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時空読本 / No.14

建物改修の時代

  • 2003/06/01
  • 時空読本
  • No.14
■Proposal
建築の市場では、既存建物を改修し、リニューアルする計画が増えています。 特に、診療報酬の実質切り下げが行われた医療業界、介護保険以降、利用者の厳しい選択の目が光る福祉業界では、益々厳しくなる経営状況を反映し、低コストでハード面を再整備し、事業展開を図るというケースが増えています。医療・福祉施設の改修計画に焦点を当てて、いくつかの事例をご紹介します。

木津屋橋 武田病院

既存建物を療養病床に改修・ベッド数確保に知恵を絞る

療養病床へ転換するための改修工事です。療養病床への改修は、廊下巾の拡幅、病室面積の拡大、食堂・機能訓練室の設置等を行わねばなりませんが、増築が不可能な場合、ベッド数の減少は免れません。しかし、ベッド数の減少を最小限に止めるようプランの検討を繰り返し、限られた空間を最大限に活用しました。150床あった病床数を39床の減少にとどめ、111床を確保しました。また、浴室も療養病床にふさわしい形態に改修し、武田病院グループの慢性期医療を支えています。

改修後の4床室
■所在地/京都市下京区
■施設内容/病院
■事業主体/木津屋橋 武田病院

西京都病院

隣のマンションを病棟に改修〜敷地の制約を越えて〜

敷地に制約があり増築が難しいため、既存の病院に隣接するマンションを賃貸し、特殊疾患療養病棟に改修する計画です。

◎敷地に余裕がない
既存の病院敷地内では、建蔽率・容積率とも法基準限度値まで利用しているため次の事業展開への増改築が不可能でした。病床数を減らさない限り、改修計画は諦めざるを得ない状況であったわけです。

◎マンションを病棟に
マンションを改修し病棟とするには、建物の構造上の問題、行政との協議、1階テナントに対する仮説設計など、難しい問題もありました。

◎階高の低さ、エレベータの問題
まず、階高が約2.9mと低く、病室の天井高を確保するため、設備設計に工夫をしました。
古いマンションではエレベータがないため、階段を取り壊し、エレベータを新設しました。また、既存病棟とは渡り廊下でつなぎ、患者様やスタッフの効率的な動線を確保しています。
都心の病院ならではのアイデアですが、今後はこのような大胆な発想も必要となるでしょう。

改修するマンション   現状の病院
■所在地/京都市西京区
■施設内容/病院
■事業主体/西京都病院

田中外科

3日間の休診で医院を大改修

老朽化と世代交代に伴い、使いにくくなっていた診察室・待合を大改修しました。医院の改修で一番問題となるのが休診期間です。休診中の患者離れを防ぐためには工事期間を短くすることが最大のポイントです。この田中外科では5月の連休を利用し、休診3日、工事終了まで10日という工程で工事を行いました。このように短期間で工事を行うためには事前の準備期間に徹底した設計打合を行うことが必要です。お施主さまと設計事務所、施工会社との徹底した打合の上、資材発注方法や工事の効率化を図ることにより短期間での工事を実現させました。

外観(新)   外観(旧)
 
改修イメージはパースで確認
■所在地/大阪府枚方市
■施設内容/診療所
■事業主体/医療法人田中外科

栄仁会メンタルケアセンター

オフィスビルを改修しデイケアに

改修前は診療所、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所があり、その他は他のテナントが入居されていました。今回の改修は建物全館を賃貸し、新田辺カウンセリングルーム”、“デイケアでんでんむし”を新たに開設するものです。一般的なオフィスビル仕様を介護保険施設の通所リハビリテーションに変更するため、エレベーターを新設し、バリアフリーとやさしく暖かみのある雰囲気作りを心がけました。外観はコンクリート打放しを暖かみのある色に塗装し、床の段差にはスロープを付け、事務所的な形の窓はやわらかい雰囲気のデザインに変えました。
外部のサインにも工夫を凝らし、建物全体に親しみの感じられるものとしました。

外観(新)   外観(旧)
■所在地/京都府京田辺市
■施設内容/診療所・訪問看護ステーション通所リハビリテーション他
■事業主体/医療法人栄仁会

梅山医院

CM手法で医院を改修・工事の透明性に安心感

老朽化し、使い勝手が悪くなった医院の改修工事です。工事一式を一つの工務店が請け負う従来の方法とは異なり、CM(コンストラクション・マネージメン)の手法を採用しました。工事価格の透明性を求めての選択です。
梅山医院では、建築工事を14の業種に分け、それぞれ数社から見積を取りました。業者とは面接を行い、低価格で且つ信頼のおける業者を選定しました。結果、先生ご自身が価格や工事内容を把握・理解され、満足できる工事となりました。

外観(新)   外観(旧)
■所在地/京都府大山崎町
■施設内容/診療所
■事業主体/梅山医院

医療法人立花内科産婦人科医院

産婦人科を開院しながらの増改築工事

内科と産婦人科からなる有床診療所です。増改築工事での問題は、工事中の休院ですが、妊娠初期から出産まで長期にわたる産婦人科では、工事期間中の一時的な休院が難しく、開院を続けながらの工事となりました。最小限の医院機能である内科、産婦人科の仮診察を5階の多目的室を改造して作り、その後解体工事にかかりました。増築部分は、鉄骨造とし、既存建物とはエクスパンションジョイントにより結合します。

外観(新)   外観(旧)
■所在地/兵庫県尼崎市
■施設内容/有床診療所
■事業主体/医療法人立花内科産婦人科医院