設計コンセプトConcept

精神科

精神科病院の建築コスト

高騰するコストの現状

WAM(独立行政法人福祉医療機構)の平成28年6月6日付のプレスリリースによると、平成 27 年度福祉・医療施設の建設費は、その平米単価はともに平成 22 年度から上昇し、病院では271千円で、また、病院定員一人当たりの建設単価は17,682千円と過去6年間の中で最高水準とされています。弊社の案件の実績では精神科病院で平米単価は 513千円/㎡(延べ面積2,800㎡)(東京案件)で、平成27年に契約した総合病院では349千円/㎡(延べ面積10,572㎡)でした。

WAMの271千円/㎡という数値は、中小・大手ゼネコンの一般病院が332千円/㎡、精神科病院では303千円/㎡という一般的な言説よりは低い数値ですが、WANの調査範囲では病院に老人保健施設が含まれていることもその要因となっていると思われます。保育園などが現況とほぼ一致しているのは、小規模なケースが多いことなどの要因によるものかと思われます。

WAM 福祉・医療施設建設単価 リリースレポート 平米単価は、ユニット型特別養護老人 ホーWムが 262 千円、保育所が 312 千円、病院が 271 千円、介護老人保健施設が 236 千円であった。 福祉施設の定員 1 人当たり建設単価は前年度より上昇し、特別養護老人ホームは 12,878 千円、保育所は 2,698 千円であった。医療施設の定員 1 人当たり建設単価についても前年度より上昇し、病院は 17,682 千円、介護老人保健施設は 12,859 千円であった。建設費は、福祉施設ではデータのある過去 8 年、医療施設では過去 6 年において最高水準となっており、前年度に引き続き施設整備は厳しい状況にあることがうかがえた。

精神科病院建設コストの徹底縮減を考える。

精神科病院のコストは一般的に、総合病院など急性期を含む病院と比べるとローコストに建設できることが多くあります。しかし、安定した医療事業運営には、さらなるローコスト化が必要です。ここでは、今まで弊社が取組んできた徹底縮減についてまとめています。

ローコスト実現の手法:2点に集約されるローコスト実現のための対策
①時間を掛け、希望価格にまで降りてくる業者を選定

施工業者の契約する価格は、当然に競争の中で決定されます。従って競争力の発揮される入札・見積もり合わせの実施が必要なことは言うまでもありません。このため、弊社では幅広い情報収集力、また今までの経験を生かして業者選定のアドバイスを行い、ローコスト実現を目指します。実際に①はコスト縮減にとって大きな要因です。ゼネコンはコスト競争の中で、同じ仕様の設計図に対し、コスト縮減のしのぎを削っています。コスト縮減にとってゼネコンのノウハウや技術は多き部分を占めています。従ってさまざまな状況下で参加ゼネコンが競争力を発揮し、しかも意欲を持つことのできる見積合わせ、契約を実現する努力を行なっています。

②ヴァリュー・エンジニアリング(VE)の活用

本来のVEは基本設計(設備・構造の基本計画によりスペックが決まった)段階で、設計内容洗い直し後、他の設計者等で構成されるVEコンサルが代替案を作成し、施主の判断を求めより低価格の代替案の一部または、全部を採用し、設計を完成させる方法です。しかし、これを実施するためには工期と費用が必要となるため、一般的には設計者自らがVE案を作成しながら設計を行なっています。現実的には、見積合わせでは私たちが行なうVE内容に加え複数ゼネコンからVE提案を求めこれらを精査し、目標金額の達成を目指すことが見積条件によっては多々あります。

VE実例:緑ヶ丘病院

緑ヶ丘病院は、昭和39年創設の徳島市に建つ、252床の精神科病院です。今まで部分的に改修・建替え工事を行いこのたび、全面的建替えを計画され、本年より着工するものです。 建築工事会社は大手3社(JV含む)による見積合わせにより決定さました。第一回目の見積合わ時には予算との開きが大きく、2回目の見積合わせにより決定されました。ゆう設計では、これと平行してVE(コスト縮減案)を製作し、施主打合せを行ないました。

以上の減額案は、いわゆるVEを超え、仕様変更機能切り詰めを含むCD案です。実際には、仕様変更を伴わないVEを採用し、その後にも予定価格に到達しない場合施主との打合せを含めCDまで進めます。このCDで承認されたものは、かなり少ないものとなっています。これは、設計内容が予算に対して適正かどうかを施主と協議し、リーズナブルな価格を得るためのものです。

実例:M医療機器事務所・倉庫

この案件は、ローコストにかなり焦点の当たった計画でした。示された予算が現在の相場より低く、当初よりローコスト化を意識した設計を進めました。設計段階では、建築を外壁、内装、設備、構造に分け、それぞれにグレード設定による設計案、及び概算工事費をA,B,C、Dの4段階作成し、施主打合せにより、それぞれを選択し設計内容を策定しました。当然、このグレード設定には、機能性だけでなくプランニングを含めた、設計の価値判断が加わるものですが、今回は事務所・倉庫としての価値を尺度としました。以下がそのグレード設定内容です。