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2008年03月の記事は以下のとおりです。

第6回 床にじゅうたんを使えます。 東リ 病院用タイルカーペットは使ってみたい材料

第6回 床にじゅうたんを使えます。 東リ 病院用タイルカーペットは使ってみたい材料
                       砂山憲一

今回は高齢者の住まいの内装について考えます。
高齢者の住まいの内装に使える材料は、一般の住宅やマンションと一緒なのでしょうか。病院や特養等の施設と自宅の中間に位置する高齢者の住まいを「新しい住まい」と位置づけています。特養などの施設と自宅では使う内装材は違うのでしょうか。また其の中間と位置づけられる「新しい住まい」の内装はどうすればよいのでしょうか。

内装のうち床材について考えて見ます。

①病院の床材
病院といっても大きく2種類に分かれます。短期間で退院されていく急性期の患者さんを対象としたものと、療養型病床と言われる長期間にわたって入院される方を対象としたものです。
急性期の病院は短期間ですから、患者さんにとっても「住まい」としての感覚は少ないと思います。しかし療養型では長期間そこですごされるわけですから、「住まい」として考える方も多いと思います。いずれにしろ、医療が終われば退院されていく事が前提ですから「住まい」としての位置づけは希薄なことは確かです。
この病院の床材にも求められる機能はいくつかあります。
・清潔に室内を保てること。
・歩行以外に車椅子やストレッチャーの使用に耐えること。

病院の内装で大事な機能は院内感染を起こさない工夫です。常に清潔を保つためには清掃が非常に重要です。病院の清掃はオフロケーションという仕組みが最近は多く採用されています。また床材を壁に巻き上げ、隅に溜まった埃をモップでふき取りやすくするディテールも広く行われるようになりました。
病院内での清掃の考え方は、空中の埃を床に落とし、それを熱湯消毒をしたモップでふき取ります。そのため床材は埃をふき取りやすいものが良いとされています。代表的なものは塩ビ系の長尺床材です。
じゅうたんなどは、埃が溜まりやすく病院の床材としては適さないとされています。しかし最近ではじゅうたんの特性である、柔らかい雰囲気や歩行音の小ささなど良い点に着目して使われているところもあります。

2番目の車椅子やストレッチャーの走行に耐えるという点でも塩ビ系の床材が優れています。

東リ株式会社が自社の製品の各種性能を発表していますので、其の中から「キャスター走行性」について見てみます。

床材のキャスター走行性(東リ医療・福祉施設向けカタログ メディカルウェル 2003.09 社内データー 数値は試験値であり、保証値ではありません)

ファイル 23-1.jpg

この資料からわかるように、塩ビ系の床材と、じゅうたんとでは走行性に大きな隔たりがあります。
床材の種類/ 商品名 / 移動開始時の荷重(㎏)/ 等速移動時の荷重(㎏)
織布積層ビニール床シート/ フロアリュームリッチ/ 1.6 / 1.3
織布積層発泡ビニール床シート/ホスピリューム/2.5/1.5
タイルカーペット/ GA-100/6.2/4.1

タイルカーペットでは、ビニール床シートに比べて、車椅子を押すときに3倍から4倍の力がいることがわかります。つまりカーペット類は病院などの床材としては基本的な欠点があるといっても過言ではありません。

ところが、この欠点を解消した病院用のタイルカーペットが発売されています。
東リの「病院用タイルカーペット GA-9900」です。問題の車椅子などの走行性能は下記のように説明されています。

キャスター走行性
車椅子や移動ベッドが楽に動かせます。
カーペットの弱点は、キャスターが転がりにくいことでした。
GA9900は、高密度にパイルを打ち込んだレベルループを採用し、車輪のめり込みや表面のルーフパイルと糸との摩擦係数を少なくしています。
動きやすい適度な硬さを保つため、動き始めや移動時の負荷を低減し、他のカーペットに比べキャスター走行性に優れます。
(東リ グランドアートGA-9900 カタログの説明より)
其の性能を判断するために2種類の試験を行っています。
試験①
キャスター付の台車をスロープから走行させ、移動距離を測定しています。
床財の種類/商品名/20㎏荷重(点滴台を想定)/80㎏荷重(車椅子を想定)
タイルカーペット/GA100/167㎝/122㎝
タイルカーペット/GA9900/220㎝/132㎝
(東リ グランドアートGA-9900 カタログの説明より 結果は実測値であり、保証値ではありません)
試験②
台車が動き始める時の荷重を測定しています。
床材の種類/商品名/20㎏荷重(点滴台を想定)/80㎏荷重(車椅子を想定)
タイルカーペット/GA100/1.93㎏/4.95㎏
タイルカーペット/GA9900/1.34㎏/4.06㎏
(東リ グランドアートGA-9900 カタログの説明より 結果は実測値であり、保証値ではありません)

先のカタログ メディカルウェルのGA100の走行データーと同じ条件ではありませんので、病院用タイルカーペットGA9900がビニール床シートの走行性能とどういう関係にあるかははっきりしません。
また一般的なタイルカーペットGA100に比べて押す力が極端に低減されているわけでもありません。この押すときに必要な力、4.95㎏と4.06㎏の違いは数字からはなかなか想像できませんが、ビニールシート床材ほどスムーズではなくとも、力の弱い方でも押せるようであれば、病院のような施設にも使えることになります。
残念ながら私どもでは、まだ使用したことはないのですが、ぜひ一度施工されている施設で車椅子を使ってみて体験したいものです。
このカタログでも書かれていますが、カーペットには様々な良い点があります。
・深夜。寝静まったころも足音が気にならない。
・水でぬれた場合でも滑りにくい。
・万一転倒しても強い衝撃を与えない。
・光沢がなく、まぶしくないため目が疲れにくい。

カーペットの欠点であるキャスター走行性を改良した製品は、医療・福祉施設にとっては望まれていたものです。
私どもでも、早急に実験を行い採用してみたい製品です。

②特養の床材
特養は病院に比べれば、私たちの「住まい」に持っている感覚に随分近くなります。特養も従来の多少室を中心とした施設と、ユニット方特養といわれる、より住宅のスケールに近づけたものがあります。
特養の床材も、これまでは病院の床材と同じような発想で使用されています。病院ほど施設内の清潔さにこだわらなくてもよいのですが、やはり車椅子のことなどを考慮すると、ビニールシートの使用が大半を占めています。

③「新しい住まい(高齢者の住まい・老人用マンション)」の床材

老人用のマンションが、病院や特養と違うのは、「住まい」だということです。掃除の仕方も住宅と同じです。一派の住宅の床材が木であったりじゅうたんであるように、ビニールシートの床材があまり使われないように、高齢者の住まいも住宅に使われる床材が望ましいものです。
其の中で、一般住宅と違う機能はどのようなものがあるのでしょうか。
・車椅子を使う方もある。
・掃除をまめにするのはしんどい方もある。また細かいごみが見えない。
・失禁する方もある。

このような要求を満足するものを探すと、病院の床材・ビニールシートになってきます。
でも高齢者の住まいは住宅なのです。
そのような状況のなかで、病院用に開発されたタイルカーペットは注目されて良いと思います。
老人用マンションの床材として具体的に使用することも検討しています。但し一般のタイルカーペットに比べて高いことが問題です。
「新しい住まい」を特養や病院の延長線上で考えるのではなく、住宅の延長線上で考えたい私にとっては、このタイルカーペットは使ってみたい材料です。

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