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2007年12月の記事は以下のとおりです。

増える鬱病とストレスケア病棟

鬱病の広がりは驚くほどです。私自身も身近に鬱患者がいます。彼女自身が自分に合った
医療機関を必死に探していますがなかなか見つかりません。建築設計に携わるものとして、求められる医療施設が設計できればと思います。

さて、現在監理段階にある精神科病院では、先生がストレスケア病棟に力を入れられたものです。医療計画として患者さんの病状や生活状況に合わせた治療をお考えで、例えば男性サラリーマンの患者さんが病棟から出勤をすることまで視野にいれた対応も語られていました。
鬱病患者が増えているといっても、医療経営の観点からは専門病棟を整備するところまでは需要が見込めず、現在は急性期病棟をユニット化して一部をストレスケア病棟としています。

この計画でも急性期治療病棟の一部10床をそれに当てています。

収支のシミュレーションでは全て急性期とするよりも数字上は落ちますが、現実に急性期を満床とするためには看護体制の強化などの困難さがあり、互いがうまく補い合うことが期待されています。

一般的な急性期病棟とストレスケア病棟では建築的に、明確に区分けすることが重要です。入り口から別のルートを想定し、同一病棟ではあるが別の施設であるような雰囲気を持たせています。ストレスケア病棟はできるだけ病院的な雰囲気を避け、ホテルか共同住宅のような室内デザインとしています。監視の目を感じず自由に出入りできる動線や雰囲気を持たせています。
ファイル 20-1.jpg

介助を考慮したユニットバス比較

高齢者の住まい講座3回  砂山憲一

介助を考慮したユニットバス比較

体の不自由な方が介護を受けながら入浴するためには、一般のユニットバスでは十分ではありません。介助のしやすさを考慮したユニットバスが発売されています。
ただし、すべてのメーカーが発売しているのではなく、私の知っている範囲では、ナショナルとセキスイです。TOTOやINXは作っていません。
今回は、介助を考慮にいれて開発されたユニットバスの比較をします。

ナショナルはアクアハートシリーズという名称で介護施設向けの製品を出しています。
http://www.net-kaigo.com/shisetsu/aquaheartnxk/index.html

2種類の製品があり、3方向介助できるものと、2方向介助できるものに分かれています。

3方向介助ができる2020タイプ
ファイル 19-1.jpg

2方向介助のできる1620タイプ
ファイル 19-2.jpg

セキスイは特徴があり、浴槽自体が左右に動き、介助の方法の可能性を広げています。
http://www.kaigoshien.com/facilities/bath/index.html

浴槽が動くタイプは、洗い場の広さによって、2種類あり、2m×2m40cmと2m×2mです。また洗い場の動かない2方向介助のタイプもあります。

浴槽の動く2020タイプ
ファイル 19-3.gif

2方向介助。1618Ⅱ型。このタイプの浴槽は2020タイプのように動きませんが、浴槽を左右反転することができます。例えば老人用マンションに使用した場合、入居された方の麻痺の状況によって、左右反転して取り付けしなおすことが可能です。この発想は、これからの多様な老人用の住まいにとって、有効な方法だと思います。
ファイル 19-4.gif

それぞれの仕様を簡単にまとめます。

ファイル 19-5.jpg

この表はそれぞれの会社のホームページやカタログを参照しました。数字の抜けているところは、読み取れなかったところです。

またそれぞれ定価がホームページに掲載されています。
ナショナルは
http://www.net-kaigo.com/shisetsu/aquaheartnxk/02.html

セキスイは
http://www.kaigoshien.com/doc/price.html

ナショナルの2020タイプは約246万円。但し暖房乾燥機、物干しレバー、移乗台、腰掛ボードが含まれています。
(余談、この定価が掲載されたページの写真は2020タイプですが、製品記号は1620タイプとなっているのは間違いではないでしょうか。)
セキスイの2020タイプは約約191万円。但し、ナショナルで含まれているものはほぼオプションの前提です。
両者の価格の正確な比較はこれから行います。価格のポイントは、浴槽が動けば当然価格は高くなりますから、要求される機能とコストを勘案する作業が出てきます。

両社のユニットバスの比較をしますと、違うのは浴槽の深さです。ナショナルは480㍉、セキスイは450㍉と3センチの違いがあります。ちなみにセキスイの一般ユニットバスの深さは、BSAⅡ1216(482ミリ)、BSAⅡ-Q1014(503ミリ)、NBPⅡ-Q1216(460ミリ)となっています。セキスイのほうが浴槽深さを抑えています。なぜそうしたかは、セキスイの方に聞いてみます。

また介護のスペースは両社とも40センチをとっています。

扉の開口寸法が違いますが、シャワーキャリーを操作するには、どちらでも可能ではないでしょうか。

これから検討していいかなければいけないのは、このような介助を考量したユニットバスと、より廉価なユニットバスをどのように使い分けていくかです。これから増えていく様々な高齢者の住まいに対応する、ユニットバスはどのようにすればよいか、作る側、使う側双方からの積極的な発言が待たれます。

施設の入浴

高齢者の住まい講座2回  砂山憲一
高齢者の住まいの入浴はどのようになっていくか。またそれに対応する製品が在るか検索する前に、介護どの高い方を対象にした特養や療養病床ではどのようなお風呂を使っているか検証します。
ここで取り上げるのは、2002年に竣工した療養型病床の設計段階における、様々な検討内容です。今からすでに6,7年前になるのですが、個浴の寸法や手すりの作り方を真剣に検討しています。

●脱衣室には2つのコーナーを計画
脱衣室は自立で衣服の脱着ができる方のコーナー、衣服の脱着に介助が必要な方のコーナーに分かれています。介助が必要な方には着せ替え台を設置しています。患者の方が座位を取れる時は低く、横臥の時は介助者に合わせて高くできるよう、昇降式になっています。
ファイル 18-1.jpg

□個人浴槽について
●全てが個人浴槽
浴室内には機械浴1台と個人浴槽3台を備えています。
座浴であることと、介助によりできれば全ての患者の方に浴槽につかっていただくことを入浴の基本と考えています。従って、この浴室では全ての浴槽が個人用です。
●安定して浸かれる小さめの浴槽を現場製作
浴槽の大きさは、入浴中の体のバランスをとりやすくするために、やや小さめの設計としています。既製の浴槽では大きすぎるため、最適な寸法のものを、体格に合わせ大小2種類現場製作します。
●小浴槽は反転タイプも設置
小浴槽は左麻痺、右麻痺どちらの人にも対応できるよう左右反転タイプも用意しています。個人浴槽の周り三方には介助スペースを確保しています。
●シャワードームを採用
機械浴は全身硬直などで座位が取れない方のために導入します。本来、入浴の原則は座浴ですが、やはり何名かは横臥式機械浴に頼らざるを得ません。横臥式機械浴は入浴に近い爽快感が得られる等の理由から寝浴(シャワー・ドーム)を採用しました。
●使いやすい洗い場
脱衣室からの動線を考慮し、自立の方用と介助が必要な方用の洗い場の位置を設定しています。
シャワー・チェアから立ち上がる際の縦手摺は、力が入りやすいように通常よりも狭い間隔で設置し、チェアに座ったまま手が届く位置にもシャワーカランを設けるなど、身体機能が低下しても、患者の方が出来る限り自分で使用できるような工夫をしています

浴室内部のレイアウトです。2種類の個浴が見えます。
ファイル 18-2.jpg

個浴をベニヤでつくり、深さや長さの寸法を確認しました。その結果、体の大きさに合わせて、2種類の個浴を作ることになりました。
ファイル 18-3.jpg

浴槽を使うときの手すりはどのような位置や形がよいか実験しています。麻痺の状況によって違うこともわかってきました。
ファイル 18-4.jpg

□大浴場

●個人浴槽での検討結果を大浴場にも採用
自立度の高い患者の方が自由に利用できる大浴場1ヶ所を病棟浴室とは別に1階に設けました。浴槽は、利用者の体が、湯の中で浮き上がりバランスを崩すことの無いよう、個人浴槽の寸法検討結果を活かして深さや浴槽内手摺間隔などを決めています。また、浴槽の湯面を広く取り、庭に面して開放感のあるゆったりとした浴室になっています。

ファイル 18-5.jpg

7年前のこのような実験はまだ珍しかったと思います。この結果に基づいて多くの浴室を作ってきました。また使われる方の意見によって、さらに様々な工夫を重ねてきました。

次回はユニットバスなどの大量生産品がどのような状況にあるか、メーカーごとに検証して行きます。

高齢者用ユニットバス1

高齢者の住まい講座 1回  砂山憲一

高齢者が利用しやすいユニットバスとは。その1

マンション建築では風呂はユニットバスです。高齢者用の住まいを考える場合、マンション形式の建物では当然ユニットバスを使うことにあります。

では日本に流通している、ユニットバスは高齢者のことを考えているのでしょうか。まずここから検証していきます。

特養などの施設を設計する場合、最近は個浴を設置することが多く、ユニットバスもよく利用します。ユニットバスを作っているメーカーとしては、下記のような会社があります。google検索順
・INAX http://www.inax.co.jp/products/bathroom/
・松下電工  http://national.jp/sumai/bathroom/unit/
・TOTO http://www.toto.co.jp/
・日立ハウステック
http://www.hitachi-ht.com/products/bathroom/
・積水ホームテクノ http://www.sekisui-hometechno.co.jp/ 

以上が 最初の10件に出てくるメーカーです。
メーカーごとの比較は後で行うとして、ユニットバスが高齢者向けになっているか見てみましょう。上記の5メーカーのなかで、積水ホームテクノはユニットバス専門メーカーであり、日頃から私ども設計者に高齢者向けのユニットバスがありますと、宣伝されていますので、積水の製品を例にとって検証します。

ところが、スタートで早くもトラブルは発生。
積水ホームテクノ株式会社のホームページを見ても、どこにも高齢者用のユニットバスが出てこないのです。10分以上ホームページ上をうろうろしても、見つからないので、前にもらったカタログを引っ張り出したところ、なんと高齢者用のユニットバスは、全く違うホームページを持っていました。
http://www.kaigoshien.com/

介護支援ドットコムというホームページなのですが、積水ホームテクノの商品説明を行っています。良く見れば積水ホームテクノ 介護支援ドットコムとも読めます。

たどりつくのに難儀しましたが、一度見て下さい。高齢者に対応するユニットバスの状況が良くわかります。

利用する方の体の状況に大量生産品がどこまであわせることができるか。

高齢者に対応するユニットバスの最大の問題は、体の不自由になっている様々な状態に対して、ユニットバスという大量生産品でどこまで対応することが可能かということです。

積水の製品は2種類あります。
浴槽が左右にスライドするものと固定されたものです。スライドするタイプの目的は主に介護のしやすさを考えています。特養などの施設で、入られる方によって、体の状態が違いますし、介護の方法も違うので、バスタブを左右に動かすことによって、介護し易くするという発想です。
ただし、体の状態にあわせて、バスタブそのものが変わることはありません。

ファイル 17-1.gif

ユニットバスの中につけられている、手すりは可変タイプとなっています。手すりの位置を変えれるようになっていて、使われる方の状態によって、位置を変えることができます。これは大量生産品であるユニットバスを、少しでも使われる方の状態のあわそうとする、積水技術陣の意思の現われだと思います。

この続きは明日。

高齢者の住まいについて、プロとして真剣に検討します。

高齢者の新しい住まいについて  砂山憲一

高齢者の住まいに関心が高まっています。

これまで、高齢者の住まいといえば、高級有料老人ホームか施設と分類される特養、老健などしかありませんでした。
しかし、高齢者の増加は、この自宅と施設とのあいだに位置づけられる、高齢者の新しい住まいを必要とするようになりました。

この状況は、このたび発刊した「高齢者の住まい講座」に詳しく書いています。

特養などの設計を多く手がけてきましたが、御自宅を設計するときのきめの細かい検討と同じレベルで設計をしてきたか、反省をしています。

このブログのなかで、私は住まいについて再度見直しています。「建築家のための住まい講座」。このような視点で特養を設計してきただろうか。いつの間にか施設という言葉に引っ張られ、住まいとしての役割を忘れていたのではないだろうか。

これから増えていく、老人マンションを住まいとして捉え、ディテェールまで細かく検証していくことが求められています。

高齢者の住まいに関する様々な事項について、このブログの中で検証結果や私の考えを述べていきます。

時々見に来てください。それと意見をお寄せください。

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