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床走行リフト 徹底検証 第1回 トイレ介助で必要な寸法 清水大輔

  • 2018/05/09
  • 障害者

床走行リフト 徹底検証 第1回 トイレ介助で必要な寸法 清水大輔

ゆう建築設計では、現在床走行リフトの使い勝手の整理を進めています。
4月末時点で国内で入手可能な床走行リフトは調べたところ14種類あります。

床走行リフト比較表(現在整理中)

・利用者の身体状況にそれぞれのリフトがどこまで対応できるのか?
・介助する人にとって負担の少ない方式はどれか?
・使用するにはどのくらいのスペースが必要になるのか?
 といった特長を分類し、実機で試せるものを順次体験して検証していきます。

 

●床走行リフトのタイプ

現在販売されている床走行リフトは吊上げ式と立位式の大きく2つのタイプが
あります。吊上げ式はスリングをつけかえることで寝たきりの方まで対応が可
能ですが、取り回しにスペースが必要になります。

取り回しの軽さや安定性を考慮すると天井走行リフトがよいのですが、天井に
下地が必要で改修で設置するには大掛かりになることや、グループホームなど
小規模な建物でも導入を検討するケースが増えていること、スタッフの介助に
かけられる時間、手間数を減らしたいことなどが背景にあります。

現在いくつかの物件で床走行リフトの導入を検討していますが、いずれもトイレ
や脱衣室での運用を想定しているため、省スペースでの取り回しが可能であるこ
とが重要な判断のポイントになります。

 

●重心移動方式の床走行リフト

スペースの面からすると立位式が断然有利なのですが、立位が取れること、下
半身に荷重がかけられることなど、身体状況が限定されるということがありま
す。

現在進めているグループホームの計画で、座位は取れるけれども立位までは不
可という利用者に使えるリフトで小型のものを探していて、立位式の中でも重
心移動方式というタイプがあり、適応条件が「補助ありで端座位(注:椅子に
座った状態)が可能な方」となっている為、立位姿勢が取れない方でももう少し
広い範囲で対応が可能ではないかと考えてメーカーに連絡を取り試してみまし
た。

今回試したのは、アビリティーズ・ケアネットの「ささえ手」というリフトで
す。てこの原理を使い、前傾姿勢を取ることでスリングを用いずに主にトイレ
介助時の移乗ができるという商品です。ガスダンパーを併用することで、任意
の位置で姿勢を固定できるという特長があります。

最初にアビリティーズ・ケアネットの方から使い方の一通りの説明を受け、特
長を理解してから実際に計画中のグループホームのトイレ寸法を例に、椅子を
便器と車いすに見立てて床走行リフトの取り回しを検証しました。

リフトの使い勝手はもう少し体験を重ねて整理したいので、今回は寸法につい
て検証したことを中心に書きます。

グループホームで計画中のトイレ寸法で取り回しを検証

 

●机上検討では分からない取り回し寸法

実際動かして見て分かったのは、床走行リフトは真横への移動が難しいため、
リフトをひねりながら前後させる動きが主になり、その時に操作に慣れていな
いとかなりの奥行きが必要になるということでした。また、床走行リフトの台
に足を乗せる際に、自力でできない場合はスタッフが車いすの横に身体をすべ
り込ませて介助するため、幅の方も必要なことも感覚として分かりました。

便器と車いすのレイアウトを変えて取り回し検証

床走行リフトの横移動を減らし、旋回を中心にしようと思い、便器と車いすの
位置を90度にしてもやってみました。実際にやってみると取り回しの途中で
スタッフの身体がトイレの外に出てしまい、建具を開けた状態でないと取り回
しできないことが分かりました。

内側が計画中の寸法、外側が実際に余裕を持って取り回すのに確保できたらよいと考えた寸法

内側のラインが計画中の寸法(幅1650×奥行き2040)で、外側のラインが今日
実際に取り回してみてこのくらいあった方がいいと考えた寸法(幅2150×奥行
き2540)です。

内側のラインでも、トイレ内に便器と車いすと床走行リフト以外何もない状態
であれば身体を壁にすりながら何とか使えそうではあるのですが、グループホ
ームなど施設ではなく住宅スケールでの計画となると、他の部屋との面積の取
合いになるのでどこまでの広さでよしとするかはCADの机上検討だけでは判
断できない現場スタッフとの打合せが必要なポイントだと感じました。

アビリティーズ・ケアネットの方には予定時間を大幅に超えて検証にお付き合
いいただきました。ありがとうございます。

今後、吊上げ式リフトも含め継続して整理を進め、その様子をこのブログでア
ップしていきます。