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時空読本 / No.10

病院の改修

  • 2001/06/01
  • 時空読本
  • No.10
病院の改修
医療法改正を受けた適切な増改築のために
既存精神科病院のハード整備
医療法が改正されました。しばらくは既存のままで緩和措置が適用されますが、いずれは病室・廊下幅を広げなければなりません。
病院を建て替えたり、新しい病棟を建てて不足分を既存改修するのが理想ですが、敷地や予算、建蔽率・容積率に限りがあります。やはり、既存の病院を改修して新基準に対応することが多くの病院の現実的な選択となります。
しかし、既存建物の改修には様々な制約が生まれます。病院を稼働しながら、病床をできる限り現状維持しつつ改修することは可能なのでしょうか?どのようなことに留意すれば適切な改修が行えるのでしょうか?
工事期間中のさまざまな問題を解決しましょう
病院を稼働しながらの改修工事ですから、様々な問題が生まれます。それらを全体の流れから考え、最良の方法を見いだすことが重要です。
1 工期短縮を検討する
まず、工期はどれくらいかかるのでしょうか?
工期は短いにこしたことはありません。工期の短縮は工事費用の圧縮にもつながります。工期を短くするには仮使用の回数を減らし、一気に工事をする必要があります
2 病床数を減らさないために
一時的ではあれ、病床数の減少は病院経営に直接影響します。現状の病床数をできる限り確保するためには、こまめな工区分けが必要になります。
3 総合的に判断する
工期の短縮と病床数の最大数確保は相反する難しい問題です。何をどう優先するかは慎重に検討する必要があります。その優先順位を決定するための重要な要素が次にあげる項目の内容決定です。
耐震改修は必要でしょうか?
建物はいつ建てられたものでしょうか?
S56年(1981年)以前だとすると、新耐震構造設計基準に適合していません。
1、000平方メートル以上の病院は「建築物の耐震改修の促進に関する法律」により、耐震改修を行うよう努めなければなりません。しかし、耐震改修には多大な改修費用が伴います。
まずは、既存の建物が構造的にどのような状況にあるかを把握する調査を行わねばなりません。その結果により、耐震改修が必要なのか、耐震改修しなくとも改修工事ができるのかを判断するのです。
古くなった設備をどうしますか?
現在、熱源として重油や灯油を利用されている病院が多いのではないでしょうか?
改修時には当然、イニシャルコスト、ランニングコストを含めて熱源を再考する必要があります。メンテナンスや環境、人的配置を勘案すると、電気やガスを使用することが一般的になりつつあります。しかし、現実問題として、敷地や建物屋上に空調室外機を置く場所があるでしょうか?
また、配管類は既存のものを利用できるでしょうか?
電気はどうでしょうか?改修時に容量を上げる必要があるでしょうか?
このように、現状は稼働しているけれども将来的なコストを含めて考えた場合、改修時に設備工事をどこまで行うかが既存改修のポイントになります。また、設備の改修をどこまで行うかが工期を決定すると言ってもよいでしょう。
改修範囲の判断を下すためには現状設備の状況調査と、新しい設備との比較検討が必要です。
アメニティ充実はどうしますか?
病室を6.4平方メートルに、廊下幅を2.7m又は1.8mに広げる、それだけでも大変なことです。まして、現在の病床数をできる限り確保するとなると、様々な部分へのしわ寄せが予想されます。
しかし、それだけにとどめますか?
浴室や便所、洗面、食堂・談話室などに表れる生活上の快適さ、療養環境全般の好ましさである「アメニティ」をどう考えますか?
医療環境の改善、利用者の満足度ということを考えると、このアメニティ部分の取り扱いは深く検討する必要があります。予算や面積との兼ね合いではありますが、今後の病院運営に大きく関わる問題です。
困難は多いですが
病院を現状どおり運営しながら改修工事をすることは本当に大変な作業です。その病院独自に様々な課題が出てくるでしょう。
しかし、解決する方法はあるはずです。
限られた条件の中で今後の事業展開を図るためには、既存改修は最良の方法かもしれません。
まずは病院の事業方針を練ること、現状の建物を知ること、そしてその建物に最適な改修計画を立てることが重要です。
ゆう建築設計では、多くの病院増築・改修工事の設計監理を行っています。
京都東山老年サナトリウム 梅山医院
既存棟改修工事 増改築工事
京都東山老年サナトリウムは1,547床のうち、830床分を新築しました。現在、既存棟約9,000坪の改修工事を行っています。 梅山医院は医院機能の変化に対応するため、増改築工事を行っています。CM(オープン価格システム)方式を採用しています。

CM:オープン価格システム
CMという言葉をご存じでしょうか?
コンストラクション・マネージメントの略ですが、これまでのゼネコン一社への一括発注方式と異なり、施主が工種ごとにそれぞれの施工業者と単独で契約を結ぶ方式です。 施主にとってこれまでは工事施工価格の中身が明確にわからない、という不満がありましたが、このCMではそれぞれの工種の施工価格が明確になります。ゆう建築設計ではこのCM方式で美容室イマオカ新築工事、梅山医院増改築工事を行っています。