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知的障害

知的障害の方の住まい第6回 破壊されない扉は作れるか 砂山憲一

  • 2016/09/22
  • 知的障害

 

破壊されない扉は作れるのか  砂山憲一

  

①室内の建具は木製を採用

  建具を作る素材は三種類あります。

 鋼製建具    防火戸などに使用します。

 軽量鋼製建具  医療福祉施設でよくつかわれています。

 木製建具    

 

 知的障害施設では私どもは木製建具を使用します。鋼製建具は素材がスティールですから重量が重く、引き戸には使用しにくく、防火戸などと特殊用途のみに使用します。軽量鋼製建具は医療福祉施設では性能もよく一般的に使われるのですが、蹴られると凹んでしまい、かつ補修が容易ではないため、知的障害施設ではむかないと思っています。

 普通使われる木製建具は蹴ったり、殴ったりの破壊活動には弱く簡単に穴が開きます。この扉の破壊に対して強度を強くすることはそれほど難しいことではありません。私どもでは扉の構成をかえ様々な実験をしてみました。当然強度が高くなれば重たくなりますし、コストも上がります。設置する建物に求められる強度の建具仕様を選ぶことになります。

 


使用する材料をかえて制作

 

 
強さを実験

②引き戸の吊り金物が難しい

 

 破壊に対して難しいのは引き戸に使用する吊り金物です。引き戸が壊れるのは戸を強く押したり、持ち上げたりする想定されていない動きによります。また吊り金物の種類は、扉の重量に対して違いがあるだけで、重い扉用の頑丈な吊り金物でも想定されない方向の力に対しては強くはありません。

 そのため、破壊行為が想定される個所の吊り引き戸には、戸の下部にガイドレールを付け、床から金物を出して、強度のある振れ止めを設置します。

  

吊り金物の種類

③どのレベルの建具を設置するか

 建具に対しての破壊行為が入居者全員にあるわけではなく、一人の入居者だけの場合や、状況が悪くなった時に始めた破壊悔いが出る場合など多様です。

 私どもの設計した例でも、強度行動障害の方が新築されたユニットに住みだしても特に破壊行為は起こらなかったのですが、新しい方が入られて、破壊行為が始まったこともあります。

また障害児の住まいで、一人の方がすべてのドアを破壊したこともあります。

 このため、知的障害の方の住まいは建具や壁を一番厳しい状況を想定してつくることが多いのですが、私はある程度壊れても直せばよいという発想で作る建物もあってもよいのではと思っています。

 

④ソフトクローザー

  私どもの設計では引き戸にはソフトクローザーを付けるのを標準としています。これは主に戸がバンとしまったり空いたりするのを防ぐためのものですが、指詰めの防止にもなります。

 ソフトクローザーが引き戸に使われだしたのは最近ことであり、入居者の方は慣れていないため、なかなか開かないとか閉まらないと思い、力いっぱい開け閉めをする場合があります。そのためにソフトクローザーが壊れてしますことが時々起きています。その場合は、ソフトクローザーを取りかえるのですが、壊す方は何度もこわすのでソフトクローザーは取り外し、指詰めはゴムで対応します。

 このように、使用する方の状況によって、扉の仕様を変えるのが良いのですが、新築では入居者される方の状況が分からない場合もあり、また入居後の状況の変化に対応できる可変可能のドアはありませんので、仕様の選択は毎回悩むところです。