設計コンセプトConcept

精神科

保護室の形が変わった

保護室が変わってきている

保護室(隔離室)は患者の症状から本人または周囲のものに危険が及ぶ可能性が著しく高い場合にその危険を最小限に減らし、患者本人の医療または保護を図ることを目的として行なわれるもの」(平成12年3月 厚労省告示第97号)と定められています。保護室は治療環境として必要なものでその施設性能は患者の医療または保護を図ることを目的として利用され、その目的を果たす治癒的環境として性能が議論されるものです。 しかし、実態は、自殺防止の配慮や、耐破壊性能が中心になりがちで、患者の室内における生活環境については指針もなく管理上の観点から語られることが多かったようです。 ゆう設計は病院様の意見を咀嚼し、その病院様に最適な療養環境・治療環境を提案する努力をしてまいりました。

患者、ご家族に安心いただける環境設計

最近複数の病院様から、ご家族を安心させるためにも保護室を改修したいとのお話がありました。一般の方々に保護室は、興奮し暴れる患者様を無理やり閉じ込めるイメージが流布しています。その保護室があまりにも生活空間とかけ離れたものだとご家族が入院に反対されるとの危惧からのお言葉でした。私たちは、従来から保護室の機能は確保するものの、特異なデザインを避け患者様の生活の場としてのしつらいを保つ内装の提案を行なってまいりました。下記に病院様からの要望と私どもの提案を対比させています。

※保護室の設計に当たっては、自傷や首をつっての自殺などを避けることはもちろん、患者の監視の容易さについての要望が多くあります。これらについては、観察廊下無しで計画やデテールで可能ですが、私どもは、さらに治療環境としてふさわしい保護室を目指して設計を検討しています。これらを踏まえた提案を実例に即して紹介します。

実例紹介:オレンジホスピタル

◆可変応型<容態別利用を可能とする>:急性期では奥のベッドルームのみの利用、また症状によってはWCも利用抑制ができるようにしています。落ち着かれてからは、洗面スペースの利用も可能となるよう、扉の配置、開閉を行えます。

◆保護室ゾーンとしての利用:複数ある保護室ゾーンにはデイルームスペースを設けています。また、複数の保護室を設け、個室病室として使用することを可能にしています。 保護室ゾーンとして、本来の隔離目的の保護室群と個室的利用の準保護室ゾーンとの区分けができる構成としています。

◆監視カメラ:当時は、監視カメラは丸型の天井から出っ張ったものが採用されていますが、昨今は平面型も考案され監視感を減らせるものが開発されています。

◆内装:保護室では内装材や設備などについてはできる限り特異なデザインを避けるため、WC便器についてはFRP製品の洋便器が用いられています。保護室は落ち着ける空間とすべく不燃ではない自然木を使う場合が多い。この場合、排煙設備が必要になり、そこから、外部に患者が出る場合があり課題が残る。(逃走防止の格子を設置)

実例紹介:ほのぼのホスピタル

木質壁の高さを抑え、軽やかさを持たせている。

保護室前の廊下を必要に応じて扉をしめ、前室とすることのできるプランとしている。

実例紹介:丹比荘病院の保護室棟の増築

丹比荘病院では、保護室の増設を意図され、急性期病棟に接続して平屋の保護室棟(保護室5・準保護室3)が平屋建てで増設された。保護室の入り口壁に設備コントロールボックスを仕込み、前室、WCの設備のSW、扉の施錠解錠を行なえるようにしている。

実例紹介:東武丸山病院

保護室には前室があり、多様な利用に備えている。