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時空読本 / No.14

精神病院の計画

  • 2003/06/01
  • 時空読本
  • No.14
■Proposal

より充実した医療環境を目指して

精神病院の計画では建物のプラン、設備などに様々な工夫が必要です。尚且つ、療養環境の充実にますます感心が高まる中、アメニティの向上にも力を入れる必要があります。また、病院だけでなく、在宅復帰への通所施設やカウンセリングを含む地域への支援等、様々な取組みが必要です。ゆう建築設計では、現在二つの精神病院の計画に取り組んでいます。


第7期整備計画進行中 病院の機能強化を目指して

●宇治黄檗病院  

完成予想図全景
■所在地/宇治市五ケ庄
■事業主体/医療法人栄仁会

■2005年竣工予定

完成予想図全景

宇治黄檗病院は「よりそって医療、よりそってケア」をモットーに総合的な精神科/高齢者医療を目指しています。精神科と内科を併せ持つ特性を活かし、精神科では急性期医療と社会復帰医療に、また、高齢者医療においては、身体合併症のある痴呆高齢者医療に重点を置いています。敷地内に併設する精神科デイケア・ナイトケア「みらい」、重度痴呆患者デイケア「ひだまり」、「ふくしほうむ・ぴあ」、グループ・ホーム「みむろど」、栄仁会メンタルケアセンターなどを通じ、常に「いえ(家庭)と社会(地域)とつながる医療」を目標に、地域との連携を深めています。

第7期整備計画

完成予想図全景にある2棟の建築物で、右は平成12年春に竣工した6期棟です。精神科急性期病棟、老人性痴呆疾患治療病棟、内科療養病床の3病棟と精神科デイケア・ナイトケア「みらい」があります。 左が新築する7期棟です。5病棟390床で構成され、内科と精神科を併せ持つ特性を活かした身体合併症病棟、急性期バックアップ病棟、精神療養病棟、内科の療養病棟及び急性期病棟があります。精神科病棟では男女区域分けにフレキシブルに対応できる廊下間仕切りの採用、患者の特性に合わせた保護室のタイプ分けなどを行っています。 病棟部門の他には診察・検査・リハビリ部門を集約しました。特に屋上を利用した運動場や菜園は、閉鎖病棟の療養環境に大きく貢献しています。

総合的な精神科/高齢者医療を目指して
栄仁会メンタルケアセンター
精神障害者福祉ホームB
“ふくしほうむぴあ”
重度痴呆患者デイケア
“ひだまり”
デイケア・ナイトケア
“みらい”
地域の心と体の健康を総合的にサポートします。 寮を改修して開設しました。 院内の痴呆疾患治療病棟と連携を取り、患者様の在宅生活を支援します。
設計:関西建築設計事務所
病息の再発予防や社会参加の促進を目的としています。単身生活者を中心にしたメニューと若年層対象のメニューがあります。
設計:関西建築設計事務所

新棟の建設と既存棟の全面改修 ~療養環境の向上を目指して~

●第二北山病院  

新築棟全景
■所在地/京都市左京区
■事業主体/医療法人三幸会

■2004年竣工予定

療養病棟の新築

新築棟は、周囲の環境にマッチした外観とするため、バルコニーのデザイン、屋根の形状や素材、外壁の色などに工夫を凝らしています。
精神療養病棟3病棟173床で構成される新築棟は、病棟内は食堂を中心に病棟の東西で男女分けができるようにしています。また、1階の病棟には保護室として対応が可能な個室を設けました。

医療法人三幸会の歴史は古く、源氏物語にも記されている精神医療発祥の地・岩倉で北山病院が昭和29年に、第二北山病院が昭和40年に開設されました。老人保健施設、リハビリ施設、在宅介護支援センターを有し、地域に根ざした医療施設として「共に歩む医療」を目指しています。このたび、「病院の歴史は古く、内容は新しく」をモットーに、第二北山病院の精神療養病棟の新築工事に着工しました。
既存病棟も全面改修を予定し、療養環境の向上を目指しています。既存棟改修においては平面計画に様々な知恵を絞り、全体での減床は3床のみにとどめることができました。新たな医療環境で精神科医療の充実を図っていきます。
隣接地には精神科デイケアセンター“かりん”があり、病院との連携を図っています。

在宅・社会復帰支援

精神科デイケアセンター “かりん”

かりんでは社会復帰を目指して、多くの患者様が通われています。 喫茶室の運営によるリハビリ、音楽療法などを取り入れ、 在宅生活をサポートしています。

全体配置

既存改修で療養環境向上を

右側が改修を予定している既存棟。敷地左側が新築棟、新築棟下方がデイケアセンター“かりん”です。既存棟改修では、1床当たり面積6.4平方mの確保、廊下巾の拡幅など医療法の新基準を満たすと共に、鉄格子の撤去、便所・シャワー室・洗面の充実など、療養環境の向上を目指しています。
精神療養病棟に改修する3階は便所の増設やシャワー室の新設を行います。急性期病棟においても、これまでの40床室を6床室5室へ改修するなど、全病室を6床以下へ移行し、1床当たり面積も6.4平方m以上を確保しています。

 

アメニティの充実


昨今は病院のアメニティの充実が注目されています。入院患者様だけでなく、外来やリハビリ、デイケアに来られる方まで、全ての人が心地よく感じられる空間作りが望まれます。
待合の椅子の形・置き方、ホールに飾られた絵画や写真、心癒される坪庭、眺めの良い談話コーナーなど、建物の随所に心が和む工夫を施します。
また、屋外空間は特に閉鎖病棟の患者様にとっては気分転換の重要な要素です。屋上を利用した菜園や運動場など、建物のあらゆる要素を有効に利用できる設計を心がけます。

 

入浴の充実


入浴は入院生活では大きな楽しみの一つです。比較的身体能力の高い患者様は運動量も多く、夏季には特に入浴希望が高まります。
介助も可能な浴槽はもちろん、身体機能が低い方の機械浴室、一人での入浴希望に対応するユニットバス、運動の後に利用しやすいシャワーブースなど、病棟の特徴に合わせて多様な組み合わせで入浴の充実を図ります。

◎一般浴室の他、シャワーやユニットバスを備えた急性期病棟の浴室 ◎一般浴室を広く取り、機械浴を備えた精神療養病床の浴室

 

安全の確認


精神病院では、保護室などで、患者様の安全を見守るため、監視カメラを設置する場合があります。患者様側からは、カメラで監視されるという意識を少なくするデザイン、スタッフ側からは安全を確認しやすい設備配置が望まれます。ナースステーションにいなくても、各ドクターのパソコンに映像を送れる工夫なども行います。

 

病棟のフレキシブルな男女ゾーニング


精神科の病棟では男女による病棟の区分けが重要になります。常に一定の割合とは限らない男女比を効率よく運営できることが望まれます。付け替え可能なパーティションを廊下に設け、その時の男女比に応じて病棟の区分を変更できる工夫などを盛り込みます。。

 

保護室のプラン


保護室は、その病院の方針が最も色濃く出る場所です。患者様の安全とプライバシーの確保をどのように建物に組み込むかが重要な課題です。
また、造りの違う保護室を用意し、患者様の状態によって使い分けることも重要です。保護室ではあっても、心地よい環境とプラバシーを保てるよう努力しています。

保健室

  • 照明器具は埋め込み
  • 前室のドアも開放時には壁に収納。

 

保護室の設備


昨保護室では患者様の安全に最も注意を払います。
便器やベッドの仕様はもちろんのこと、医療ガスやコンセントの形状・位置も他の病室とは異なる工夫をします。照明器具や空調設備はその種類・位置・機器点検の方法・器具の取替え方法も含めて検討します。

●前室のある保護室

  • 柱型は斜めの壁とし安全を図る
  • ベッドから便器が見えない工夫
  • 壁収納式食事台の設置。