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2007年11月の記事は以下のとおりです。

建築家と精神科病院の設計  ~保護室編1~

担当者会議の第1回目のテーマは保護室です。         

 保護室とは、興奮状態で自傷、自殺、また他に危害を加える恐れがある患者を必要な期間隔離する部屋です。これらの目的を達成するための工夫がなされています。

 10年ほど前に、初めての精神科病院設計に先立って保護室を見学したときには複雑な気持でした。かなり古い設計の保護室は、のっぺらぼうな内装の部屋で、鉄格子がはまり入り口がある廊下と窓側の監察廊下から看視できるようになっています。室内のWCは金隠しのない、床に穴を開けただけの便器があり、これも外部から看視できる場所にあります。およそ、快適性や庇護感のない無機質な部屋です。天井は高く、寒々としていて早く離れたいような気持ちでした。

 全ては、自傷・他害を防止する機能的要請からでたもので、興奮した患者は、衣類やシーツの類を解き、サッシのクレセントや家具などの数10センチ程度の高さにある出っ張りに掛けて首を吊る。天井の照明器具を壊し、破片で手首を切るなどの説明でした。

 鉄格子はその後廃止され、その他建築材料の開発などから、強化ガラスの採用やFRP製の洋風便器などが使われるようになりました。しかし、精神科救急を行う病院などで重篤な患者を受け入れる場合は、看護職員の安全のために扉には食事を供給する小窓が付くなど収容型の保護室が必要とされています。

 ただ、精神科救急を行う病院はそれほど多くなく、多数の民間精神科病院では、精神療養病棟やストレスケア病棟など比較的穏やかな患者さんが、一時的な病状が納まるまでの病室として機能を考えることが多くなりました。もちろん重篤な患者さんのための保護室も必要で、このような保護室のあり方や設計内容はわれわれも研究課題としていますが、ストレスケア病棟に設ける保護室群を御紹介いたします。

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洗面タオルは何枚いる

  • 2007/11/28 18:20

建築家のための住まい講座 第2回  砂山憲一

洗面タオルは何枚いる。

お父さんのパンツは脱衣室においてあることも、他の場所においてあることもありますが、洗面タオルとバスタオルはどうでしょうか。

●洗面タオルは毎回替えますか。
場所を考える前にあなたは、洗面タオルをどのように使っていますか。私が子供の頃は、家族みんなで同じタオルをつかっていました。だから後で使う人は、ぬれたタオルで気持ちのよいものではありませんでした。
ところが、結婚すると妻は乾いたタオルをどっさり洗面所に積み上げ、顔を洗うごとに新しいタオルを使うようにしていました。
私たちの生活のスタートはベルギーでしたが、このタオルの使い方は、妻の家の習慣だとおもいます。
昔はタオルはどうしていますかと、住宅を設計するときに良く聞きました。毎回変えていると答えた方は少なかったように思います。最近はどうなのでしょうか。

●タオルの収納だけで大変。
でも毎回変えるのが前提とするほうがよいでしょう。すると、1人に朝の洗顔用に小タオルが一枚、お風呂に入った時ように、バスタオルが一枚、いります。夫婦だけなら小タオル2枚、バスタオル2枚が毎日用意されます。子供が二人いれば、これが4枚ずつになります。
私の家では、子供がいる時、夏は数回シャワーを浴びていました。するとバスタオルの消費量は一日家族4人で、6枚から10枚ほどになりました。
其の洗濯は大変だったと思います。
収納がまた大変です。私の家は、私が30歳前に設計して建てました。洗面、脱衣、洗濯が狭い場所に押し込んであるのですが、収納を作ることを忘れました。そのまま今に来ているのですが、妻が何とか棚を作り、そこにタオルがたくさんたたんでおいてあります。

●タオルの洗濯は誰がするの。
ワンルームに住んでいる若手建築家の諸君は当然タオルを自分で洗っているでしょう。でも、毎回タオルを変えていますか。何回も使っているのではないでしょうか。
でもそれも悪くないかも知れません。朝、顔を洗ってタオルを使い、かけておけばあくる朝までには乾くでしょうから。
快適な生活という基準をどこにおくかで、違ってきます。これまでのように家庭の主婦が担ってきた家事というものを、家族全員で負担するようになれば、このようなタオルの使い方も変わってくるかもしれません。それに伴って、収納も違ってきます。

●台所のタオルはどうなっていますか。
家の中でタオルが使われる場面は他にもあります。
・台所での作業の前後。
・外から帰ってきてうがいと手洗いをした後。――これはどこでしていますか。当然洗面所。それとも台所。
・家の中で作業をした後の手洗い。
・化粧の前後。お化粧については別の項目で書きます。
これらのためのタオルはどうすればいのでしょう。
私の家では原則洗面所では、一回ごとに変えています。台所では数回ごとに取り替えています。つまり、洗面所にも台所にもタオルかけはありません。タオルは置いてある物となっています。

●タオルにもきれいな物を入れておく収納と、使った後の始末が必要。
タオルを使う場所に、きれいなタオルを入れる収納が必要です。特に一回ごとに変える場合は必須です。
タオル掛を使う場合は、収納は他の場所にあっても大丈夫です。いずれにしろ干された後、たたまれる場所で収納されるか、使われる場所で収納されるかが原則となります。
タオルは回転が速いので、使われる場所でのオープンな棚がよいです。
私の家は、洗面所は妻手作りのオープンな棚ですが、台所はキッチン下の収納に入れています。
使った後、洗面所はそのまま汚れ物入れに、台所は其の都度、洗面所に運ぶことになります。

建築家が依頼主に聞かなければいけないこと

・洗面やお風呂上り、手洗いなどにおけるタオルの使い方
・手持ちのタオルの量

お父さんのパンツはどこへ行くのでしょうか。

  • 2007/11/26 14:01

建築家のための住まい講座 第1回 砂山憲一
      若手建築家に住まいを教えるために

数件のクリニックと住宅の計画が進んでいます。30代の建築家と住まいについて議論しています。その内容をお知らせします。
ここで議論されている、目線で高齢者の住まいも論じていこうと考えています。時々見に来てください。コメントもお寄せください。

お父さんのパンツはどこへ行くのでしょうか。

住宅の設計をする場合、洋服や下着の流れがポイントとなります。お父さんのパンツが家の中をどのように動いているか、検証してみましょう。

● パンツを脱ぐ
帰宅してすぐにパンツをはきかえるお父さんはいないでしょう。一般的にはお風呂に入った後です。
お風呂に入るのはいつでしょう。私の家族は寝る前に入ります。仕事から帰って、まずお風呂に入ってからビールで一杯ということも良く聞きます。どちらにしても、お風呂から出た後、新しいパンツをはくわけですから、洗濯されたパンツが必要になります。では其の新しいパンツはどこにおいてあるのでしょう。はく場所の近くという原則からいえば、脱衣室です。

       脱衣室にきれいな下着を入れる収納が必要です。

脱いだパンツはどこにおくのでしょう。脱いだ場所か、洗濯する場所です。

       脱衣室に洗濯物入れが必要です。

● パンツの移動は奥さんの役目ですか
早くも問題が出てきました。脱衣室に洗濯された下着入れと、脱いだパンツを入れる物が必要になりました。でも脱衣室に洗濯機がなかったらどうなるのでしょう。よく家事室を台所の横に作るプランがあります。これは奥さんの働く動線を短くするという考えからでています。其の場合当然洗濯機は家事室に置かれます。
では脱いだパンツはどうなるのでしょう。脱衣室に脱いだ下着を入れる籠を置いておき、洗濯をするときに奥さんがとりに来るのでしょうか。それとも、お父さんがお風呂から上がった後、汚いパンツを持って、家事室まで運ぶのでしょうか。
どっちも、あります。お好きにして下さい。

ただし、一つ覚えておいてください。日本の古い住宅は、すべて奥さんが動き回ることを前提としてできています。どこに何か収納されているかは、住宅設計の大きなテーマではありませんでした。奥さんの労働を少なくするということはあまり考えていませんでした。
ところが、住宅設計がプロによっておこなわれるようになって、奥さんが便利なようにということが、判断要素の大きな部分を占めるようになりました。
奥さんがパンツを持って歩く距離を減らすのが、よい設計ということになったのです。

● パンツの移動
ではお父さんのパンツは家の中をどのように移動するのでしょうか。

脱ぐ                脱衣室

洗う  洗濯機の置いてあるところ。 脱衣室 又は 家事室
                       
干す                庭

たたむ               家事室 又は 食堂のテーブル
                        
収納                脱衣室 又は 寝室
                        
着る                脱衣室

こうやって整理すると、パンツの移動距離が一番少なくするには、脱衣室に洗濯機を置き、洗濯してきれいになったパンツを入れる収納も脱衣室におき、脱いだパンツをいれる籠も脱衣室に置くことです。
其の場合でも、パンツは洗濯後庭へ行き、乾いた後、たたむためにどこかの部屋に移動します。
この方式では、パンツの移動距離は少なくなりましたが、洗濯をするために、奥さんは台所から、脱衣室へ何度かかよわなければいけません。

ここが、考えどころです。

●洗濯機の置き場所は、フリーです。
私が設計を始めた頃は、洗濯機は全自動ではなかったので、奥さんは何度も洗濯機の元へ通いました。
もっと前は、洗濯機はお風呂場の中にありました。それがよい機械ができ、家の中どこにでも置けるようになったのです。
ボッシュの前面から開けるタイプの洗濯機ができたときは、廊下に置いたことも良くあります。
全自動洗濯・乾燥機の出現は、この洗濯という家事をどこででもできるようにしてくれました。

●洗濯機は脱衣室でも家事室でもおなじ。

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精神科病院を設計する  ~設計担当者会議から~

ゆう建築設計は数多くの精神科病院を設計してまいりました。

この中で得た知識や設計ノウハウを基にして、最善の精神科病院設計行っています。
最新の精神科病院設計では、ストレスケア病棟や認知症治療病棟を含めユニットケア病棟の思想が強く生かされています。
また、保護室のバックベッド問題を専用のデイルームを持つ個室転用型の保護室ユニットで緩和しています。
精神科外来、精神科通所のあり方や精神科と内科の併合診療に適した計画としています。

医療分野であるクライアントのご要望を確実に具現化するため、設計担当者会議を常時行っています。

このブログでは、この設計担当者会議でまとめたノウハウや知識を掲載してまいります。

ブログは企画設計段階、工事見積―契約段階、施工現場など各段階に即してすすめて参ります。
精神科病院の新築、改築工事の企画、設計、あるいは建築に関わられている方に見ていただきたいと考えています。
精神科病院を探している方や選択に困られているかたにも参考になると考えます。

御期待ください。

ファイル 11-1.jpg

精神科病院設計担当者会議
○衛藤照夫
 河津孝治
 清水大輔
 玉井英登
 木下博人

高齢者の住まい事業 企画の手引き

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高齢者の住まい事業 企画の手引き という本を学芸出版社から出します。
11月下旬に一般書店に並びます。

高齢者の住まいはこれまで、自宅か施設という2種類しかありませんでした。

体が不自由になっても、なかなか適当な住まいへ移るという選択肢そのものがありませんでした。

在宅での介護、医療へという国の方針とあいまって、これからは高齢者用の住まいが様々な形で提案されていきます。

本書では高齢者の住まいのキーワードとして、「低価格化」と「医療+居住系施設」という二つを掲げて説明しています。

高齢者用の住まいについてはゆう設計砂山までお問い合わせください。

sunayama@eusekkei.co.jp

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