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2008年06月の記事は以下のとおりです。

洗面キッチン考2

特養ブログ006

080625
岩崎直子

洗面キッチンを考えるにあたって、
車椅子利用者の方が使うことを前提とした場合の
これまでの洗面・キッチンの高さについて調べました。

このことは、これまでも検討し続けられていることではありますが、
もう一度整理してみます。

いくつか設計資料を見てみますと、
ミニキッチンでも洗面台でも、シンクや洗面台の高さは
730㎜か750㎜と記載されています。
(小柄な方には、720㎜程度がおすすめとも書いています。)
ただしこの場合は立って使われることも考慮されています。
立って使うには確かに小柄の方でも、
ひじを置いて体を支えることができそうです。
けれども車椅子に座って使うと、ひじがおけない。
前傾姿勢をとることが難しかったり、
水がひじまで伝ってきて、使いづらいことになります。

そうすると、もっと低いものにできないかとなります。

もっと調べますと、高さ660㎜だと使いやすいという話や、
さらに620、630㎜にしたいという要望がある
ということもわかりました。

車椅子の座面は床から400㎜です。
車椅子に座った方のひざがあたらないように
洗面キッチンの下の空間高さを考えると、
高さ550㎜程度は必要です。

そうすると、洗面ボウル(またはシンク)の深さが決まってきて、
70~110㎜程度の厚みで納めなければなりません。

さて、そんな洗面ボウル(またはシンク)があるのかどうか。

もう少しヒアリングを続けてみます。

洗面キッチン考1

特養ブログ005

080624
岩崎 直子

限られた居室の面積や工事費の中で、
キッチン・洗面を両方置くのは難しいということは
解決しないといけない課題です。

では、「洗面キッチン」という一体型のものがあれば、
スペースも費用も省けるのではないかという話が
社内でありました。

実際にこれまでの設計例を見たり、
メーカーさんへ問い合わせをしてみました。
結論から言うと、「洗面キッチン」というものは
ありませんでした。

これまでのゆう設計の設計例をみてみますと、
次の2つのタイプに集約されるようです。
ゆう設計での設計事例を次に紹介します。

①洗面台タイプ
ファイル 31-1.jpg
こちらはあくまで洗面台として使うことを想定したもので、
TOTO製の車椅子対応カウンターです。
キッチンとしての利用は想定していませんが
排水目皿には食ベカスをキャッチできるように
なっていますので、使えないことはなさそうです。

②多目的流しタイプ
ファイル 31-2.jpg
こちらは京都府舞鶴市の特養です。
居室内でのキッチンとしての役割を大切にして、
多目的流しとして使う考えで採用されたもの。
車椅子利用者の方も使えるようにシンクの深さも
考えてあります。洗面としても利用します。
これは、岐阜の亀井製作所というところで特注で
つくったものです。

これらをみていると、それぞれ使用目的が明確なだけに
どうしてもキッチンの印象が強いものか、
いかにも洗面台というものにかたよってしまうようです。

キッチンと洗面の両立は心理的にも抵抗がある感じもします。
けれどもデザインや素材で、
洗面ボウル・流し台としての機能を
両立できるようなものはないでしょうか。

キッチンの用途もかねる洗面台「洗面キッチン」を
実際どんなものであれば使えるのか
これから考えてみようと思います。

居室で夜食

特養ブログ004

20080613
岩崎 直子

前回の居室のつづきです。

居室の中には、洗面設備をつけます。
もともとは口腔ケアの観点からだと思いますが、
居室は住まわれる人の住まい方、個性を発揮できる場所です。
もっと自由に暮らそうと思うと、
洗面台のかたちはどんなものがよいのでしょうか。
ファイル 30-1.jpg

①車椅子対応の大きな洗面ボウル。
車椅子でも使い勝手がよく、洗顔、うがいなどに使う。
水栓はシングルレバーのほうが使い勝手がよさそうに思います。
手がちゃんと届くかどうか確認が必要です。

②お茶をいれたりするから、
洗面台よりはシンク(流し台)がいい。
それに夜中に小腹がすく時がある(カップラーメン!)。
スープを流せる生ゴミ受けがあるほうがよい。

③洗面の脇にはいろんなものが置けるスペースが必要。
歯ブラシ、髭剃り、タオル、コップといった洗面用品のほかにも
こまごまとしたものが水周りにはたくさん出てくる。

観察していると、いろんな使い方があります。
②は見学した特養さんで実際に聞いた話です。
やっぱり夜中に、食べたくなる人がいるのですね。

流し台で洗面には抵抗のある人もいるかもしれませんから、
①②のどちらも欲しい!と思います。
現実的には、身体能力の個人差があったり、
工事費用に大きくはねかえってきたりするので、
検討が必要なところだと思います。

ユニット型特養では、御家族の方が訪ねてこられて
居室でゆっくり入居者の方とお話している場面を見受けます。
洗面設備は、ちょっとお茶を入れたり、
流しのような使い勝手もできて、
かつ洗面にも使えるようなものがあるといいなと思います。

特養の個室について

特養ブログ003

080602
岩崎直子

ユニット型特養の設計を進める際に、いくつか守らなければならない施設整備基準があります。
その中に、入居者の個室は、内法有効13.2㎡以上確保しなければならないというのがあります。
13.2㎡というのは、畳約8帖分です。大体、電動ベッドを置いて、車椅子が転回できるスペースが取れます。
このほかに、近頃は洗面台とトイレを各個室に1つずつ設置するよう指導をうける場合もあります。

いつも部屋の大きさを決めるときに、考えることがベッドの向きです。これによって部屋の奥行き・幅を決めていきます。
北枕にならないようにも気をつけます。
壁に沿って眠りたい人、窓のそばで眠りたい人、いろいろです。

先日竣工してから半年たった特別養護老人ホームを見に行きました。
お部屋の様子がそれぞれお年寄りの個性が表れていていました。
中庭をながめる場所を作ったりソファをおいたり、書斎風にしたり・・。

ファイル 29-1.jpg

ファイル 29-2.jpg

ファイル 29-3.jpg

ファイル 29-4.jpg

お年寄りの過ごし方をもっと知ると、部屋の大きさや必要な設備も違った側面がみえてくるかもしれません。

高齢者の住まい講座第9回 黒澤隆 住宅の逆説に学ぶ

高齢者の住まい講座 第9回 黒澤隆に学ぶ

砂山憲一

黒澤隆といって、すぐわかる方は50歳代以上の建築を勉強された方です。
「住宅の逆説 あるいは技術思想としての居住」というなんともいえない魅力的なタイトルの本を覚えている方も多いでしょう。しかも出版社が「レオナルドの飛行機出版会」です。
昭和51年に「住宅の逆説 生活編」が出版され、昭和54年に「住宅の逆説  匠編」が出版されています。今から30年ほど前です。

ファイル 28-1.jpg

私はこの2冊に大いに触発されました。日本とヨーロッパの便所の違いを知ったのもこの本ですし、洗濯機がどこにおかれるか考えたのもこの本でした。目次には魅力的な言葉が並んでいます。
便所 「便所は誰でもこぼす」
   「小便器はもう要らない」
洗面所「洗面所は裏部屋ではない」
   「顔の洗い方と混合水洗」
居間 「それは茶の間でも応接間でもない」
   「家計簿はどこでつけるのか」

黒澤さんは住宅について、そこで行われる生活とそれを実現する技術に切り込んでいきます。住宅で使うことのできる製品を詳細に調べ研究していきます。

黒澤さんの考えは「生活、文化、技術。」と題された序によく現れています。少し長いですが、一部を紹介します。

「住宅は生活の容器です・
容器の論理―建築学―の立場だけで、なかなか住宅を見抜けないのは、中身としての生活が抜け落ちやすい、容器だけに関心が集まりやすいからです。むしろ生活そのものに視点を移したほうが、だから、まだしも住宅を見抜けます。
しかし、生活に関心が集まれば集まるほど、人々はなぜそのような生活をしているか知りたくなります。つまり、場所が変わるとなぜ生活は違うのか、時代が違うとなぜ生活も違うのかという不思議さと同じように、いまなぜこのような生活をしているのか、この生活をきめているのは何だろうかが、にわかに気になりだします。―略―
生活は社会によって規定され、技術によって構造を得る事は確かですが、こういう因果関係の中から今日の日本における生活のあるべき姿、それはより明確になるはずです。
ここでいう社会とは、ある場所におけるある時代の社会関係、つまり生産のあり方や組織、また風土文物とかを指しています。しかし、生活はそうした社会によって規定されていると同時に、いちいち具体的な物質が介在し、それによって成立していることも事実です。其の物質を作り出すのが技術ですから、直接には、生活は技術によって構造を得ています。それぞれの社会における技術水準や技術のあり方がまたきわめて具体的に生活を構造付けていることはいうまでもありません。
そういう生活という実像をうきぼりにする社会と技術の全体を、われわれは文化と呼びます。」

どうですか。私は高齢者の住まいも、黒澤隆さんが30年前に行った検討を早急に行わなければいけないと考えています。

このブログで、ユニットバスや床材などの検討を始めているのも、この考えに基づいています。

高齢者の住まいは特養の焼き直しとワンルームマンションの焼きなおしに大別されます。
黒澤隆さんたちが、個室を研究したように、高齢者の住まいの個室を研究しなければいけません。行政主導できめられた特養の居室に引きずられてはいけません。30年前に、個室には何着の服があるか研究したように、高齢者は何着の服を持っているか調べなければいけません。音楽も聴くし、電話もかけるし、そこで行われる生活をはっきりさせ、それを実現する製品を調べましょう。

ファイル 28-2.jpg
さらに、高齢者の居室は住み手の変化にどのように対応するか、考えなければいけません。それもコストを考えてです。コストに注目すれば、現在安価で手に入る製品の調査見極めが大事になります。

私たちは、介護システムと、建築・設備システムを総合的に考えた高齢者の住まいを日本シルバーリビング新聞と共同で開発しています。
高齢者の住まいを支えるのは、建築の技術だけでは無理です。介護のシステム、それも高齢者の状況によって可変対応のできるシステムと一体となって、つまり、建築システムと介護システムの両方の技術がそろって、はじめて、黒澤隆さんのいう「生活は社会によって規定され、技術(建築・介護)によって構造を得るのです。」

これから数回、住まいの建具について書きます。高齢者の住まいはなぜ引き戸を使うのでしょうか。ヨーロッパの高齢者の住まいは、ほとんどが開き戸です。」

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