設計コンセプトConcept

知的障害

強度行動障がいを持つ方のすまい

障害特性のひとつに「強度行動障害」があります。行動上の課題を抱える方や、その周辺の方にとって、落ち着いて、安心して暮らすという願いには切実なものがあります。
強度行動障害特別支援ユニットでは、そのような方、とくにもっともハードな方まで対応していくために、どのような住環境をつくるかということが、議論のポイントとなりました。また、それまでの施設様での支援ノウハウを、建築で具現化することを目指しました。建物における材料の安全性や、光・視界、間取りなど、利用者にとってわかりやすく、混乱を引き起こさないのはどのようなものか、検討を重ねました。

ひとつの取り組み事例として、むとべ翠光園(2014年)における強度行動障害特別支援ユニットをご紹介します。

ユニット構成

見通しが利くつくり

・住宅街の中にあるため、外部からの視覚的刺激を少なくする窓の取り方
 直接見えないが、明るさは取り込む。
・突発的な行動に対応できる見通しが利くつくり。

安心できる個室

・音環境への配慮
 天井の吸音ボード、コルクの床が硬音質の響きをやわらかくする
・塗装の壁
・あえて凸凹を作り、角の納まりを丸くする
・視覚制御された窓

水洗い対応

水洗いができる仕様で、かつ普通の設えに見えるよう配慮している。失禁・失便で部屋が汚れた場合、ご本人はトイレでシャワーで体を洗い、着替えができる状態になって頂く。その間に、居室の壁と床を水洗いし、その水を床に設置した排水装置に落とし込む。そして換気扇をかけて部屋を乾燥させる。ご利用者様に清潔に気持ちよく使って頂く工夫です。

窓のとり方

・ご利用者様の個室 直接は外が見えない窓
・二重サッシ、アクリル板を用いて、叩いても安全な窓に
・住宅街に面する7室は視覚制御と明るさの両立のため、他と異なる特殊形状の窓とした。

CGを使った窓形状の検討

建具の工夫

・引戸でなく、室内側へ開く開き戸を使用
・破損しても取り替えやすい木製建具を採用
 合板下張りをした「堅牢建具」とする
・重量丁番の数を多め、ドアチェックのきつめに

児童入所部門は通常建具にしていたが、割れることが判明し、堅牢建具に取替えた。

食堂の家具の工夫

・ブースで囲む必要があるかを議論〈ご利用者様が安心して食事が出来る環境は?〉
・できるだけ小分けにできるサイズのテーブルを用意。
・壁面に向くことができるレイアウトの検討