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時空読本 / No.17

ユニットの病棟を持つ家のスケールの病院

  • 2005/01/01
  • 時空読本
  • No.17
■Proposal
代表取締役
砂山 憲一
一級建築士

ユニットの病棟を持つ家族スケールの病院
~パリ・Bretonneau病院~

フランスの建築雑誌に「 La maisonnee come echell 家族のスケール」で というタイトルで紹介されている病院があります。
パリ18区にある Hospital Bretonneauがその病院です。この病院は老人を対象にした専門病院ですが、その病棟プランを見ると個室が15で1ユニットを構成し、まさに日本のユニットケアと同じ考えで計画されています。
日本では特別養護老人ホームを始め、多くの高齢者施設で、ユニットケアの効用が認識されていますが、病院で採用されている例は、あまり聞きません。
早速病院を見に出かけました。
パリ17,18区は住宅地で、老人が多く住んでいます。75歳以上の方が3万人ほどおられ、フランスの平均より、だいぶ高いようです。これまではこの地区ではBicht病院のみが老人用に200ベッドを持っていましたが、足りないため、2001年にそれまで小児科病院だったところを老人病院に建て替えました。
新病院は235ベッドを持ち、地区の老人たちのための医療センターの役割を果たしています。この病院の特徴は二つあり、ひとつは病棟が、15人ずつのユニットで構成されていること、もうひとつは病院の中で社会生活が営まれるよう、商店や教会、劇場が併設されていることです。
病院の見学は毎月第一水曜日に限定されており、私は公共の部分しか見ることができませんでしたが、同じ頃に竣工したパリのポンピドー病院に比べ、静かで落ち着いた雰囲気の病院でした。

旧病院建物外観、歴史を感じる重厚な建物
新館と旧館の間の庭、噴水の傍にベンチ

この二つの特徴についてBretonneau病院のホームページには次のように紹介されています。

生活を作る建築

Bretonneau病院は重病やハンディキャップを負った患者さんに適応したdomicile(住まい)として考えられました。

la maisonnee : retourver lesprit de village
家・村の精神の再発見

la maisonneeには、リビングダイニングや台所、また治療コーナーの周りに15の個室を設け、お年寄りがまるで自宅にいるかのように暮らせるような配慮がなされています。
“maitresse de maison(家の女主人)”が食事をつくり、テーブルをセットし、家族全員が快適に、また気楽に楽しく暮らせるようにを配ります。
食事のテーブルを用意したり、タルトを作ったり、ナプキンをたたんだりという行為は何気ない行為に思えますが、自分の家族や家から離れ、生活の指標やリズムを見失ったお年寄りには非常に重要なことです。
そのような行為をさせる、もしくはしたい気分にさせるということは、1日数時間だけの治療をする患者にとって、毎日の生活にリズムを与える活力であり、また、リハビリテーションやセラビーにもなります。
Bretonneau病院には14のこのような集合体、la maisonneeがあります。
ワンフロアがアルツハイマー病患者もしくはそれに似た病気の患者に充てられています。

ドガ・シスレー・コローなど
各ユニットには画家の名前が
つけられている。

病棟の1ユニット概略図。
個室と2床室をうまく組み合わせている。

緑の庭は散策できる。

診察の待合。家具も家庭的

 

館内通路 賑わいと出会いの場所

830床、地下1階地上8階、約12万平米という大規模病院です。
東西に長い建物は、中央のリューホスピタリテ(病院廊下)を中心にゾーニングされています。

コーヒーショップ

礼拝所

アトリエ

エルゴテラピー
内部ストリート
赤い絨毯をひいて、ショッピングモールのよう