設計コンセプトConcept

知的障害

地域に開くグループホーム

物件紹介ページ → 菜の花ホーム

障害のある方の住まいの形態のひとつとしてグループホームがあります。グループホームとは、家族の近く住み慣れた地域で、家族的な人数で共同生活をおくる住居です。グループホームで生活を送る方は、おのずとその地域住民の一員となり、それと同じようにホームという建物も地域の一部となります。では地域の中に建つグループホームとして、そのふさわしいたたずまいとはなんでしょうか。“地域”と一口に言っても隣家が何百メートルと離れた山里や、雑居ビルが建ち並ぶ賑やかな都会、歴史的な街並みの集落など、実にさまざまな環境が考えられます。グループホームが建つ場所のことをよく知り、そこにあった方法でホームと地域との関係が良好となる建物とすることが求められます。
ここでひとつ事例を紹介します。

沿道には古い住宅が並ぶ。 奥に見えるのはホームと同時に建設されたコミュニティカフェ

このグループホームの建っている場所は京都府の北部、人口6000人ほどの地区です。ちりめん織で栄えた古い町で、沿道には古くからある住宅が立ち並んでいます。交通量は少なく日中も静かで、耳を澄ますと機織り機の音が聞こえてきます。このホームに求められたたたずまいは、落ち着いた町並みの景観を損なわず、昔からそこにあるようなさりげないものとすることでした。また道路の境界には塀をつくらず、ふらりと敷地内に誘導されるような緑豊かな公共の道“なかみち”を設けて、周辺住民が日常的にホームの暮らしを感じて貰えるような仕掛けを行っています。地域からもホームからもお互いが歩み寄るような形態をつくり、ホームの住人とご近所の方々の精神的な距離が縮まることを狙っています。

「なかみち」にある樹木が歩く人の目を楽しませる。

どんな環境でも共通して考えたいのはホームが周囲に対し閉じるのではなく、ほどよく開くということです。「ほどよく」というのは、お店やデイサービスほどの開放性は必要ではなく、住宅に必要なプライバシーを確保しながらも、他を拒絶しないイメージです。地域の方の偏見や不安といった心の垣根を取り払うためにも、障害のある方の住まいは一般的な住宅よりも少しだけ積極的に、そこに暮らす人々のこと知ってもらうような仕掛けを取り入れたいものです。