設計コンセプトConcept

知的障害

すまいのあかり

物件紹介ページ → 菜の花ホーム

去年の5月に開設したグループホームのお施主様からメールを頂きました。

 菜の花ホ-ムも今のところ順調です。
 夕方、ホ-ムに立ち寄るとみんな穏やかな表情で過ごしています。
 暖かな明かりに包まれているのを見ると、「あかり」は大事だなと思いました。
  ―中略―
 障害の重い人は、音や香り、光の色、明るさ、温かさなど感覚世界で生活している人が多いので、
 建物の住み心地のよさには敏感かもしれません。
 居心地のいい場所が精神的にも安定させるのだと思います。
 開所当初から、どうしてみんなこんなに嬉しそうな表情をするのかと不思議でしたが、
 最近納得することが多いです。

菜の花ホームは「ほっとするホーム」をコンセプトにお施主様と共につくってきたホームで、わたしたちの目指したことが暮らしている方々の表情に現れているという内容の大変嬉しいメールでした。音や色と同様に“あかり”のもたらす効果はとても大きく、設計中に訪れたフィンランドのホーム視察においてその大切さを身に染みて感じました。住まいに用いるあかりの採り入れ方を工夫することで、暮らしの場がやさしく豊かなものとなります。

あかり”には窓から入る自然の光と照明器具によるものと大きく2種類あります。菜の花ホームでは自然光の採り入れ方に意識を注ぎました。大量の光をとり入れるということではなく、廊下のどの場所にいても視線の先にわずかでも自然の光が入るように窓を点在させています。時間帯や気象によって変化する光が認められるだけで、ただの廊下がとても面白く魅力的なものに感じられると思っています。

日没が近づいてくると次は照明器具によるあかりが主役になります。廊下の照明器具は天井ではなく壁に取り付けるブラケットタイプを基本とし、まぶしさに配慮した出張りの少ない器具を採用しました。器具の照度はかなり低めなのですが、移動を主な目的とした廊下には十分の明るさです。どこもかしこも煌々と明るい建物というのは、およそ住宅のイメージからは程遠いもの。オレンジ色の光がポツポツと浮かび上がるこの場所に立つと温かく穏やかな気持ちになります。