設計コンセプトConcept

知的障害

居室の改修

物件紹介ページ → あゆみが丘学園

居室の改修と言っても、様々なレベルがあります。 クロスを貼り替えたりペンキを塗り直したりといった見た目、雰囲気を改装するだけのものから2人部屋や4人部屋だったものを、分けて個室化したり、そこまで行かないにしてもプライバシーに配慮して個室風の部屋に改修したりといった大掛かりなものまであります。或いは、利用者の高齢化に伴ってベッドやポータブルトイレが使いやすいように和室 であった部屋を洋室化(段差のバリアフリー)したり、古い建物は断熱が十分でなかったりするので外周部の断熱性能を上げてエアコンも入れ替えるといった熱環境のバリアフリーといったことも考えられます。
知的障害者の入所施設の居室改修を考える場合、最大のネックは面積です。特養では4人部屋を補助金を使ってプライバシー改修といったこともされていますが、こういった改修は一人あたりのスペースが6畳程度(約10㎡)あってようやく可能になります。
知的障害者の入所施設の場合、現在は一人あたり収納を除いて9.9㎡が基準となっていますが、築20~30年を経過した施設の場合、当時の基準で一人あたりの面積が3.3㎡か6.6㎡となっています。老朽化した施設でも、建設当時から全室個室を導入していた施設もありますが、ほとんどは3.3㎡か6.6㎡の基準に合わせてつくられており、かつ2~4人部屋にまとめて計画している例が多く見受けられます。
単純な計算ですが、 ①3.3㎡×4人=13.2㎡ →9.9㎡×1人+3.3㎡ ②6.6㎡×4人=26.4㎡ →9.9㎡×2人+6.6㎡
①の場合だと1人では面積が中途半端に余り、かつ残り3人の行き先を確保する必要があります。
②の場合だと3人では9.9㎡×3人=29.7㎡と面積が少し足りず、2人では面積が 中途半端に余ってしまうということになります。
仮に、6.6㎡基準で3人部屋があれば無駄なく現在の基準で2人部屋ないし個室2部屋に改修できることになりますが、そもそも3人部屋を中心に計画された事例は少ないので、そういうケースであればよいですが、ほとんどの場合は別の方法を探っていくことになります。
結論から言うと、このような施設の場合、既存の居室については無理に現在の基準に合わせず、既存不適格であることを利用して1部屋当たりの人数を減らし、残りは予算や敷地の状況が許す範囲で増改築を行い個室を捻出するという方法が現実的だと考えています。
下記の例は、私が実際に担当したあゆみが丘学園での居室の改修事例です。

あゆみが丘学園での改修では、上記に述べたポイントを多角的に検討し、 優先順位を整理して下記の考えで改修を行いました。

部屋の中に間仕切りをつくって個室風にまでしなかったのは、利用者の高齢化に伴い車椅子やポータブルトイレの使用を想定すると狭い間口にしてしまうよりも介助や車いすを取り回しできるスペースを残したかったこと、これまで4人部屋が長く暮らして来たことも あり、2人部屋でも十分生活環境として改善される、逆に1人よりも2人くらいの方がよい方もいるといったスタッフの意見も参考に計画しました。
2人部屋を採用する積極的な理由ではありませんがスタッフの方から利用者で発作を持った方がおられた場合に同室の方がスタッフより先に気付いて知らせてくれるという意見もありました。
一方で、本人にとっての居心地、落ち着き、人との関わりを考えた時に、個室の方が確実によい方もおられます。既存改修での個室の捻出は面積効率がよくないので、個室については基本増築を前提に考えて行くことになります。

入所施設は本人が好むと好まざるとに関わらず共同生活です。個人の時間、空間と共同生活の時間、空間のメリハリをつけていくにはやはり全室個室というのが大前提ではありますが、様々な条件でそれが出来ない場合でも、あゆみが丘学園での事例のように検討条件を洗出し、優先順位をつけて整理することで、それぞれの施設での最適な改修計画の立案が可能です。
グループホームの整備が進む一方で、当面の課題として既存の入所施設をどう改善しながら維持管理していくかということがあります。ゆう設計では費用、工程等含め知的障害者のすまいについて様々な取り組みを行っております。ご相談お待ちしております。