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時空読本 / No.12

スウェーデン 病院の床材

  • 2002/06/01
  • 時空読本
  • No.12

感染防止管理の新しい流れ

“院内感染”という言葉が日常的に使われるようになりました。それだけ事故が多く、また、社会の関心が高まって いるということでしょう。病院には“清潔さ”が求められ ます。また、同じ病院内でも医療ゾーンと一般ゾーンでは 求められる清潔さが異なります。望まれるレベルに設備の 充実で対応するのか、人的体制で対応するのか、コストに 見合う成果が得られるのか、などの検討が必要です。 しかし、病院としての“清潔さ”の原則は

  1. 誰からもいつでも清潔であると認められる環境を作ること。
  2. 常に清潔を保てるためのメンテナンスシステムを準備すること。
  3. 清潔の維持にコストがかからないこと。

ではないでしょうか。ゆう建築設計では多くの病院を設計する中で、“清潔さ”を保つための工夫を、数多く研究し 、実際に取り入れています。今回は特に、床材の素材選択・ 施工方法について、スウェーデンにおける、生産過程・病院での施工例を研究しました。


理想的な床の清掃

病院内の清潔を保つには埃を溜めないことが大原則です。 一般的には空中の埃を全て床に落として、それを一掃する、というのが最も効果的な清掃方法です。病院の床には塩化ビニル系のタイルや長尺シートが使われることが多いので すが、床と壁の取り合い部分が角になり、埃を一掃するには手間のかかる構造になっています。 最近では、この部分の清掃を簡単に、完全にするため、床材を壁に立上げ施工する例が増えています。この施工方法 では壁と床の取り合い部分は曲面になり、効率よく効果的な清掃ができるわけです。しかしながら、この施工方法は、1.施工コストがかさむ、2.職人により施工後の美しさに違いが出る、などのデメリットが言われてきました。しかし、本当にそうでしょうか?建物完成後のメンテナンスシステム、メンテナンスコストを考えると、これは有効な手段のひとつだと我々は考えています。


スウェーデンでの床材施工例

北欧では、病院の床材には単層長尺シートが多く採用されています。これは、一般的な長尺シートとは構造が異なり、 ワックスがけの必要がないとされる床材です。また、熱可塑性であるため施工性がよく、床と壁の取り合い部曲面の 立上げも美しく簡単に仕上がります。スウェーデンで見学した5ヶ所の病院では、単層長尺シートを用いた立上げ施工はごく一般的でしたし、浴室なども同じ施工法を採用しています。また、20年近く前からこの施工法が一般化して おり、施工後10年前後の床も美しく保たれていました。

床材の立上げ施工例 床材の貼り分け例 19年前の立上げ施工例 浴室も同じ施工法で

ゆう建築設計での取組み

現在工事中の「なごみの里病院」では、計画当初より病院スタッフと院内の清潔・不潔の問題について活発な意見交換をおこなってきました。担当の先生からも当初より床の立上げ施工については要望が出されており、廊下・病室等全ての部分の床をこの施工方法で行います。現場では床・壁の取り合いや柱の出隅・入隅など、実寸模型を使って施工の美しさや材料の貼り方を研究しています。



詳しい報告書を作成しています。興味をもたれた方は、ゆう設計までお問合せください。