります。例を挙げます。

 

体の不自由な方のお風呂の作り方

 

体の不自由な方が入るお風呂のコスト比較をしたものです。世介護度2から3程度の方は表のb,c,dのお風呂であれば使えます。建物とリフトなどの合算した費用が違っています。一番安いのが介護用ユニットバスにリフトを付けたものです。タイル張りの浴室にメトスの個粋を入れたタイプは金額が2倍弱となります。この三種類の入浴方法は利用者への負担や気持ちの違い、介護方法の違いがあります。そのような機能の違いとコストを総合的に判断して建築デザインは行わなければいけません。

 

 

 

  

福祉に求められる機能の程度の選択が重要となる

  

福祉施設を利用する利用者の体の状況は様々です。設計者としては想定される一番重度な方に対応する設計をします。50人が利用する施設でほんの数人の重度の方のためにすべてをそのレベルで設計するのか。

 知的障害の方の入所施設を設計したケースで、ドアを破壊する方が一人おられたのですが、様々な議論を経て、最終的には施設内のすべてのドアを壊されない仕様にしました。その時出た議論はこわれた時は修理することと、最初からすべて壊れないドアにするのとどちらを選択するかというものでした。私にも非常に考えるところの多い議論でした。

 

 

これから、福祉施設もどのレベルで必要とされる機能に対応するか、事業者と十分な議論をして案を選択する設計が求められていると思っています。

 

多様化する特養 建築から新たな可能性を探る

多様化する特養 建築から新たな可能性を探る 砂山憲一

介護経営月刊誌 「介護ビジョン」に9月号から「多様化する特養 建築から新たな可能性を探る」という連載記事を書いています。

http://www.eusekkei.co.jp/service/aged/cvn2/top.html

10月、11月号でユニットケアの浴室について、最近の事例をあげ、その変化について触れています。

10月号の内容はすでに上記のホームページにアップしています。

夜間の見守りが2ユニット1単位でできるようになった結果、最近の特養プランは2ユニットを一グループで設計するものが増えてきました。

お風呂も、ユニットそれぞれに作るのではなく、2ユニットまとめて設置することになります。
その結果、二つの個浴を別のタイプにして、体の状況に合わせて、二つの個浴を使い分けれるようにするものです。
これを可能にするのは、二つのユニットがお風呂の使い方を共用することが前提となり、介護そのものがある程度連携ができなければ、意図した使い方はできません。
このスタイルのお風呂を作りだして、数年たち、ようやくその良さ、不便さの結果が見えてくるころです。

高齢者施設リスクマネジメント研究会

リスクマネジメント研究会をゆう建築設計で開催しました。

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日時:平成22年10月15日
場所:ゆう建築設計 会議室
出席者:高齢者住宅コンサルタント  濱田孝一
    (株)レガート リスクコンサルタント 谷田琴実
    積水ホームテクノ株式会社  福森健
    酒井医療株式会社   伊藤拓也
    株式会社メトス    瀬尾卓志 齋藤芳徳
    株式会社ミクニ    岡田正
    株式会社オリバー   山田英志
    株式会社ゆう建築設計 砂山憲一 相本正浩 岩崎直子 

高齢者施設における事故やその防止策へようやく目が行くようになりました。裁判になる例も増えてきています。
そのような事故を防ぐには建築側からの対応も今後真剣に検討されなければいけません。
高齢者施設の設計にかかわるメーカーの協力を得て、安全という観点からどのような検討や対応がとられているか検証したく、リスクマネジメント研究会を立ち上げました。

第一回目は入浴や脱衣に係る検討を行いました。

各メーカーの製品がどのような具体的安全対策が講じられているか発表が行われました。具体的な事故例に建築側がどのような対応策を講じなければいけないか検討をおこないました。

第12回高齢者住まい講座  椅子の生活を続ける

第12回高齢者住まい講座  椅子の生活を続ける

設計者からの一言ブログの更新が止まっています。高齢者住まい講座に関しては、今年の3月から「シニアビジネスマーケット」という雑誌に「使える製品」「使えない製品」という連載を行っていますので、雑誌を買っていただくか、少しおくれますが、このホームページでも公開をしています。

なお「介護ビジョン」といいう雑誌に9月号から、「高齢者住宅の設計VE」という連載を1年間しますので、読んでください。

団塊の世代が高齢者になっていき、その方たちはどのような生活をするだろうかと考えるときがあります。
高齢者というと、要介護度とか車椅子とかいう言葉を連想し、その方がそれまで生活してこられた住み方とか生活の仕方はほぼ無視されているといってもよいでしょう。
団塊の世代は、いす式の生活を始めた世代でもあります。卓袱台から食卓テーブルに移行し、椅子に座って本を読み、テレビを見、ぼんやりとすごす生活を始めた世代です。
特に、値段が高くても座りごこちのよい椅子を選択した人たちは、椅子に座る心地よさとともに人生を送ってきたといっても過言ではありません。
そのような方にとって、いま建てられている高齢者住宅はこれまでの生活と程遠いものがあります。

私は、高齢者になって体が不自由になっても座り続けることができる椅子はないのか、この一年様々な機会に椅子に座ってきました。

日本の椅子の世界はこの10年様変わりしていまう。
それは椅子が消耗品になったことです。モダンファーニチャーは短命だといわれています。カッシーナは椅子のメンテナンスを引き受けていないそうですし、ニトリは椅子は3年で捨ててくださいと言っているようです。私自身も家の食卓の椅子や会社の椅子もすべてニトリなどの製品を通販で買っていまう。座ってみてという買い方自体が、過去のものになりつつあるのかもしれません。
でも、おじいさんの代やお父さんの代に使っていた椅子が居間に並んでいるような生活も捨てがたいものがあります。日本では無理ですが、ヨーロッパではよく見る光景です。

車いすを使うようになったとき、座るという文化は一遍に貧相なものになっていきます。体が不自由になった方の椅子というと、立ち上がりやすいように、座が持ち上がるといいう発想になり、そのような製品も売られています。

でも何かないだろうかと探しているうちに良いものにぶつかりました。

それは「アルフレックス」の「ガーレ」という椅子シリーズの「一人掛けタイプ アームソファ」です。

http://product.arflex.co.jp/archives/gale.html?cat=sofa

この椅子は、座ると椅子が体を包み込んでくれるような感覚になります。年をとると体も硬くなり、特に体に不自由な部分ができてくると、椅子生活がそれほど快適でなくなる時があります。これは体を椅子に合わせることがだんだん苦痛になるからでしょう。ところがこのガーレは椅子のほうが体に合わせてくれる感じです。体をひねったままで座ってもそれに椅子が合わせてくれるのです。
妻もこの椅子を、他の椅子は座るのを拒否された感じだったが、この椅子は迎えてくれたと言いました。

このように感じられる理由は、その座と背もたれの材質にあります。
アルフレックスのカタログによると「ガーレ」の材質は下記のようになっています。
ベース:MDF、合板、ウレタン
アーム、シートバック:モールドウレタンフォーム
クッション:ダウン、フェザー、ポリエステル繊維棉

アルフレックスの他のソファーと比較しますと
シート:フェザー、ウレタン
となっています。

アルフレックスの方の説明では、この「ガーレ」というソファーはアルフレックス ジャパンが何かの記念で、費用を度外視して座りやすいソファーを作りたいという社長の考えで開発されたもので、特に人の体に当たる部分の素材に力を入れているということでした。たぶんダウンの存在が大きいのだと思います。ショールームではダウンとウレタンチップの混合と聞いたのですが、いずれにしろこのダウンの力だと思います。

値段を度外視したので、ということで433,650の価格ですが、2,3年で捨てるのではなく、このような椅子はメンテをして、30年、40年使うのですから、そういう意味では高くないかもしれません。

と言いつつも私もまだ手が出ていませんので、長時間座り続けてどのような感想になるかはわかりません。

高齢者の住宅を設計する場合、もっとそこでの生活を豊かに想像しながら行わなければいけません。

そのことと、コストをどのように扱っていくかを書くのが、最小に書いた「高齢者住宅の設計VE]です。

第11回高齢者住まい講座  トイレに可変は必要か

第11回高齢者住まい講座    砂山憲一

高齢者のトイレは「可変」になるか

高齢者の住まい、有料老人ホーム、高齢者専用賃貸、老人用マンションなどの共同住宅において、そこに住まわれるかたは、体の状態が不自由な型が多いし、また其の不自由さが徐々に変化していくことは、この講座でも何度も説明をしています。
高齢者の方にとって、トイレと浴室は動作にもっとも気をつけなければいけない場所です。
今回はトイレに「可変」が可能か検討します。

水周りのバリアフリーについて、よく研究され商品に生かしているメーカーにTOTOがあります。特にトイレ周りの研究は参考になることが多くあります。その内容は「バリアフリーブック」としてまとめられ、ネット上でも見ることができます。
http://www.com-et.com/webcatalog/goods.htm

「バリアフリーブック」は3種類にわかれます。
・住まいの水まわり編
・高齢者施設の水まわり編
・パブリックトイレ編

カタログよりどこまでコピーしてよいのかわかりませんので、カタログをひろげてこの文章を読んでください。

この講座で扱っている高齢者の住まいは、厳密に言いますとこの3種類のカタログの対象外となります。そもそも、日本で現在盛んに計画され、建てられている高齢者のすまいは、このカタログで言う「住まい」や「施設」ではなく、この中間に属する「新しい住まい」なのです。この考え方は、2003年に発表された「2015年の高齢者介護-高齢者の尊厳を支えるケアの確立-」で提言されました。そこでは「施設+自宅」から「施設+新しい住まい+自宅」を実現しようとしています。住み慣れた地域にできるだけ暮らし続けること、それを支える仕組みづくりが重要です。詳しくは私が昨年書いた本「高齢者の住まい事業  企画の手引き」を読んでください。
「新しい住まい」を作る時、これまでの施設や自宅ではなく、またマンションでもない、高齢者の住まいの内容を検討しているのがこの講座です。
さてトイレです。
この3冊のカタログを見ながら、今日本で認識されている高齢者のトイレについて再検証します。

1 トイレに「可変」は必要か。
まず高齢者の住まいの問題点をセミナーの資料に基づき説明します。

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これまでは高齢者は、家族の介護を受けて自宅でくらし、どうしても介護が不可能になった方が、施設に移るというパターンでしたが、高齢者の住まいでは、介護度が高くなっても其の住まいに住み続けることを基本とします。したがって、介護度の高い方への対応を真剣に考えると同時に、介護度の変化に対応することも重要です。

ファイル 37-3.jpg

そのために、建築・設備・介護が一体となった「可変性」「汎用性」「安定性」のあるシステムの構築が必要です。

2 高齢者のトイレ  TOTOのカタログを読み込む。

トイレは介護度の変化にどのように対応するのでしょうか。

TOTOの考え方 カタログより
TOTOでは身体能力を5項目に分けます。
5項目マーク
・自立歩行
・手すり・杖で歩行
・車椅子使用者(一部介助)
・車椅子使用者(全介助)
・車椅子使用者(自立)

車椅子全介助が要介護度3といわれていますから、TOTOの製品は3程度までを対象としているといえます。
この5段階に対応してトイレ、浴室、洗面、キッチンにおいてそれぞれ製品が開発されているわけではありません。
トイレでは、便器そのものが5項目マークがつけられるのではありません。
「住宅のトイレ」 住まいの水まわり編
便器や手すりに5項目マークがつくのではなく、モデルプランに5項目マークがつけられています。
・歩ける方のプラン          自立歩行、手すり・杖歩行
・車椅子で一部介助の方のプラン    自立歩行、手すり・杖歩行、車椅子一部介助
・車椅子で全介助の方のプラン     自立歩行、手すり・杖歩行、車椅子一部介助、車椅子全介助
・車椅子自走の方           自立歩行、手すり・杖歩行、車椅子一部介助、車椅子全介助、車椅子自走

「施設のトイレ」  高齢者施設の水まわり編
このカタログでは、トイレには5項目マークは使われていません。プラン例は5種類掲載されていますが、其の切り口は体の状態とは違うものです。
・プラン1「一般家庭で使い慣れたタンク式便器を採用したプラン」
・プラン2「便器に異物が詰まった場合にも、比較的簡単に取り除ける便器を採用したプラン」
・プラン3「便器に異物が詰まった場合にも、比較的簡単に取り除ける便器を採用したプラン」
・プラン4「男性利用者にも配慮した小便器付プラン。小便器での排尿を好む方もいる」
・プラン5「排泄しやすい前傾姿勢をとりやすくしたプラン」
便器や手すりなどトイレ関連商品には、別の提案(キーワード)が提案されています。高齢者の行動・身体機能特性を介護度よりより細かく分析し、対応商品を提案しています。
・身体機能
・生理機能
・感覚機能
・精神機能
身体機能は商品選びのキーワードとして、5種類提示されます。
・視覚配慮
・移動
・操作性
・立ち座り
・安全性
ただしこれもプランに5項目をつけたのと同じ発想で、便器だけの写真には「操作性」だけのマークですが、便器と手すりがパックとなった商品に「操作性」「立ち座り」のマークがつきます。多分これは手すりがあるので、「立ち座り」が楽という意味だと思います。

今回私のテーマ、「介護度の変化」に対応するトイレに直接参考になる記述はありませんが、もう少し詳細にカタログを読み取っていきます。

3 トイレ可変への可能性

「バリアフリーブック 住まいの水まわり編」より
このカタログのモデルプランでは、5項目マークすべての方に対応できるようにトイレを作るには、車椅子自走用トイレを作ることになります。
ここで示された4種類のプランの違いは下記のとおりです。
トイレ室の大きさ・便器の種類・金額の順です。

歩ける方  800×1400   CS60B 541,050円
一部介助  1100×1400   CS260B 593,400円
全介助   1350×1400   CS60B  492,400円
自走    1650×1650   CS30B  781,700円

・トイレの部屋の大きさは、当然車椅子自走が大きくなります。高齢者の住まいにどの大きさのトイレを作るのか大きな問題です。一部介助と自走では部屋の面積は1.18㎡違います。100室の高齢者住宅では118㎡違うことになります。25㎡の居室では3室取れる大きさです。工事費とすれば2800万円も違ってきます。介助の度合いによって、部屋の大きさを変えることは不可能です。やはり大きなトイレを作っておくしかないのでしょうか。
・便器の種類の違い。「CS60」と「「CS260」の違いは大きなものではないと思いますが、「CS30」は車椅子対応便器で高さがちがいます。これは其のつど取替えが必要となるのでしょうか。使う人の体の大きさもそれぞれ違うのですから、この便器の高さの問題も、再度検討してほしい項目です。
・便器の取替えに関しては、このカタログを見ているうちに良いものを発見しました。リモデル対応ということで、排水心可変対応便器が発売されています。これを使えば、便器の可変対応が必要であれば、可能となります。

4 まとめ
半日、カタログを眺めていました。トイレには浴室で考えたような可変は必要か、結論は出ませんでした。でもローコストで高齢者の住宅を提供するためには、どこか発想を変えないといけないのかも知れません。

8月6日に、TOTO UD研究所のプロの方の意見を聞けることになりました。
「可変」をキーワードにいろいろ聞いてきます。

 

第10回高齢者住まい講座 「可変」対応の浴室

第10回 高齢者住まい講座   砂山憲一

可変対応浴室の可能性

7月10日に「医療法人向けの高齢者住まい講座」を大阪で開催しました。
100人近いかたが参加され、好評でした。このセミナーでは、共同住宅の形式を取る高齢者の住まいは、建築も介護方式も「可変」であることが大切であると説明しています。
高齢者の住まいは、体の不自由な方、又は不自由ななっていく方を対象としています。
これまでは、体の不自由な度合いに対しては、ある程度対応しようという動きはありましたが、不自由さが変化していくことに、どのように対応してよいか、適切な提案はほとんどされていません。
この体の不自由さの変化には、建築だけでは対応できず、介護の仕方と、それをカバーするコストが一体に検討され、はじめて使えるシステムになると考えています。

介護、建築の「可変システム」は10月3日の東京セミナーで再度グレードアップした内容を披露しますが、ここでは浴室の可変について、大阪講演で使用した資料を基に説明します。(資料は拡大してご覧ください。)

ファイル 36-1.jpg

介護度の変化は、個別の方の介護度の変化と、入居者全体の介護度割合の変化の二通りを考えなければいけません。今回の提案では、各居室には浴室を設けていません。ワンフロアー2ユニット、1システムとして、約30人を1グループとして、浴室の提案をしています。

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高齢者の住まいは、コストが重要です。そのために、不自由な体の方を対象としているからと特注品を選択するのではなく、大量に作れれている市販品から使えるものを選んでいます。

ファイル 36-3.jpg

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ここで採用しているのは浴槽のみを交換できるシステムです。リースを利用することによって、イニシャルコストも抑えられますし、必要な機能の浴槽に取り替えることが実現しやすくなっています。

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このプランでは、30人のユニットに対して、入浴設備を設けていますが、現在検討しているのは、各居室にユニットバスを設置する方法です。
可変を可能とするには、浴槽が取り変え可能なユニットバスを、現状の2000×2000より小さな、1600×1600で実現しなければいけません。
もしこの大きさで、パンジーなどへの浴槽の入れ替えが可能となれば、各居室へ可変浴室を実現することができます。
またこの浴槽が、介護の手間を下げることになれば、より採用する辞令も増えてくるはずです。

《医療観察法病棟に学ぶ急性期病棟のあり方-3 S病院の視察-後半》

                              
                        衛藤 照夫

医療観察法病棟では、離院や外部からの侵入、接触などの防御に力が注がれています。その為建物の周囲は4m程度の高い塀で囲まれています。

医療的には、重篤な患者に集中的な治療を提供し、短期間で外来通院状態から通常の精神保健福祉処遇段階に進めるために医療チームの努力が求められているようです。医療スタッフと患者の比率は日中1:1以上で多くのスタッフが治療に専念している感が見受けられます。かなり広いスタッフルームには、監視モニターがあり、また鍵の施錠の記録がコンピュータでシステム管理がなされています。ここの看護士長は、「やるべきことはいくらでもあり、やりがいもあります。」と話されていました。

病棟は全体的に明るく開放的な雰囲気で、急性期ユニットにある保護室も内装のデザインは非日常性がかなり押さえられています。それ以外の病室でもドアハンドルや壁突起物、天井の空調吹き出し格子などは、ひも状のものを掛ける可能性を排除しているのは当然ですが、監視カメラも目立たない形状を使うなどの工夫がなされていますが、ここでもあまりに非日常的なデイテールは特にありません。強化ガラスにフィルム貼りの窓は、15㎝以上開かない開放制限されていますが、透明ガラスで外部の庭はよく見渡せます。天井にはPHSのアンテナも設けられています。回復期ユニットでは、監視カメラもありません。社会復帰期ユニット病室には通常のバスユニットが設けられています。

ホールには自販機が置かれていますが、中身の缶類は他の医療観察法病棟でも同様ですが、紙製の缶が使用されています。

作業療法室では、使用材料のナイフや調理用の包丁等の管理は徹底されていますが、がんじがらめという雰囲気はありません。

以下、参考プランのスケッチです。

ファイル 35-1.jpg
中央部分にスタッフステーションから見通しのよいホールがあり、ここから4つの病室ユニットと1つの診察ユニットに繋がっています。病室ユニットは、3~6の個室病室と洗面、トイレ、浴室等からなる、急性期(青)、回復期(緑)、社会復帰期(黄)と今は女性用に使用している共用(ピンク)の4ユニットです。診察ユニットは、診察室、処置室、集団療養室、室内スポーツ室等で構成されています。

《医療観察法病棟に学ぶ急性期病棟のあり方-2 S病院の視察-前半》 

                                                      衛藤 照夫

前回は、医療観察法病棟の概要について、その役割や概念を厚生労働省から出されている情報を基にしてお伝えしたのですが、今回からは見学しての感想を軸に医療観察法病棟の姿をお伝えします。

独立行政法人国立病院機構S病院

温泉町にあるこの病院は駅からタクシーで20分程度の山間にあります。

医療観察法病棟は国が進める制度で国立、府県立病院に整備するものです。重大な犯罪の被疑者が不起訴、あるいは無罪等の判決になった場合に入院あるいは通院により社会復帰までの治療等を行うもので、本来30床、全室個室で症状の段階に応じたユニットケア型病棟を持ち、医師、看護士を多数投入し集中して治療効果を挙げることが目論まれているものです。

今回の見学は、京都府立洛南病院の岡江院長先生がその整備のための調査研究されることへの微力ながらのご協力をするものです。当初は精神科病院設計情報への興味から参加させていただいたのですが、実はこの病棟は精神科急性期治療病棟の設計への大きな示唆に富むものであることが解ったのです。

以上の理由によりはじめたブログですが、見学で得た内容を軸に進めてゆきます。

見学した医療観察法病棟はS病院の本館とは別棟となっています。全体が高いフェンスで囲われていますが、特に玄関は病棟の性格上厳重なセキュリティが用意され、入り口は外の扉が開いている限りは内側の扉は開かないインターロック構造となっています。危険物など(金属製で自傷他傷を引起す原因となるもの)の探知機も備えられています。警備室が面していて、確認がすまない限りは入れません。靴やズボンの検査時に計器に床の鉄筋が反応するので建築上の注意が必要だとのことです。

内部に入ると、まず職員休憩室や面会室などの管理部分にはいります。情報管理室には、監理プログラムのサーバが置かれています。その奥にスタッフステーション前のホールがあり、ここに4つの病床ユニットが接続されています。ユニットは、急性期、回復期、社会復帰期のユニットと女性用に使っている共用ユニットの4つです。3~6病床がある各ユニットはホールから分岐するような形で繋がり、出入りは通常は自由になっています。ユニットは急性期がブルー、回復期がグリーン、社会復帰期がイエロー、共用がピンクと内装(扉等)の色分けがなされています。病棟内は通常の精神科を見慣れた目には、窓が多く明るく開放的です。

4つのユニット以外に、入ってきた管理部門と別に療法室関係部門が繋がっています。この部門には、集団療法室を中心に作業療法室、診察室、心理療法室等とともに、屋内スポーツ室が設けられています。離院のリスクを減らすため病棟内にこのようなスポーツ室が設けられているのですが、患者さんの気晴らしにも大いに有効であるとのことでした。(S病院視察 後半に続く)

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